インバウンドニュース

訪日客に人気の観光地トップ30、関西が上位独占 ーNAVITIME検索データ

印刷用ページを表示する


訪日外国人向けナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」の検索データに基づき、ナビタイムジャパンが「訪日外国人観光客 目的地検索ランキング」を発表した。対象期間は2024年12月1日から2025年11月30日で、アプリは月間アクティブユーザー数200万人を超える。検索行動を通じて、訪日前の旅行関心や行動意図が浮き彫りとなった。

 

関西の定番観光地と体験型施設が上位に集中

「訪日外国人観光客 目的地検索ランキング(TOP30)」を見ると、例年人気の高い関西圏の観光地や大型テーマパークが、引き続き多くの関心を集めていることがわかる。

1位には、昨年3位だった「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が浮上した。その後、2位に「奈良公園」、3位「伏見稲荷大社」、4位「大阪城天守閣」、5位「清水寺」と続き、上位は関西エリア(大阪・京都・奈良)の観光スポットが占める結果となった。寺社仏閣や歴史的名所といった日本文化を象徴する場所に加え、世界的に知名度の高いテーマパークが上位に並んでおり、「日本らしさ」と「エンターテインメント体験」の双方が、訪日旅行の主要な動機となっていることがうかがえる。インバウンド検索動向1

また、比較的オープンしたばかりの体験型施設である21位の「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター」や、圏外から18位への新規ランクインとなった「勝ちダルマの寺」として知られる「勝尾寺」にも注目が集まった。旅行者が検索の段階でこうしたスポットを選んでいる事実は、SNSや口コミを通じた情報拡散の影響力の大きさを裏付けていると言えるだろう。

 

市場別に異なる傾向、文化・体験・買い物で特色

今回初めて公表された「エリア別TOP10ランキング」では、訪日外国人の出身地域ごとに異なる観光嗜好が明確になった。

アメリカ圏では、1位「奈良公園」、2位「大阪城天守閣」、3位「浅草寺」といったいわゆるゴールデンルート上の定番スポットが上位を占める一方で、5位「道頓堀」、8位「横浜中華街」、10位「錦市場」など、食べ歩きや街歩きが楽しめる賑やかな商店街も人気だ。なお、総合ランキングで1位だった「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」はランク外だった。

ヨーロッパ圏では、1位に「日光東照宮」、10位に「白川郷」がランクインするなど、歴史的建造物や伝統的な景観への関心が非常に高い傾向が見られる。都市部から数時間移動してでも、日本固有の文化や歴史を深く体感できる場所を訪れる志向が明らかになった。トップ10のうち7スポットを関西エリアが占めており、東京のスポットはランク外という結果だ。

オセアニア圏では、1位「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」、2位「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」、10位「富士急ハイランド」と、エンターテインメント施設やアート体験が上位に集中した。これは、非日常性や体験価値の高い観光コンテンツへの強い関心を示唆している。

東アジア圏では、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」や「東京ディズニーランド」などの大型テーマパークに加え、都市部の主要観光スポットへの関心も高く、分かりやすい魅力を持つ定番スポットを効率よく巡る旅行スタイルが定着している様子がうかがえる。

その他のアジア圏では、定番スポットに加え、「御殿場プレミアム・アウトレット」がランクインし、買い物を重視した旅行ニーズの高さが明らかになった。観光と消費行動をセットで楽しむスタイルが検索行動にも反映されていると言えるだろう。

また、全エリアのランキングで初めてトップ30入りした「勝尾寺」は、ヨーロッパ圏で8位、東アジア圏で9位にランクインした。

ちなみに、ナビタイムジャパンが提供する『NAVITIME』をはじめとする国内向けサービスで2025年に目的地として検索された総合ランキングの1位は「東京ビッグサイト」で、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」「東京ディズニーランド」と、上位3位までの顔ぶれは前年と変わらなかった。

 

【編集部コメント】

検索データに見る「訪日前の関心層」攻略のヒント

訪日前の検索行動には、訪日外国人の関心が色濃く表れている。定番スポットの人気が続く一方、「勝尾寺」のようにSNS発信をきっかけとした新規スポットの台頭も見られた。エリア別の傾向からは、歴史・文化、非日常体験、買い物など、旅行ニーズの多様化が明確である。自地域や施設の魅力がどの国・層に響くのか、検索という初期接点から逆算した情報設計が、今後の誘客戦略のヒントとなるだろう。

(出典:『2025ナビタイム スポット検索ランキング』を発表

 

▼関連記事はこちら
2026年の訪日旅行の新トレンド 地方都市に脚光、徳島742%増・旭川476%増も

関連インバウンドニュース