インバウンドコラム

地域における観光再生を考える ~戦略レベルのインバウンド対策と行動が勝ち組に導く~

2020.12.09

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新型コロナウイルスの世界的な流行で、観光業はかつてない打撃を受けている。特にインバウンド市場への影響は深刻だが、コロナ禍で観光のかたちが変わろうとするなか、地域や観光に携わる事業者はその変化をいかに見定め、対応していけばいいのだろうか。

今回のトークライブでは「地域における観光再生」をテーマに、新潟県越後湯沢で旅館経営のかたわら雪国観光圏代表理事として広域観光事業を推進している井口智裕氏、台湾と日本のカルチャーシーンを伝えるウェブメディア「初耳 / hatsumimi」代表の小路輔氏、富裕層向けメディアやインフルエンサーマーケティングを手がけるTOUCH GROUP代表取締役の原田(劉)詩織氏を招き、モデレータを株式会社やまとごころ代表取締役の村山慶輔が務めた。ここではトークライブの見どころを一部抜粋して紹介する。

 

変化はむしろ追い風

長引くコロナ禍で危機的状況に置かれているインバウンド市場。だが、コロナの前と後で観光トレンドが変わろうとするなか、「変化はむしろ追い風だ」と断言したのは井口氏だ。「HATAGO井仙」、そして温泉御宿龍言の経営を引き継ぎ、2019年に「ryugon」を誕生させた井口氏は、コロナで客足が途絶えた今年4、5月に旅館業の仕組みを抜本改革。事前に情報を提供してもらうことでチェックインを簡素化するなど、必要なサービスとそうでないサービスを見極め、「ryugon」では海外旅行リピーターを意識した居心地のよい空間づくりにも取り組んでいる。「コロナで海外旅行に行けないなか、旅館が取り組む市場が広がった。ゆっくり滞在して地域を感じようという人が増えるなど、旅行者のマインドも確実に上がってきている」(井口氏)。

TOUCH GROUPの原田氏も同様に、中国をはじめとするアジアの富裕層向けのコンテンツ作りを従来の3倍以上のスピードで加速している。「完全回復にはまだ時間がかかるが、最も早く戻るのが時間、お金に余裕がある人々。今はリソースも豊富で、彼らに向けてコンテンツを仕込む絶好のチャンス」(原田氏)。インフルエンサー事業も手がける同社には、思わぬ後押しもあった。コロナによって自宅で過ごす人が増えたことで、インフルエンサーのトラフィックが急増。あらためて観光が欠かせないものと感じている人も増えており、今、動いて基盤を構築しておくことの重要性を指摘する。

 

今すぐ動けば勝ち組になる

一方、コロナ禍で日本から海外への情報発信が激減していることを危惧するのは、台湾マーケットに精通する小路氏だ。日本に比べ、コロナ封じ込めに成功している台湾では国内旅行が活発化している。小路氏は、「台湾の人々の観光に対する意識が新しいステージに入るなか、日本は今情報発信しないとアフターコロナに間に合わない。たとえば、予算が少ない地方自治体でも、Instagramで情報発信を続けるなど打ち手は数多くあるはずだ」と話す。

原田氏が「インバウンドは日本の国策だったはずだ。ぶれずに戦略レベルで今から挑戦すれば勝ち組になる」と語るように、日本全体のインバウンドに対するアクションが止まっていることを危惧する3氏に対し、「中長期的な視点と覚悟の重要性をあらためて感じた」と締めた村山。動画ではその全編を紹介する。

 

 

【開催概要】
観光再生 第1弾〜地域における観光再生を考える〜
日時:2020年11月27日(金) 16:00-17:00
会場:ZOOMウェブセミナー
主催:株式会社やまとごころ


【今後開催予定のセミナー】

観光再生 第3弾〜DXによる観光再生を考える〜
2020年12月11日(金)15:00~16:00

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