インバウンドコラム
ラグビーワールドカップ2019日本大会開幕を目前に控えた9月16日(月)、東京大神宮の愛称で知られる神田明神にて、大会を取材するために来日した海外メディアを対象とした歓迎イベントがJNTOの主催で開催された。イベントは、午前中に日本青年館で行われた大会組織委員会による公式メディア向け説明会に続けて、ランチレセプションの形で行われた。
歓迎イベントには、海外メディアや大会関係者約100名が参加し、お寿司やそばなどの日本食などを楽しんだ。また、大会開催自治体がデスクを構え、来場したメディア関係者に地域の産品や地酒と共にネットワーキングを実施した。
ラグビーワールドカップは多種多様な日本の魅力を知ってもらうチャンス
ラグビーワールドカップ2019日本大会は、北海道から九州まで全国12都市で試合が開催される。
開会の挨拶で、日本政府観光局(JNTO)の清野理事長は、日本は東西、南北ともに約3000キロと長い国であり、地域ならではの魅力や特色が多種多様なのが特徴なので、大会を通じて日本の地域の魅力を知ってほしいと話した。
続けて登壇したラグビーワールドカップ組織委員会の鶴田友晴氏は、大会公式マスコットキャラクターであるレンジー(Ren-G)を紹介。外見が連獅子や獅子舞に似ているレンジーだが、古来より幸福を招き邪悪を退ける想像上の聖獣として知られ、能や歌舞伎に連獅子や獅子舞が登場するなど、その由来と共に説明した。
相撲パフォーマンスを披露してメディア関係者をおもてなし
また、歓迎イベントの中では、元力士による相撲のパフォーマンスが披露された。相撲の歴史の紹介、稽古の再現や、股割を披露したのち、希望者は力士との取組に挑戦した。相撲のコスチュームを身にまとった挑戦者が力士を相手に奮闘する様子に、会場は盛り上がりを見せた。
歓迎イベントでブースを構えた開催12都市の自治体担当者は、来場したメディアの担当者に声をかけ会話を楽しみながら、多言語のパンフレットを手に地域の魅力的な撮影スポットや取材スポットを紹介し、試合前後に各自治体が用意しているメディアツアーを案内するなどして、地域のPRを行った。
観光情報を求めるメディア関係者の声も
大会開催自治体の方の話によると「大会期間中の海外メディアの方の滞在場所を聞いたが、東京大阪などの大都市を中心に宿泊するケースが多く、メディアツアーを紹介しても“滞在期間が限られている”と話す人が多かった。魅力をPRしても、参加を促すのに苦戦した」という声があった。一方で「メディア担当者の中には、日本に住んだ経験がある方や、既に日本に複数回来たことがあるという方も多く、“ラグビーの情報はもういいから、観光情報を教えてくれ”といった声が聞けた。手ごたえを感じた」と話す担当者もいた。ニュージーランドから来たメディア関係者は「試合がない日を利用して、広島にいる友人を訪ねる予定」と話しており、今回のラグビー日本大会が開催都市や大都市だけでなく、地方都市に足を運ぶきっかけとなっていることも実感できた。
特に海外メディア関係者の注目を集めたのは、地酒だ。
日本の地酒を試したいと積極的にブースに立ち寄り話を聞き、各地の日本酒や焼酎を試飲する姿を動画で撮影するなど、魅力発信に一役買ってくれそうな様子が見られた。こうした仕掛けにより、メディアが所属する媒体(主にスポーツ)での発信はもとより、本人自身のSNS等で発信され、家族や友達へのインフルエンサーになることも期待できる。
歓迎イベント終了後は、スカイホップバスによるオプショナル東京観光ツアーが開催され、参加者は夕暮れとともに都内の主要スポットを楽しんだ。
イベント自体をSNS発信のコンテンツに
JNTOではラグビーワールドカップに来日する観客、選手、関係者、メディア等全員のインフルエンサー化を目指しており、メディア向けイベントではおもてなしとネットワーキングだけでなく、イベント自体がSNS発信のコンテンツになるような構成となっていた。参加者と元力士やRen-Gとの写真・動画撮影、オプショナルツアーでの魅力発信、ハッシュタグ#TRYJAPANの利用促進等が行われた。
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