インバウンドコラム
【台湾編】世界の国・地域別、新型コロナ最新情報:感染対策の優等生は、どのように往来を再開させるのか?
依然として新型コロナウイルスが猛威を振るう中、各国政府は感染拡大防止と経済回復の両輪を回すために、徐々に国境再開に向けて動き出しています。この記事では、「新型コロナウイルスの感染拡大が抑制されたら、すぐにでも海外旅行に出かけたい」「ビジネスで海外出張をする必要がある」といった方々に向けて、世界の国・地域ごとに新型コロナウイルスに関連するこれまでの情報や動きをお届けします。
今回は、新型コロナウイルス感染抑制で世界的にも注目される台湾の状況についてまとめました。
台湾の出入国制限について
ビジネスでの長期滞在者向け「レジデンストラック」
日本、台湾両国は9月8日より、ビジネス上必要な人材等の出入国のため「レジデンストラック」を開始しています。入国・入境後14日間の自宅等での待機は維持しつつ双方向の往来を再開させるもので、駐在員の派遣、交代、長期滞在者が対象となります。
台湾に入境した場合、2週間の隔離
台湾へ海外から入境した場合、台湾人を含むすべての人に対して、自宅や滞在場所などでの14日間の隔離が義務付けられています。6月22日からは、一部の国からビジネス目的で入境する場合の規制を緩和し、低リスク国からの入境者は隔離開始から5日目に、中-低リスク国からの入境者は7日目に、新型コロナ検査に申し込むことができるようになりました。陰性が確認されれば「自主健康管理」となり、外出が認められます。日本も当初は中-低リスク国のリストに加えられていましたが、日本国内での感染が増加したことを受け、8月5日に中-低リスク国の指定から外されました。そのため、12月22日現在、日本から入境した場合は、ホテルなどで14日間隔離する必要があります。
低感染リスク国・地域:
ニュージーランド、マカオ、パラオ、フィジー、ブルネイ、タイ、ブータン、ラオス、ナウル、東ティモール、モーリシャス、ベトナム、マーシャル諸島、シンガポール、カンボジア、オーストラリア
中-低感染リスク国・地域:
該当なし
隔離対象者用のホテルは、台湾交通部観光局が運営するホームページ「旅宿網」(中国語のみ)に掲載されています。
パラオとの間にトラベルバブル構築に向け協議
現在、台湾から海外への団体旅行の催行は「無期限延期」となっています。しかし、台湾の陳時中衛生福利部長(保健相)は10月15日、パラオとの「トラベルバブル」(相互間の往来)の構築に向けて協議を進めていることを発表しました。団体旅行が対象で、旅行者にはPCR検査の陰性証明書の提出と医療保険の加入を義務付け、入国・入域後の隔離措置は免除する方向で検討しているそうです。陳保健相は、その他の国については現時点では検討していないと説明しています。
24日、中央感染症指揮センターはパラオとの「トラベルバブル」の構築が年内の実行は難しいと発表しました。パラオの入国規制が厳しいというのがその理由です。
「日本=台湾」間の国際線情報
ANA は8月より毎週月、金のスケジュールで「羽田=台北」線の往復1便ずつの運航を再開しています。JALは10月より月、水、金、土、日のスケジュールで「羽田=台北」線を、火、木のスケジュールで「成田=台北」線を往復1便ずつの運航を再開したほか、台湾の航空会社・チャイナエアラインは「成田/関西/中部/福岡=台北」線などをすでに再開しており、10月からは「成田/中部=台北」線で増便しています。また、台湾のスターラックス航空は12月15日より「関西=台北」線を、同16日より「成田=台北」線をそれぞれ週2便で運航しています。
台湾の新型コロナウイルス感染者数
(2020年12月22日現在、中央感染症指揮センター発表)
【累計感染者数】766人
【死亡者数】7人
【回復者数】627人
台湾では人口(2,378万人)に対して感染者数が極めて少なく、新型コロナ対策の成功国として世界から注目を集めています。最近の感染者はほとんどが輸入症例(海外から台湾への入域時検査で判明)となっており、4月13日以降は市中感染者ゼロが続いています。
台湾における現在の生活
台湾では、日本や欧米のような緊急事態宣言の発令はなく、早い段階から感染防止策が徹底されていました。台湾では中央感染症指揮センターが「防疫新生活運動」を呼びかけ、新たな生活様式で下記6つの方針を定めています。
1.マスク着用の習慣化
2.石鹸での手洗いや消毒の励行
3.ソーシャルディスタンスの確保(屋内1.5メートル、屋外1メートル)
4.外出の際は混雑しない時間帯を調べてから出かける
5.屋内に入る際の検温に協力する
6.飲食店のテーブルには飛沫防止パーテーションを設置する
また、8月5日には、公共施設(医療機関、公共交通機関、商業施設、市場・教育施設、展示・講演会場、競技場、寺廟、祭事、娯楽施設、大型イベント活動・会場)でのマスク着用の徹底と、手洗いと咳エチケットを徹底するよう呼びかけています。地下鉄(MRT)ではマスク着用が義務付けられ、違反者などには最大で15,000ニュー台湾ドル(約55,000円)の罰金が科せられるため、注意が必要です。
台湾にはいつ行けるようになる?
