データインバウンド
2022年8月世界の航空需要 力強い回復続くも供給制約により伸び悩む地域も
2022.10.17
やまとごころ編集部IATA(国際航空運送協会)が発表した2022年8月の世界の航空需要によると、航空機を利用した旅行は引き続き世界各地で力強い復調を見せているという。総RPK*は前年同月比67.7%増で、パンデミック前の2019年同月比では73.7 %(26.3%減)まで回復。ただし、全体的に7月よりはわずかだが伸びが縮小した。過去10年間の7月と8月の伸び率を見ると、8月は平均1.6ポイント増えているが、その間にも今回のように8月の伸び率が縮まったことはあったので、特に不安要素とはいえない。季節調整データでは引き続き強いプラス方向を示しているからだ。
(*RPK:有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)
国際線全体では7割弱まで回復も、アジア太平洋はまだ4割弱
8月の国際線RPKは、世界平均で前年同月比115.6%増、2019年同月比では32.6%減だった。
前年同月比では、アジア太平洋が449.2%増と、3カ月連続で世界で最も高い成長率を記録した。とはいえ、2019年同月比では62.3%減と、まだ他の地域に後れを取っている。中国の渡航規制の継続が、地域全体の回復を妨げているのは否めない。ただし、7月より伸びたのはアジア太平洋と中南米(前年同月比102.5%増、2019年同月比22.7%減)だけだった。
グラフをご覧いただくとわかるが、この2つ以外の地域ではほんのわずかだが伸び率が縮んだ。とはいえ、欧州地域の国際線RPKは前年同月比78.8%増で、2019年同月比の78.6%まで戻っている。また、北米と中東の国際線RPKはぞれぞれ前年同月比110.4%増と144.9%を記録。北米の場合は2019年の水準の85.4%で、全地域の中で最も回復が進んでいる。アフリカはほぼ変わらなかった。
ブラジル国内線は2カ月連続でパンデミック前を超える
8月の国内線RPKの世界平均は、前年同月比26.5%増となり、2019年同月比では85.4%(14.6%減)まで戻っている。
7月に続き好調を維持しているブラジルの国内線RPKは、2019年同月比0.6%増となり、調査対象の国で唯一パンデミック前の水準を超えている。また、インドも前月より3.2ポイント改善した。
一方、7月に比べて他よりも伸び率の縮小が目立ったのが、アジア太平洋地域。日本、中国、オーストラリアはいずれも、7月よりも5〜7ポイント伸び率が縮んだ。ただし、2019年同月比では、日本、オーストラリアはパンデミック前の8割以上戻っており、引き続き回復傾向にあるのは間違いない。
また、アメリカの国内線RPKは2019年同月比8.6%減と、パンデミック前の水準にあと少しだ。ただ、さらなる回復が期待されるなかで、座席の供給制約のためにRPKは横ばい傾向の兆しが見られるのが気になるところだ。
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