インバウンドニュース
ベトナムZ世代に日本の麺・丼が浸透、人気の外食ファストフードチェーンの傾向は?
2025.08.20
やまとごころ編集部ベトナムで日本のファストフードチェーンがどのように受け入れられているのか。マーケティング調査支援を行う株式会社Koeeruは今年8月、ベトナムに進出済みの日本ファストフードブランドを対象に、Z世代(20〜29歳)100名を対象とした意識調査を実施。現地の利用実態や評価、改善ニーズを通じて、日本の外食ブランドが持つ「越境力」や、訪日観光中の飲食行動の予測にもつながる示唆が得られた。
麺類・丼メニューが人気、清潔さや品質を評価
ベトナムZ世代にとって、日本のファストフードで最も人気があるジャンルは「麺類(ラーメン・うどん・そば)」で85.1%、次いで「定食・丼などご飯もの」が78.2%。天ぷら(51.5%)、ハンバーグや肉料理(41.6%)も続き、主食系メニューへの支持が厚い。
▶︎人気メニューは?
日本のファストフード店を選んだ理由としては「おいしさ(68.3%)」「清潔さ(65.4%)」「日本食が好き(64.4%)」が上位に並び、衛生意識や品質への信頼感が来店動機に直結していることがうかがえる。単なる安価さや利便性ではなく、「安全でおいしいものをきちんと食べたい」というニーズに応えるブランドが評価されている。
▶︎その店を選んだ理由は?
店内飲食が主流、月1回以上の高頻度利用
利用頻度については、「月1〜3回」が58.4%と最も多く、週1回以上利用する層も約20%存在。定期的に日本のファストフードを利用する習慣が定着しつつある。
▶︎利用頻度は?

利用スタイルでは「店内飲食(61.4%)」が最多で、「デリバリー(28.7%)」「テイクアウト(20.8%)」と続く。GrabやShopee Foodといったフードデリバリーアプリの普及により、チャネルの選択肢も広がっている。
▶︎どのような利用スタイルですか?

また、食事の同行者は「パートナーと」(28.7%)、「友人・同僚と」(27.7%)、「家族と」(23.8%)が多く、1人利用(19.8%)も少なくない。
▶︎誰と一緒に食べますか?

ローカルの食事より高価格も、極めて高い満足度
1食あたりの支出額は「10万〜14.9万ドン(約650〜970円)」が30.7%と最多。「20万ドン以上(約1300円超)」も31.7%と高く、ローカルの食事よりも高価格にもかかわらず需要は堅調だ。
満足度は「とても良い」35.6%、「良い」61.4%と、合わせて9割以上が肯定的評価を示しており、日本ブランドの信頼性の高さが裏付けられた形だ。
▶︎支出額はいくらですか?

サイゼリヤなど新規ブランドも急速に浸透
来店経験のあるブランドは「すき家」「丸亀製麺」が59.0%と最も多く、丼・麺類系の人気を裏付ける結果となった。注目すべきは、ベトナム進出から1年未満の「サイゼリヤ」が30%以上の来店経験率を記録している点だ。イタリアン業態という異なるジャンルでも、日本発のファストフードとして迅速に浸透している様子がうかがえる。
▶︎来店経験のある店は?

今後はメニュー提案・利便性の強化がカギ
一方で、改善要望として「新メニューの追加(48.5%)」「価格の見直し(46.5%)」「提供スピード(36.6%)」「店内環境(28.7%)」などが挙げられ、一定の課題も浮き彫りとなった。
ベトナムに限らず、日本発ファストフードがグローバル展開する上では、定番メニューへの信頼を軸にしながらも、「飽きさせない提案」と「現地最適化」のバランスが問われていくことになりそうだ。
▶︎ファストフード店への改善要望は?

訪日旅行中の「馴染みの味」にもつながる可能性
今回の調査結果は、ベトナムZ世代が「日本で何を食べたいか」の予測材料にもなりうる。現地で親しまれている「すき家」「丸亀製麺」などが、日本滞在中の食事選択に影響を与える可能性があるからだ。実際に、アジア圏では日本国内のチェーン店を訪日旅行中に再訪するケースも多く、現地での定着が訪日行動にも波及するといえる。
また、味や品質・清潔さを重視する傾向は、インバウンド向けメニューやプロモーション展開時の参考にもなる。単なる「日本らしさ」ではなく、安心・安全でおいしいという普遍的価値も、購買行動を左右すると言えるだろう。
(出典:【ベトナムZ世代に聞く】日本のファストフードに関する意識調査)
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