インバウンドコラム
世界各国が続々と入国規制を緩和・撤廃する中、中国は「ゼロコロナ政策」を堅持し、現在もなお固く国境を閉ざしている。しかし、厳格な新型コロナウイルス対策に対する抗議デモが発生するなど、国民の不満が高まっていることを受け、規制が少し緩和されたようだ。今回は中国の規制緩和や国内の状況について紹介する。
中国、11月に入国規制を一部緩和。入国後の隔離が10日間から8日間に短縮
中国では11月に新型コロナウイルス対策の入国規制が一部緩和され、入国後7日間の指定施設での集中隔離と3日間の在宅隔離を義務付ける「7+3」から、5日間の集中隔離と3日間の在宅隔離を義務付ける「5+3」に短縮された。隔離中は、集中隔離期間の1、2、3、5日目と、在宅隔離期間の1、3日目にPCR検査を行う必要がある。また、渡航前には48時間以内に2回のPCR検査を実施する必要があったが、現在は1回に変更されている。ただし、旅行目的での入国はいまだ認められておらず、依然としてビジネス目的での渡航に限られる。
なお、中国発着の国際線は、今冬から来春にかけて前年同期の約2倍に増便される。国内の航空会社の経営状況に配慮して国際線受け入れ制限を緩和するものだ。中国民用航空局は、今年10月下旬から来年3月下旬に中国を発着する国際旅客便は、1週間あたり前年同期比約2倍の840便に達すると発表している。
抗議デモ発生を受け、多くの省都が規制緩和
中国では新型コロナウイルスの感染者数が過去最多水準で推移(12月4日時点の7日間の平均は3万5000人)しており、ロックダウンや移動制限の対象は約4億人に上るといわれている。政府がゼロコロナ政策を堅持すれば、国内経済への打撃が長引くと予想されており、国民の不満も高まっている。中国では11月26日以降、北京や上海をはじめとする複数の都市で、政府の新型コロナウイルス対策に抗議するデモが起きた。
これを受け、新型コロナウイルス対策の厳格な行動制限を緩和する動きが広がった。抗議デモのきっかけとなったのは、新疆ウイグル自治区のウルムチで起きた集合住宅での火災だ。この火災では、新型コロナウイルス規制が消火や救助の妨げとなり、10人が死亡。ウルムチでは一部の市民に何週間にも及ぶ外出制限が課されていたが、地元当局は11月29日から居住区内でバスに乗り、買い物などに出ることが認められると発表した。このほか、北京や上海をはじめとする多くの省都でも規制が緩和され、公共施設や公共交通機関を利用する際に義務付けられていたPCR検査の陰性証明書の提示が撤廃された。
国内団体ツアーの新型コロナウイルス対策を緩和。中国文化観光省はキャンプ場増設を指示
中国文化観光省は11月15日、旅行代理店が主催する国内団体ツアーの新型コロナウイルス対策を緩和したと発表した。同省は、ツアーに参加する観光客は、陰性証明書を提示すれば省をまたぐ旅行に参加することができ、目的地で新型コロナウイルスの感染者が発生したとしても旅行の一部を禁止することはないと述べている。以前のルールでは、旅行代理店は新型コロナウイルスへの感染リスクが高いまたは中程度と見なされた地域などへの団体ツアーの企画が禁止されていた。
「チャイナデイリー」の報道によると、湖南省張家界市では11月20日、2022年中国観光サミットフォーラムが開催され、業界関係者がコロナ禍での質の高い観光開発と観光産業の回復について意見を交わした。中国観光協会の会長はビデオスピーチで、新型コロナウイルスによって観光開発を取り巻く状況においては不確実性が高まっているが、観光に対する消費者の膨大な需要に変化はなく、文化と観光産業の活力と強い回復力は依然として残っていると述べた。
厳格な新型コロナウイルス規制が敷かれる中、中国国内ではキャンプ熱が高まっている。中国文化観光省は11月21日、各地方当局に対し、需要に応じて公共のキャンプ場を増設することを指示した。同省はさらに、キャンプツーリズムの発展を促すためのガイドラインを発表。多様化するキャンプニーズに対応するため、自動運転キャラバンキャンプ場、テントキャンプ場、ユースキャンプなど、さまざまなタイプのキャンプ場の積極的な開発を進めていくという。
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