データインバウンド
2020年インバウンド消費調査中止、国内旅行消費額 前年比54.9%減の9.9兆円。訪日と国内旅行の単価の違いは?
2021.02.25
観光庁から、2020年の国内旅行消費額(速報)が発表された。従来なら国内消費に加え、訪日外国人の消費額や1人当たりの旅行支出も発表されるが、2020年は調査結果が出ていない。これは新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い2020年3月以降訪日客が激減し、調査をとりやめたためだ。
そこで今回は日本人国内旅行消費額の推移を見るとともに、過去のインバウンド消費との差を確認してみよう。
2020年の日本人国内旅行消費額(速報)は前年比54.9%減の9兆8982億円となった。内訳は、宿泊旅行消費額が7兆7394億円(前年比54.9%減)で、日帰り旅行消費額が2兆1588億円(前年比54.8%減)だった。
グラフにあるように2011年からの推移を見ても、多少の増減はあるもののこの5年間は連続して20兆円を超えており、2020年の5割強減がいかに大きな打撃となったかがわかる。
2020年の日本人国内延べ旅行者数(速報)は2億9177万人(前年比50.3%減)で、日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出(旅行単価)(速報)は3万3925円/人(前年比9.2%減)。内訳は宿泊旅行が4万8263円/人(前年比12.3%減)、 日帰り旅行が1万6428円/人(前年比5.2%減)だった。
なお、旅行単価には参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれている。旅行者数は激減したものの、1人当たりの支出はそこまで減っていないが、日帰り旅行よりも宿泊旅行のほうがより打撃が大きかったのがわかる。
2019年のインバウンド支出は日本人支出の3倍
翻って、2019年の日本人国内旅行消費額はこれまで最高の21兆9312億円だった(うち宿泊旅行は17兆1560億円)。国内旅行の1人1回当たり旅行支出(旅行単価)を見ると、3万7355円/人(前年比2.4%増)。宿泊の有無で見ると、宿泊旅行が5万5054円/人(前年比 1.4%増)、日帰り旅行が1万7334円/人(前年比0.3%増)となっている。
そして、2019年の訪日外国人旅行(一般客)の1人当たり旅行支出は15万8531円/人だった。インバウンドは、日本人宿泊旅行者(3億1162万人)の10分の1の旅行者数(2019年の訪日客数=3188万2000人)ながら、単純に見ても1人当たり日本人の3倍を支出している形になるのだ。外国人旅行者は日本人旅行より経済効果が高いと言われる所以である。
そのため、政府も2020年8兆円という目標を立てて、さまざまな施策を講じてきた。2019年は訪日客数の鈍化もあり、2020年に消費額の目標を達成するのは厳しいとの見方が多かったが、よもやパンデミックでインバウンドが壊滅的な状態になるとは誰も予想できなかっただろう。インバウンドの迅速な復活は日本経済にとっても大きな希望となるが、UNWTOの専門家の予測でも2019年のレベルに戻るには2024年末とあり、かなりの時間が必要なことがわかる。
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