インバウンドコラム

日中の企業家など200名が集結「日中ツーリズムサミット2018」開催、訪日中国市場に大きな期待

2018.12.26

堀内 祐香

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12月5日、日中ツーリズム企業家倶楽部は「日中ツーリズムサミット2018」を東京で開催。2018年の訪日中国市場における変化、中国人旅行者が「今」求めていること、中国ビジネスの攻略法についてなど、活発なディスカッションが行われた。

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これまでも、インバウンド関連のイベントは数多く開催されてきたが、中国市場にフォーカスしたサミットは、今回が初めて。日中の企業20社が協賛した今回のサミットでは、中国ビジネスの最前線で活躍する経営者やスペシャリストが登壇。中国の企業家、日本側の行政機関や民間企業の経営者や幹部、600万人のフォロワーをもつインフルエンサーなど、約200名が参加した。

 

主催・主賓挨拶「チャンスと挑戦が伴う中国訪日市場」

日中ツーリズム企業家倶楽部創始者・株式会社やまとごころ中国事業部部長 王璇(Wang Xuan)
株式会社JTB訪日インバウンドビジネス推進部担当マネージャー  藤田清氏

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2017年の訪日中国人は700万人と、訪日市場全体の4分の1を占める中国市場は、多くのビジネスチャンスがある。ところが人口は日本の10倍の13億人、面積は約25倍と圧倒的な大きさを誇り、地域や世代、趣味嗜好によってニーズが異なるがゆえに、中国市場を理解するにはハードルが高い。そのため、対応が後回しになることも多々あった。ただし、中国市場のリアルな現状や、ビジネス慣習の違いを正しく理解し、ビジネスパートナーを作ることで、巨大な中国市場での成功率を高めることができる。こういったことの重要性を伝えるために、今回のサミット開催に至った、と日中ツーリズム企業家倶楽部創始者の王は語った。

今回の協賛企業でもある株式会社JTBの藤田氏は、長年にわたる北京駐在の経験から「日本と中国の意思決定や実行のスピードなどから、多くの機会損失を実感した。今回のイベントを主催する日中ツーリズム企業家倶楽部は、若手経営者が集結しており、日本とのパートナーシップ締結や、企業間のマッチングの場を提供することに期待している。JTBも今後こう言ったスタートアップ企業との連携を進めたい」と意欲を示した。

 

Session1「2018年中国旅行市場総まとめ・2019年トレンド予測」

パネリスト:
環球漫遊グループ代表取締役社長 朴(パク)大勇氏
Ctrip グループ日本代表 蘇俊達氏
株式会社ネットスターズ代表取締役社長 李剛氏
モデレーター:
王璇

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中国の旅行、通信、決済の領域で中国訪日市場を大きく促進した重要なプレーヤーたちが2018年の訪日中国市場を振り返って共通して言えるキーワードは「多様化」「若年化」「地方への波及」だった。

中国出国時に海外で利用可能なWi-FiルーターやSIMの提供を手掛ける中国大手通信、環球漫遊グループの創業者朴(パク)氏によると、日本むけWi-Fiルーターの貸出台数は、同社での取り扱いが年間60万台となっており、特に大阪、東京、京都などをはじめ、日本への人気が継続して伸びているという。

中国大手OTA Ctripグループ日本代表蘇氏は、2018年のトレンドとして、30代の若い家族が訪日客の主力となったこと、1週間前など直前に宿を予約する旅行者が増加したこと、より地方でのアクティビティのニーズが高まったと話した。また、2018年の訪日中国人旅行者は800万人に到達すると予測した。

スマホを用いたQRコードによる支払など、キャッシュレス決済プラットフォームの日本での普及に取り組むネットスターズ代表の李氏によると、中国人の消費行動は日本の主要都市に限らず、地方にまで拡大していることに言及。それを受けて、2019年には地方を中心に日本全国10万店で自社決済プラットフォームを導入するという目標を掲げた。

 

Session2「宿泊・飲食・体験OTA3社が語る、中国人旅行者が日本に求める”いま”」

パネリスト:
株式会社Voyagin代表取締役 髙橋理志氏
株式会社Loco Partners 中国支社 董事長総経理 門奈剣平氏
日本美食株式会社代表取締役 董路氏
モデレーター:
ChinaStartupNews 創業者 家田昇悟氏

