インバウンドコラム
清明節の国内旅行者1.2億人、コロナ禍前の9割まで回復
中国文化観光部は5日、2021年の清明節(先祖を祭る中国の伝統行事)連休期間中には、中国の国内旅行者数が延べ1億200万人に達し、前年同期比144.6%増、感染拡大前の94.5%に回復したと発表した。国内観光収入は271億6800万元となり、前年同期比228.9%増、感染拡大前の56.7%まで回復している。国内観光の需要が増加した背景には、旅行商品の価格が下がっていることや、観光地が入場チケットを割引や無料で提供していることなどがある。今年の清明節は4月3日〜5日の3日間が連休となり、清明節の前後に郊外に出かけて新緑の中で遊ぶ「踏青」を楽しむツアーや、近場のツアー、農村観光、花見などに人気が集まった。また、革命の史跡をめぐる「赤色観光」も引き続き人気だ。
プライベート団体ツアーは19年比で260%増加、ドライブ旅行も人気
感染拡大防止のため、ドライブ旅行やレンタカーツアー、プライベート団体ツアーも需要が多く、中国の大手OTAシートリップ(携程)のプライベート団体ツアーは19年比で260%増加した。また、OTAのフリジー(飛豚)とクオーク(夸克)が連携して発表した『清明節連休の旅行報告』によると、清明節連休中には「リベンジ的旅行」のニーズが高まり、新型コロナウイルス感染拡大後、初めて観光市場が活況を呈したという。この報告書によると、旅行予約は前年同期比450%増加し、19年同期比を超えた。省外への長距離旅行も徐々に人気が回復しており、予約件数は前年同期比で200%以上増加した。都市別では、人気のある旅行先は1位が上海、2位が北京、3位が広州だった。
清明節のホテル予約は1.5倍に増加
清明節連休には、ホテル業界も順調に回復している。旅行予約サイトのQunar.Comのデータによると、清明節連休中の全国のホテル予約は19年同期比で1.5倍に増加し、1部屋1泊あたりの価格が19年同期比で35元(約580円)上昇している。シートリップ(携程)が発表した「2021 Ctrip Spring Travelビッグデータレポート」でも、清明節連休中はホテルバケーションの人気が高く、2019年同期比で20%以上、高級ホテルにおいては35%増加した。航空業界では、清明節連休中に民間航空を利用した乗客は43億2800万人に達し、前年同期比256.4%増加したという。
5月の連休は清明節以上の旅行需要に期待。中長距離ツアーのニーズ高まる
中国で清明節の次に控えているのは、5月1日〜5日までのメーデー連休だ。メーデーに向けた人々の旅行意欲はこれまで以上に高まり、シートリップ(携程)のデータでは、5月1日の同社を介した航空券、ホテル、チケット、レンタカー予約は、2019年同期比でそれぞれ23%、43%、114%、126%増加した(4月14日時点)。こうしたデータから判断すると、メーデー連休には清明節連休以上の人が動き、旅行者数が延べ2億人に達するのではないかという見方もある。一方、Airbnbが発表した2021年メーデー旅行トレンドによると、都市部や休暇先の物件検索数が前年同期比の10倍以上に達している。また、昨年のメーデー連休で主流だった「短距離ツアー」や「近場ツアー」とは異なり、今年は「中長距離ツアー」や「県をまたいだ旅行」の需要が回復すると見られている。
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