台湾交通部によると、台湾は、「防疫旅行」→「安心旅行」→「国際旅行」の3ステップを設けて観光再開を目指しています。現在は第2段階まできています。次のステップとなる第3段階の「国際旅行」の期間は、当初10月1日〜12月31日と言われいましたが、現在はまだ国際観光旅行の解禁については見通しがたっていません。
ビジネス目的の入境に関しては、10月21日、徹底した感染対策を講じることを条件に、入境後の隔離期間を短縮する規制緩和を検討していることを台湾の中央流行疫情指揮センターが明らかにしています。また、海外への団体旅行の催行は「無期限延期」としている台湾ですが、パラオとの間に「トラベルバブル」の構築し、まずは団体旅行開放に向けて協議を進めていることを発表。少しずつではありますが往来再開に向け動きが出始めています。
台湾域内の人の動きは?
台湾の地下鉄(MRT)は、10月11日の輸送人員が4万7000人に達し、1日あたりの輸送人員が新型コロナの感染拡大以来、過去最高を記録しました。また、台湾の交通部観光局2020年の域内旅行者が延べ2億1,000万人に上り、過去10年間で最高を更新するとの予測を発表しています。海外旅行ができない反動で、域内の旅行市場は活況を呈しているようです。(詳しくはこちら)
これまでの台湾の動きまとめ
●2019年12月31日:中国がWHOに新型肺炎の報告をすると、台湾はすぐさま機内検疫の実施を発表
中国政府がWHO(世界保健機関)に武漢で発生した「原因不明の肺炎」について報告したのは2019年12月31日。台湾はすぐさま対策をスタートし、同日には武漢からの直行便で到着する乗客に対して機内検疫を実施することを発表した。
ちなみにWHOは報告の翌日には対応チームを発足させたが、新型コロナウイルスを巡る「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言したのは約1カ月後の1月30日。新型ウイルス流行をパンデミックと認定するのは、さらに1カ月以上先の3月11日。
●2020年1月24日:中国からの団体旅行の受け入れ禁止
中国が国内の旅行会社に対して、1月27日より、すべての海外への団体旅行の中止。それよりも早い段階で台湾では中国からの団体旅行の受け入れ禁止の措置をとった。
●2月6日:中国全土からの入国を禁止
台湾は、2003年のSARSの経験から政府の動きは早く、2月6日から中国人観光客の入境を全面的に禁止。中国と結ぶ直行旅客機の運航を大幅に制限するとともに、中国と結ぶ客船の運航も全面的に停止、クルーズ船停泊も原則拒否の立場をとった。(詳しくはこちら)
●2月22日:日本への渡航警戒を「レベル2」に引き上げることを発表
台湾の厚生省にあたる衛生福利部の中央感染症指揮センターは、日本への渡航警戒を「レベル2」に引き上げることを発表した。(詳しくはこちら)
●3月19日:すべての外国人の入境を禁止
●24日:台湾での航空便の乗継を全面的に禁止
台湾では、これまでの台湾国籍を持たない外国人への入国禁止に加え、3月24日より台湾での航空便の乗継を全面的に禁止することを発表した。(詳しくはこちら)
●4月30日:「防疫新生活運動」の開始を発表
台湾の中央感染症指揮センターは、国内での感染が落ち着いてきているのに伴い、国民の生活が徐々に通常に戻れるよう「防疫新生活運動」をスタートさせることを発表した。(詳しくはこちら)
●5月27日:3ステップの観光振興計画をスタート
観光業の振興のため、台湾では「防疫旅行」→「安心旅行」→「国際旅行」の3ステップで進めていく計画を発表した。(詳しくはこちら)
●6月7日:行動制限措置を緩和
域内での感染抑制できていることから、それまで出していた国家風景区、観光娯楽園区の人や車の制限を解除。台湾域内の観光やイベントの制限を大幅に自由化した。
(詳しくはこちら)
●6月22日:入境規制を一部緩和。日本も中-低リスク国リストに
海外から入境するすべての人は、自宅や滞在場所などでの14日間の隔離が義務付けられているが、ビジネス目的で低リスク国からの入境者は隔離開始から5日目に、中-低リスク国からの入境者は7日目に、新型コロナ検査に申し込むことができるようになり、陰性が確認されれば「自主健康管理」となり、外出が認められるようになった。日本も中-低リスク国のリストに加えられた。ただし、(詳しくはこちら)
●6月26日:桃園空港は乗り継ぎ便の受け入れを再開
同一グループの航空会社が運行する便を利用し、かつ空港滞在時間が8時間以内の場合に限定し、乗り継ぎ便の受け入れを再開させた。(詳しくはこちら)
●6月29日:外国人の入境制限を一部緩和
台湾では6月29日より外国人の入境制限を一部緩和しており、この緩和策によりビジネス、親族訪問、研修、国際会議(MICE)などの目的による入境は認められるようになった。(詳しくはこちら)
