インバウンドコラム
インド、感染急拡大で医療崩壊の危機
インド政府の発表によると、同国の1日あたりの新規感染者数は25日に35万2991人となり過去最多を更新、同日の死者数も過去最多の2812人に上った。3月中旬から急激に感染が拡大し、 危機的な状況が続いている。その背景には、「二重変異株」や「三重変異株」の出現、ヒンズー教の祝祭への数百人の参加、防止対策の緩みなどが挙げられる。インドでは全国的なロックダウンは実施されておらず、各地域が独自の規制を講じている状況だが、病床や医療用酸素の不足は深刻で、医療崩壊の危機に陥っている。インド各地の火葬場や埋葬地には遺体が山積みにされており、新型コロナによる実際の死者数は、政府の公式発表よりはるかに多いのではないかとの指摘もある。
世界各国はインドからの入国を厳格化
こうした中、インドからの二重変異株の流入を防ぐために多くの国がインドからの入国規制を強化している。UAEは4月25日~5月4日の10日間、インドからの渡航者の入国を禁止。アメリカはワクチンを受けたとしてインドへの渡航を自粛するよう呼びかけている。このほかにも香港、英国、イタリア、ドイツ、豪、シンガポール、カナダなど、多くの国がインドからの入国規制を厳格化している。
香港、中国本土とのトラベルバブルに向け前進
香港政府は21日、隣接する中国広東省と隔離なしで出入境を認める往来再開に向けて協議を行っていることを明らかにした。香港市民はワクチン接種後に紙の接種証明を取得できるほか、政府が開発したアプリから記録をダウンロードすることもできる。広東省政府とはこうしたデータを共有できるように、システムの相互接続ができるよう進める方向で話し合っているという。香港政府は中国本土との隔離なしの往来も5月から開始させたい意向を明らかにしている。
シンガポールとのトラベルバブル協議5月26日開始
香港とシンガポールの両政府は26日、隔離なしで双方を往来できる「トラベルバブル」を5月26日に開始すると発表した。香港からの旅行者は少なくとも14日前に、2回のワクチン接種を受ける必要がある。アジア金融の中心地である香港とシンガポールは、11月からトラベルバブルを開始する段取りで協議を進めていたが、香港での感染再拡大により延期されたままとなっていた。
入国規制解除に向けて進むワクチン接種、市民の1割が接種済み
香港では2月下旬から、医療従事者や60歳以上の高齢者らへのワクチン接種を開始し、3月中旬には対象を30歳〜59歳の市民に広げてきた。4月25日時点で1回の接種を終えた人は人口の11.2%となる84万2760人、2回を接種し終えた人は人口の5.8%となる43万2545人となっている。これに加え4月15日には、16〜29歳にも接種対象を拡大し、23日から予約の受付を開始している。今後は段階的に正常な生活に戻っていく方針を示し、ワクチンを接種した人から国内での規制を緩和していく。また、今後実施される他国・地域とのトラベルバブルにおいても、ワクチン接種を終えた香港市民のみ参加でき、双方の政府が同意すれば、ホテルでの隔離期間の短縮が可能になる。
入国者の陽性増加でインド、パキスタン、フィリピンからの乗り入禁止
香港政府は20日、インドの首都ニューデリー発の航空便の乗客のうち、少なくとも53人が新型コロナウイルスの検査で陽性と判定されたと発表した。香港では現在、外国からの入境者に21日間の強制隔離を義務付けているが、この期間中に陽性が判明したという。これを受け、当局はインドからの航空便乗り入れを急遽禁止。パキスタンとフィリピンからの複数の入国者からも変異株の症例が確認されたため、インド、パキスタン、フィリピンを「極めて高リスク」のカテゴリーに分類し、3カ国発の全便の乗り入れを2週間禁止している。
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