データインバウンド
世界のデジタル競争力ランキング 1位はアメリカ、日本は27位、人材や知識・スキル、俊敏性などに課題
2020.10.29
刈部 けい子スイス・ローザンヌを本拠とするビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が世界のデジタル競争力ランキングを発表した。今年はコロナ禍で世の中が変動しているが、対象の全63カ国・地域のなかで1、2位は前年と変わらず、アメリカとシンガポールがそれぞれランクイン。日本は前年の23位から4ランク下げた27位だった。
東アジアは地域ランクトップ
トップ10にはアジアから香港と韓国が入っておりそれぞれランクアップ、トップ10以下も台湾が13位から11位へ、中国が22位から16位へと順位を上げている。地域ランキングでも、東アジアは4年前から平均ランキング順位をコンスタントに上げてきており、今年は後述する3つの項目ですべてトップとなっている。2位は西ヨーロッパだった。
このランキングは政府や企業がどれだけ積極的にデジタル技術を活用しているかを示しており、1)知識(新しい技術を開発し理解する上でのノウハウ)、2)技術(デジタル技術の開発を可能にする全体的な環境)、3)将来への準備(デジタル変革を活用するための準備の度合い)の3つの項目で評価している。
日本の弱点は人材の国際経験や企業の俊敏性
その東アジアで後塵を拝する形になった日本のランキングの推移を詳しく見ていくと、2016年からこの5年で
全体の順位 23→27→22→23→27
1)知識 23→29→18→25→22
2)技術 19→23→23→24→26
3)将来への準備 23→25→25→24→26
とあまり大きな変化はない。
また、3つの項目で日本の弱点とされるのは、1)知識における人材の国際経験(63位)とデジタル技術のスキル(62位)、3)将来への準備におけるビッグデータの機会と脅威(63位)、活用と分析(63位)、企業の俊敏性(63位)であり、最下位の項目が4つもあるのが目を引く。
たとえば今回のパンデミックでその手腕が高く評価されたオードリー・タン氏をデジタル担当相に擁する台湾のこの5年の推移は
全体の順位 16→12→16→13→11
1)知識 19→16→19→17→18
2)技術 8→7→11→9→5
3)将来への準備 22→16→22→12→8
と技術と将来への準備で大きくジャンプアップしているのが目立つ。とくに日本とは逆に、企業の俊敏性は世界63カ国・地域で1位となっている。
また、韓国もこの5年で全体の順位を17→19→14→10→8と上げ、特に将来への準備では25→24→17→4→3と大きく評価を上げた。
2020年、明確な3つの傾向
IMDによると、昨年からランキングトップ10にほとんど変化はないが、2020年の結果から3つの明確な傾向が読み取れるという。 デジタル人材の効率的な使用、技術の開発と導入を可能にする効果的な規制の枠組みの提供、個人の適応性とビジネスの俊敏性の効果的な組み合わせだ。
マイナンバーカードの普及率の低さに始まり、保健所から自治体へのPCR検査の陽性者の報告がFAXで行われていた等々、日本のデジタル化の遅れは枚挙にいとまがない。ようやくデジタル庁を新しく設立することになったが、政治家の得意なセリフ「スピード感をもって」ではなく、実際にスピードのある対応が最も求められる今、課題は山積みと言わざるをえないだろう。
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