インバウンドコラム
9月20日〜22日、東京ビッグサイトで世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPO2018」と合同で、インバウンドの大規模商談会「VISIT JAPAN トラベル& MICEマート2018(VJTM)」が開催された。セラーやバイヤーの声も含めて、レポートする。
32の国と地域から350社余りのバイヤーが集結
東京ビックサイトの東7ホールを埋め尽くすブースと人。活気を帯びたディスカッションが繰り広げられ、会場全体が熱気を帯びる。前回より交流会場が1.8倍に拡大され、壮観な風景であった。
日本政府観光局主催の「VJTM2018」は、国内のインバウンド関連のセラー約570社・団体と、世界32カ国・地域の訪日旅行およびMICE を取り扱う旅行会社(バイヤー)、海外メディア約370社と、文字通り日本最大のインバウンド商談会となった。
事前のバイヤーとセラーの相互リクエストによるマッチング商談は1セッション20分間で、セラーがバイヤー・メディアの元を訪問する。加えて直接相手のブースを訪れる自由商談が前回より2倍の5時間となった。自由商談の10分毎の交代制や一部着席スペースの設置などの改善が行われたことで、より活発なネットワーキングにつながったという。

開会式。左からMICE バイヤー代表:Mr. Kun Chih Chiu(Senior Manager, COLA TOUR、JNTO清野智理事長、バイヤー代表:Mr. Vanhnasay Soulivongsak(Product Manager, BCT Touristik)、海外メディア代表:Mr. Jonathan Murrie(Managing Editor, Business Publishing Group)
バイヤー、セラーの満足度も高い
会場の中心のバイヤーブースをはさむように、セラーのブースが展開されていた。宿泊施設やランドオペレータ、旅行会社、交通機関、観光施設、各自治体やDMO、その他インバウンドに関連するさまざまな業種がずらりと並ぶ。
日本をよく知り、販売を促進しているバイヤーは、「商談はかなり忙しいが、ゴールデンルート以外にも、アドベンチャーや多彩な体験があることがわかった」との充実した様子で回答。
9月21日(金)には、ツーリズムEXPO内の見学も実施。日本国内の多様な魅力を一気に感じることができたという。これも合同開催のメリットといえよう。
九州からのランドオペレータは、「ヨーロッパや米国、メキシコのバイヤーは最初は九州のことをまったく知らないが、話していくうちに自然や体験などに興味を示して、商品にすると約束してくれた」と手応えを感じていた。

左:活発な商談の風景 右:「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」のひとつとしてセラーとして出展していた新潟県・十日町市。「豪雪地の暮らし」をテーマに「へぎそば」と「雪国の伝統食」をPR
実際に国内を視察! ファムトリップもあわせて開催
海外バイヤー、メディアを対象に、国内の視察旅行が開催された。
9月22日(土)は、半日コースの東京視察を実施。東京タワーや日比谷などのナイトスポットを巡るコース、銀座・築地などを回るショッピング・グルメコース・お台場などのベイエリアを回るショッピング体験コースに加え、歴史・文化を中心とした両国コースも含まれていた。
翌23日からは2泊3日、3泊4日の国内各地全14コース(一般9コース、MICE44コース、メディア1コース)のファムトリップがスタート。北海道から九州まで自然やグルメ、酒蔵や最新スポットが網羅されている。
開幕当日のメディアブリーフィングでは、2019年のラグビーワールドカップに際して、「地域を巻き込んで何か予定されているのか」など日本の現状を垣間見ての質問もあった。「各地域の自治体やDMOなどを中心にその地域の魅力を体験できるプログラムなどが計画されている」という回答であったが、海外バイヤーやメディアに実際に見てもらうことでアイデアや提案が出てくるかもしれない。
今年は「TOKYO2020」それ以降を超えて続くネットワークの可能性を感じさせる商談会だった。
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