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SNS口コミで選ぶランキング、大阪が2025年の都市魅力度1位。日本6都市が上位

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旅行・観光産業の調査機関であるYanolja Researchがこのほど、世界191都市を対象とした「Global Tourism City Attractiveness Index(世界の観光都市魅力度指数)」を発表。この評価で、日本の大阪市が初の総合1位を獲得し、2024年1位の京都市を上回る結果となった。本調査は、米パデュー大学・韓国慶熙(キョンヒ)大学との共同開発によるもので、14言語にわたるソーシャルメディアの口コミなど観光客視点の情報を評価軸としている。

 

観光客目線のランキング、大阪が初の世界1位、日本6都市が上位に

2025年のランキングでは、日本から大阪(1位)、京都(3位)、沖縄(10位)、福岡(11位)、東京(12位)、札幌(18位)の6都市がトップ20にランクイン。1位の大阪(前年3位)や、沖縄(同11位)、札幌(同22位)などが前年より順位を上げており、訪日観光地としての持続的な人気と魅力の向上がうかがえる。

▶︎Global Tourism City Attractiveness Index(世界の観光都市魅力度指数)トップ20の都市

Global Tourism City Attractiveness Indexのトップ20

 

アジア都市が台頭、欧州主要都市は後退傾向

アジア勢の躍進も目立った。タイ・バンコクは前年16位から7位、チェンマイは61位から20位と大きく順位を伸ばした。一方、欧州ではマドリードが17位から29位、バルセロナが19位から25位へ後退し、観光トレンドの変化が見受けられる。米国のニューヨーク(4位)やロサンゼルス(14位)は引き続き上位を維持している。

 

 SNS口コミで測る“心理的魅力”が、新たな観光都市評価の軸に

従来の観光都市評価が交通、宿泊施設、インフラ、政策などの供給側要素に重点を置いていたのに対し、「Yanolja Attractiveness Index」は、観光客の視点から都市の「魅力」を評価することに重点を置いている。都市の美しさ、自然景観、文化・歴史、体験型コンテンツ、おもてなしといった要素を、ソーシャルメディア上の口コミなどをもとに分析。「心理的魅力」と「話題性」の2軸から包括的に評価している点が特徴だ。観光インフラの整備だけでなく、「記憶に残る体験」の創出や、SNS等を通じた共感型の情報発信が都市の評価向上に直結すると考えられる。

 

<編集部コメント>

共感を呼ぶ体験が鍵に、観光都市の競争力を左右

調査開発責任者のSooCheong Jang博士(パデュー大学)は、「都市の魅力はインフラではなく、観光客の心にどう響くかが鍵。今回の評価はその観点から観光都市の競争力を見直す好機になる」と述べている。

この発言が示すように、都市の評価は「記憶に残る体験」や「共感を呼ぶ物語性」といった、観光客の感情に訴える要素が大きく影響している。SNS上の口コミなどをもとにした指標である点からも、体験価値の創出や情報発信の工夫が、これまで以上に求められているといえる。

ランクインした日本の6都市の取り組みからも、地域戦略のヒントが見えてくる。自分たちの地域が、旅先としてどのように感じ取られているのか。ソーシャルメディアなどを通じて、観光客の視点で改めて見つめ直すことで、新たな魅力の発見や発信につながるかもしれない。

出典:Yanolja Research「Global Tourism City Attractiveness Index」

 

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