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Session2では、中国人ユーザーの獲得法とマーケティング術、中国のリアルな「いま」について宿泊、飲食、体験それぞれの分野のOTAプラットフォーマーの代表が意見を述べた。

インバウンド体験予約サイト「Voyagin」の創業者CEO髙橋氏は、国ごと、市場ごと拘わらず、常にエンドユーザーのニーズは何なのか、常に一方先を見据えオリジナル商品を開発し、改善することが大事だと強調した。

宿泊予約サイト「Relux」を運営するLoco Partners中国支社代表の門奈氏は、宿泊施設に関しては、リピート客を獲得することが難しいため、いかに複数のチャネルから新規顧客を獲得できるかが一番重要と語った。Reluxの中国の会員の大半は、訪日2回目以上の個人旅行者、上海北京在住の20代〜30代の女性だという。

一方、飲食は宿泊と異なってリピート率が高いた。レストランの予約・決済アプリを手掛ける日本美食株式会社代表董氏は、自社プラットフォームの中で、いかにワンストップ型の旅行体験を提供するか、常に取り組んでいる。

長年中国IT業界に関する研究や執筆・講演活動してきたChinaStartupNewsの創業者家田氏も、顧客を獲得するのに顧客インサイトをしっかり理解すること、継続して取り組むことが大切と、最後に強調した。

 

Session3「Inbound2.0時代おける、いまならではの中国市場の攻略法」

パネリスト:
株式会社トレンドExpress代表取締役社長 濱野智成氏
バイドゥ株式会社 国際事業本部中国ビジネスコンサルタント 國井雅史氏
BOLOME日本代表取締役社長 陳少春氏
モデレーター:
株式会社やまとごころ代表取締役社長 村山慶輔

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Session3では、中国人の訪日旅行消費行動と深く関連する「越境EC」と「ソーシャルバイヤー」の意義と活用方法、そして今人気な日本商品を紹介した。

パネラーとして登壇した企業は、みな越境EC領域で力を入れている。2018年を振りってのコメントで、3社に共通したのは、日本のコスメや化粧品、日用品の中国人による消費が安定的に成長していることだ。特に先月のW11(11月11日独身の日)でも、日本のブランドが海外ブランドの人気ランキングで一位を獲得するなど、中国人の消費力と海外ブランド品の購入行動の日常化を垣間見ることが出来る。

また、越境ECの意義について「旅マエ」の口コミ収集としての媒体、「旅アト」の定期購入のプラットフォームという二つの側面がある。特に中国の場合、激しい市場競争の中でいかに認知してもらい、記憶にとどめてもらえるかが重要になる。そのため、越境ECサイトを通じた情報発信も有効的だという。

中国は世界一マーケティング費用が高い市場と言われているなか、中国ビジネスの展開に大切なポイントは「覚悟」「継続して取り組む粘り強さ」「現地のパートナーシップ」の3つと言えそうだ。

若手企業家に日中ビジネスの未来を期待

ツーリズムサミット終了後に開催した交流会では、JNTO小堀理事が挨拶した。政府が掲げる訪日客数4000万人という目標達成に、中国は重要なマーケットであることを強調し、若手企業家を中心とするコミュニティでの交流を通じて、訪日中国市場をより盛り上げていきたいと話した。

また、今回のイベントには、600万人のフォロワーを持つ在日中国人インフルエンサー本人3名(日本情报站・林萍在日本・这里是日本)も来場してライブ中継を行い、会場を盛り上げた。

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【開催概要】
12月5日(水)15:00ー20:00
CHINA INBOUND 2.0 日中ツーリズムサミット2018/ China-Japan Tourism Summit CJTS
場所:第一ホテルシーフォート
主催:日中ツーリズム企業家倶楽部
スペシャルスポンサー:株式会社JTB
ビジネスパートナー:株式会社ネットスターズ、株式会社UROMEDIA、株式会社やまとごころ、株式会社クリップス、株式会社LocoPartners、Mulin Studio、阪急阪神ホテルズ、Ctripグループ、寻味、アクトトラベル株式会社、株式会社エヌ・エル・エヌグループ、SmarcleJapan、Jski、セレクトリンクス、和服・雅、多慶屋
メディアパートナー:微博日本、網易日本、旅日、Bussiness China、爱上东瀛、やまとごころjp

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