●7月1日:消費喚起を促す商品券「振興三倍券」を発行
台湾政府は新型コロナウイルスの影響により深刻な打撃を受けた経済の活性化を図るために、7月1日から消費喚起を促す商品券「振興三倍券」の発行を開始。(詳しくはこちら)
●8月5日:日本のビジネス入境、隔離短縮を中止
台湾の中央流行疫情指揮センター(CECC)は、日本国内で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることを受け、日本に対する新型コロナウイルス中低リスク国の指定を取り消した。(詳しくはこちら)
●8月6日:台北メトロ、マスク常時着用を義務化
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、台北メトロ(MRT)は8月6日以降、改札に入ってから出るまでの間はマスクを常時着用することを乗客に義務付けた。(詳しくはこちら)
●8月8日、9日:1万人がアリーナでコンサートを楽しむ
台湾では8日、9日の2日間、両日共に約1万人が集まるコンサートが台北アリーナで開かれた様子を、アメリカのタイム誌が報じた。(詳しくはこちら)
●9月8日:台湾ー日本間で「レジデンストラック」の運用スタート
8日からは、日本との間で「レジデンストラック」の運用が開始された。これにより、入国、帰国後の14日間の自宅などでの待機などの防疫措置を講じることで、駐在員などの長期滞在者の往来が可能になった。(詳しくはこちら)
●10月4日:台湾航空大手2社、2020年上半期世界1位と4位の営業利益
台湾航空大手の中華航空(チャイナエアライン)と長栄航空(エバー航空)は、2020年上半期(1〜6月)の本業の営業利益がそれぞれ世界1位と4位になった。(詳しくはこちら)
●10月6日:台湾エバー航空、対人距離を確保するサービスを開始
台湾のエバー航空は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う旅客ニーズの変化に合わせ、対人距離を保てる新たな予約サービスを開始した。このサービスでは、隣接する前後左右の座席を合わせて購入できる「複数座席指定」や、エコノミーやビジネスなどの各クラスの客室のうち、独立した一区画を全部貸切にできる「エリア指定」など、プライベート空間を持てる選択肢が用意されている。(詳しくはこちら)
●10月21日:ビジネス目的の入境に、規制緩和を検討。韓国を中低リスク国に加える
台湾の中央流行疫情指揮センターは21日、ビジネス関係者などについては徹底した感染対策を講じることを条件に、入境後の隔離期間を短縮する規制緩和を検討していることを明らかにした。また、台湾の陳時中衛生福利部長(保健相)は、パラオとの相互往来となる「トラベルバブルの構築」に向けて協議を進めていることを発表した。
中低リスク国からの入境者については通常14日間の隔離を7日間へ短縮、低リスク国からの入境者は5日間への短縮が認められているが、10月21日より韓国が中低リスク国に加わった。(詳しくはこちら)
●11月18日:台湾籍のトランジットも陰性証明書の提出を義務化
台湾の中央流行疫情指揮中心は、12月1日〜2月28日の間に台湾へ入境する、もしくは台湾の空港で乗り継ぎをする渡航者に対し、国籍や渡航目的を問わず、搭乗3日以内の陰性証明書の提出を義務付けることを発表した。また、モンゴルでの感染拡大を受けて同国を「低リスク国」から「中低リスク国」に変更した。(詳しくはこちら)
●12月1日:台湾、新型コロナの「秋冬版」対策で入境時の規制強化
台湾政府は、12月1日より新型コロナウイルスの入境規制を強化。入境においては国籍や滞在目的を問わず、搭乗前3日営業日以内の新型コロナウイルスのPCR検査報告書の提出が義務付けられる。検査報告書がない場合は入境時に自費で検査を行う必要があるほか、検査報告書が偽造、虚偽のものだった場合は罰金が科せられる。また、マスク着用も義務化。8つに分類された場所での着用が義務付けられ、違反者には同様に罰金が科せられる。中央感染症指揮センターの陳時中指揮官は、「秋冬版」コロナ対策の期間は、来年の2月29日までとしている。(詳しくはこちら)
●12月2日:「中低リスク国・地域」から、香港を除外
中央感染症指揮センターは2日、香港での新規感染者が急増していることを受け、香港を感染リスクの「中低リスク国・地域」から除外した。(詳しくはこちら)
●12月23日:「中低リスク国・地域」から、香港を除外
中央感染症指揮センターは23日、「低リスク国」に指定されていたタイ、ブータン、オーストラリアで新型コロナウイルスの感染が拡大しているとして、「中低リスク国」へと指定を変更した。(詳しくはこちら)
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