データインバウンド
2024年春節 中国アウトバウンド旅行の回復が加速。東アジア、東南アジアが人気 欧米の回復度合いは
2024.03.08
やまとごころ編集部中国の春節休暇で人々はどこへ旅行したのか。航空・旅行業界のデータ分析を行うForwardKeysが、春節時期を含む今年第1四半期の旅行需要についてのレポートを発表、それによるとコロナ前とはまだ差があるものの、地域的には2019年の水準を大幅に回復しているところもあるのがわかった。
(図版出典:ForwardKeys)
2024年第一四半期の見通しは楽観的
2月13日の時点で発券された航空券のデータによると、2024年第1四半期の中国発の国際線旅行は、2019年の水準と比較すると31%減で、完全回復にはまだ遠いものの、2023年第4四半期からは7ポイント増加との予測が出ている。特に顕著なのがアフリカ・中東で、この地域への渡航は前四半期と比べて21ポイント増、2019年同期比で5%減まで回復。一方、ヨーロッパとアジア太平洋は、共に前四半期よりは増えているものの、それぞれ2019年同期比26%減と31%減、アメリカ大陸への回復は最も遅れており同50%減となっている。
▶︎中国の国際線出国者数、2024年第1四半期に加速(2019年同期比、2月13日時点)
とはいえ、旅行回復の見通しは楽観的とレポートは伝える。その理由はいくつかあるが、一つは2024年第1四半期には国際線のコネクティビティ(接続性)が2019年の水準の71%に達するなど、中国から海外への座席数が増加していること。ビザ政策の好意的な進展もこの前向きな見通しに寄与している。加えて、中国では家計に占める文化とレジャー費の割合が大きくなって、旅行への関心が高まっていることが挙げられるという。
春節期間に急増したビザなし旅行
春節期間中、中国のアウトバウンド旅行は2019年の水準の32%減だった。行き先としては、東南アジアと北東アジアの2地域が最も多く、それぞれ28%と40%のシェアを占める。ただ、回復率ではそれぞれ34%減と35%減と平均以下だ。2019年同期比で見ると特筆すべきは中東で、2%増と、すでに2019年の水準まで回復。特にエジプトのカイロの伸びが顕著で、7%の増加を示し、中国人旅行者にとって急成長している目的地としての地位を確立している。
また、欧州市場では、特に中欧/東欧(2019年同期比13%減)で大幅に回復。これは、カザフスタン(同61%増)やウズベキスタン(同131%増)といったビザ免除の新興市場の人気が高まっていることに起因する。さらに、北欧(同27%減)は、オーロラ見物など、旅行先での体験がユニークな魅力となり、中国人旅行者の間で人気が出ている。
次に、春節期間中の中国人旅行者にとって最も回復力のあった渡航先都市を分析すると、クアラルンプール、マカオ、シンガポール、ホーチミンはすでに2019年の水準を上回り、それぞれ24%、10%、4%、3%の成長率を示している。クアラルンプールとシンガポールの人気急上昇は、最近発表された中国人旅行者のビザ免除政策によるところが大きい。マカオとドバイ(2019年同期比4%減)も入国条件が緩和され、これが好調の主な要因となっている。また、ホーチミンは、座席数が15%増加したことが業績を押し上げた。
▶︎春節期間、中国からのアウトバウンドに人気だった目的地(2019年同期比)
シドニー、ロンドン、メルボルンのような長距離のデスティネーションも大きく回復してきており、2019年水準と比較してそれぞれ4%、11%、16%減まで戻した。ロンドン行きの座席数がすでに2019年レベルを1%上回っていることは注目に値する。
国内線では成都とハルビンが人気
中国国内線の目的地では、成都が2019年の水準を45%上回り、最も人気のある都市に浮上した。海口は人気を維持し、予約は2019年の水準を22%上回ったが、三亜は休暇期間中の価格上昇により7%の微減となった。さらに、中国の東北地方の観光地、特に中国の氷都として有名なハルビンへの訪問者の増加が顕著で、予約は2019年の水準を25%上回った。氷上スポーツやスノースポーツの魅力に加え、ソーシャルメディアでのマーケティング活動が成功していることが、主な要因となっている。
▼中東人気は昨年の国慶節でも
2023年夏の水際対策撤廃後、大きく変化する中国の海外旅行動向。中東が人気、米国伸び悩み
▼今年の春節の動向予測でもハルビン人気が取り上げられていました
2024年中国春節動向、累計90億人が移動見込み。今年は氷雪旅行がトレンド、東南アジアも人気
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