インタビュー

国際自動車株式会社 代表取締役社長 東京ハイヤー・タクシー協会 理事 藤森健悦氏②

2011.12.09

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バイリンガルドライバーの拡充と観光タクシーサービスの強化

村山

外国人観光客に向けて、具体的にどのようなサービスをご提供されているのでしょうか。

藤森

元々、外国から国賓やVIPの方々をお招きして実施される国際的なイベントにおいて、私たちkmのハイヤーが利用されることが多く、外国語ができるドライバーの登用には積極的でした。現在タクシーでは、英語を操れるドライバーが500人以上、中国語、韓国語が堪能な者も数多く在籍しています。今後のインバウンド需要の増加に向け、さらなる拡大を画策しているところです。

村山

それは、タクシーを呼ぶ際に、バイリンガル対応のドライバーを指定できるということでしょうか。

藤森

そうです。
現在では、WEBやスカイプ電話によるご予約に対応しており、こちらにもバイリンガルのオペレーターを配備し、親切丁寧にご案内をしています。

また、最近では、マレーシア、シンガポール、台湾や香港などアジア各国を中心にアメリカ、イギリス、フランスなど欧米からお越しになられる観光客のご利用が増加しているため、各国語が堪能な社員の採用も本格的に検討しているところです。

村山

多くの外国人の方々がkmタクシーを利用されているのには、何かその背景に特別な営業施策などがあってのことなのでしょうか。

藤森

中国や韓国をはじめシンガポールなどアジア諸国の日本旅行者に配布するパンフレットへの広告掲載、在日外国人の社交クラブの会報誌やその他在日外国人情報誌への広告掲載、観光業界が主催するトラベルマーケットなどのイベントに、当社のサービス案内を配布するなど各種プロモーションを積極的に実施しています。

その甲斐あってか、利用料金が定額となる「成田定額タクシー」「羽田定額タクシー」の空港送迎サービスや、6人乗りのワンボックスタクシーも、グループや家族単位の観光客の方々にとって単価がお安くなることで好評を博しています。また、東京の名所・旧跡を巡る観光タクシーも人気が高まっており、さらに注力していきたいと考えています。

村山

観光タクシーは面白いですね。ドライバーの方がご案内をされるのでしょうか?

藤森

当社の観光バス部門のバスガイドがお客さまに喜んでいただけるノウハウや観光スポットのデータとマニュアルを保有していますので、このデータを編集、英訳し活用しています。


さらに、一歩踏み込んだサービスとして、それらの名所・旧跡が、来日される外国人の方の母国とどのような関係性があるのか。過去の歴史などを盛り込みながらご説明できれば喜んでいただけるのではと検討中です。いうなれば、私たちは、感動を与える観光を推進したいということです。

 

さらに、タクシー以外に、路線バス事業として「お台場レインボーバス」と「kmフラワーバス」を運行。全車両に公衆無線LANサービスを搭載し、こちらも外国人観光客の方々にご好評いただいている状況です。

 

さらに進化を遂げることで日本のタクシーサービスは世界に飛躍

村山

業界の発展に寄与していきたいとおっしゃる藤森社長ですが、今後の展望をお聞かせいただけますか。

藤森

日本にタクシーが誕生してから100年が過ぎました。これは、他の乗り物と違い、ドアツードアで利用ができる独自性があるがゆえのこと。良い意味でも悪い意味でも、変わることのない業界だと言えます。だからこそ、改革を進める必要があるのです。

私の持論ですが、サービス、ホスピタリティの面においては、当社とライバル会社である日本交通のタクシーはともに世界レベルだと自負しています。

確かにイギリスのロンドンタクシーやアメリカのイエローキャブも世界的には評価が高いのですが、前者はドアも自動ではなく、ドライバーが開けてくれるわけでもありません。後者に関しては、決してサービスが良いとは言えず、チップを必要とするから、価格的にも日本のタクシーと変わりません。ハード、サービスの面においては、この二つに引けを取ることはないと思うのです。

村山

確かにおっしゃるとおりですね。私もアメリカに留学していたので、イエローキャブの実情は理解します。それだけレベルの高い日本タクシー業界では、海外における事業展開も可能ではないのでしょうか。

藤森

サービス業としての日本のタクシーを高く評価する国民性がある国であれば、海外進出もあり得るとは考えています。

東京では、従来、法人客が多かったのですが、リーマンショク以降、法人の契約数が大幅に減少し、その半面、個人客の利用が増えています。個人のお客さまは、どのようなときにタクシーにご利用になっているか。急いでいるとき、雨が降っているとき、荷物が多いとき、病院に行くとき。つまり、「困ったとき」です。私たちの願いは、そのようなお客さまをはじめ、もっと気軽にタクシーを利用していただくことです。そのためにも、もっとお客さまに心を寄せていかなければいけないと考えています。

近距離でご利用になるお客さまが、「近くて申し訳ありませんが・・・」と言われてご乗車になることがよくあります。利用するお客さまが、サービスを提供する側に気を使われる、サービス業として考えられない現実です。外国人の方々にとっても同様でしょう。こうした現実を変えていくために、会社自らが変わっていかなければなりません。

村山

確かに、料金が安くなれば、外国人観光客の方々もタクシーを利用しやすくなりますね。最後に、インバウンドを盛り上げるアイデアなどございましたらお聞かせいただけますでしょうか。

藤森

東京を象徴する文化ということで、江戸城の天守閣の木造で再建することを提案します。大阪、名古屋などにお城があるのに、首都にないのは寂しいですし、江戸城は天下泰平、平和の象徴です。
外国人観光客にとっても魅力的な観光スポットになるに違いありません。

村山

それは、大変面白いアイデアですね。

藤森

とにかく、新しいことにチャレンジしなくては、その場で足踏みして停滞するだけです。当社は、常に新たなサービスを導入し、進化を続けることが重要だと考えています。

村山

本日はありがとうございました。

 

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