インバウンドコラム

観光客誘致を本格化させるオーストラリア、国境開放するニュージーランド・太平洋諸国

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オーストラリアとニュージーランドでは、国境を開放し、コロナ禍で大打撃を受けた観光業を回復に向けて、様々な施策を講じている。今回は、冬のシーズン真っ只中の両国と、地理的に近い太平洋の島々の観光の状況を紹介する。

 

オーストラリア、全入国規制撤廃の7月、100万人超の外国人訪問

オーストラリアはこれまで、新型コロナウイルスのワクチン接種完了を入国の条件としていたが、7月6日よりこの措置を撤廃した。これにより入国規制が全て撤廃され、ワクチン未接種者も特別な許可を得ることなく渡航できるようになった。ただし、オーストラリアへ向かう国際線機内では引き続きマスクの着用が義務付けられている。

オーストラリアへ渡航する外国人観光客数は、新型コロナウイルス感染拡大前の3分の1の水準まで回復している。厳格な渡航規制を続けている中国からの観光客は戻っていないが、インド、カナダ、インドネシアからの観光客が増加しているという。オーストラリア統計局 (ABS) の暫定データによると、今年7月には108万3240人の外国人が訪豪し、6月の73万400人から48%増加した。

7月20日、21日には、オーストラリアのクイーンズランド州から州政府観光局、ブリスベン経済開発局、ゴールドコースト観光局、ケアンズ観光局の要職が来日し、日本人観光客の誘致に向けて、東京と大阪で旅行業界向けセミナーを行った。新型コロナウイルス感染拡大前にオーストラリアを訪れた日本人渡航者は5年連続で増加し、2019年には50万人に達していた。そのうちのおよそ半数となる約22万人が同州を訪れている。

ジェットスター航空は7月21日、約2年4カ月ぶりに「成田=ケアンズ」線の運行を再開し、8月2日には「成田=ゴールドコースト」線を週3便で再開した。このほかにも、7月26日から「関西=ケアンズ」線を再開している。同社によると、成田発ケアンズ行き再開初便はほぼ満席だったようだ。このほか、ANAは6月まで週5便だった「羽田=シドニー」線を7月1日から1日1便に増便し、JALも10月から「羽田=シドニー」線を1日1便に増便するなど、豪日間の往来が活発化している。

 

ニュージーランド、8月1日より国境を完全に解放

ニュージーランド政府はこれまでビザ免除国を対象に外国人観光客の受け入れを再開していたが、8月1日からは国境を完全に解放し、全ての国から観光や留学目的を含む渡航者の受け入れを開始した。同時に海上国境も再開され、クルーズ船などの停泊も認められている。同国では2020年3月に国境を閉鎖して以来、新型コロナウイルスに対する厳格な対策を講じていたが、今年5月2日にはビザ免除国からの旅行者に対する入国制限を撤廃するなど、段階的に規制を緩和してきた。

ニュージーランドへの渡航者は、出国前にオンラインで旅行申告書(NZTD)を提出し、NZeTA(電子渡航認証)を取得する必要がある。入国の際は2回以上のワクチン接種証明書の提示が義務付けられ(17歳以上)、到着時と到着5日目または6日目に抗原検査を実施しなければならない。

ニュージーランド航空は現在、「成田=オークランド」線を週2便運航しているが、8月29日からは週3便、11月28日からは週4便、12月12日からは週6便、来年2月13日にはデイリー化し、観光シーズンを迎える冬のスケジュールに向けて段階的に増便していく予定だ。

ニュージーランドの観光業は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大打撃を受け、2019年には162億ニュージーランドドル(約1兆3685億円)あった国際観光収入が、2020年には15億ニュージーランドドル(1267億円)へと激減した。

 

太平洋の島々でも、8月に国境再開の動きが活発化

ニューカレドニアは8月1日、新型コロナウイルスに関する入国要件を全て撤廃した。これにより、同国に渡航する際は、健康に関する診断書の提示や渡航の正当な理由の記入、陰性証明書の提示、到着後の抗原検査やPCR検査の受診に同意する宣誓書の提示が不要となった。

トンガも8月1日より国境を再開し、8月にはニュージーランド発便とフィジー発便がそれぞれ週2便、オーストラリア発便が週1便運航されている。入国にはワクチン接種証明と、出発24時間以内に実施した迅速抗原検査(RAT)の陰性証明書の提示が必要で、到着後は3〜5日目の間に1度PCR検査を受ける必要がある。

サモアは8月8日、外国人観光客の受け入れを再開した。同日にはオーストラリアやニュージーランドから直行便で到着した観光客が入国し、観光局関係者らが伝統的な衣装や音楽で歓迎した。同国では、5歳以上の国民約93%がワクチン接種を完了し、現地従業員のトレーニングやスキルアップ、検査能力を強化するなどして、国境再開への準備を整えてきたという。

 

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