インバウンドコラム
2月19日〜21日までの4日間、千葉県幕張メッセで『インバウンドマーケットEXPO2020』が開催された。インバウンド市場と地方創生を目的とした商材とサービスが集まるイベントとしては、日本最大級の展示会となっており、通年はビックサイトで行われていたが、今年は会場を千葉に移しての開催となった。
会場内にはテーマごとのセミナー会場が複数設けられ、最新のインバウンド情報や施策についての話を聴こうと多くの人が集まっていた。そのいくつかを紹介していこう。
『2020年とそれ以降を見据えた訪日外国人対応について』をテーマに登壇した、観光庁参事官付課長補佐の小林茂樹氏は、冒頭で「新型コロナウイルス感染症における緊急対策」について言及。政府が実行していくと発表した総額153億円の対応の具体策として、打撃を受けている観光業等の中小企業・小規模事業者対策として運輸局に設置される特別相談窓口や、外国人旅行者への迅速かつ正確な 情報提供をしていくための、Japan Official Travel Appや、JNTOのTwitter、Weiboでの日本語、英語、中国語、韓国語での24時間情報発信について説明した。また、昨年のラグビーワールドカップ開催時、観戦目的で来日した外国人観光客の消費額の平均が38.5万円と、これまでの観光客平均消費額15.9万円の2.4倍であったことにも触れながら、オリパラを機に海外からのゲストへより良いサービスを提供するための取組「Team Welcome」 が1月16日にキックオフしたことなどを紹介した。
『ガストロツーリズムで地域を元気に』をテーマに登壇したANA総合研究所・取締役会長の小川正人氏は、国立公園、温泉などの観光資源があるのに宿泊者数が減っている地方の現状に触れながら、料理を目的に旅するガストロツーリズムの可能性を紹介。フランス・アルザス(フランス)、シアトル(アメリカ)、サンセバスチャン(スペイン)の世界の成功例や、ONSENガストロツーリズム、飛騨地酒ツーリズムといった日本の成功例を上げながら、2022年ガストロノミーツーリズム世界大会が奈良県で開催されることにも期待できるとした。
渋谷区とタイアップしながら、ナイト・ウォーキングツアーを手がけているジェイノベーションズ代表取締役社長の大森峻太氏は『インバウンド成功事例にみるナイトタイムエコノミー成功の秘訣』をテーマに登壇、1カ月に300~500人、多い月には1000人にもなるという参加者や予約の傾向を説明。ナイトタイムエコノミーの経済規模として、ロンドンでは5.6兆円、ニューヨークでは3.2兆円になることや、21時からのスタートで人気の大阪のナイトツアーや、23時に行列ができるメガドンキの話や外国人観光客にブームの横丁についてなども合わせて紹介した。また、ナイトタイムエコノミー成功のカギとして、「①地元の人(日本人や在日外国人)を巻き込む。②まず地元の人が楽しむ、地元の人を楽しませる。③外国人目線で考える。④自分自身がナイトタイムを楽しむこと」の4つのポイントを挙げていた。
折しも日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大が報じられるタイミングでの開催となり、4日間の来場者数は4万255人と、昨年の6割の集客となったが、多くの情報が集まるイベントだった。
(やまとごころ編集部)
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