データインバウンド
2024年10月、国慶節休暇を迎える中国市場の旅行動向。人気は韓国、タイ、日本。最も予算を割くのは?
2024.09.30
やまとごころ編集部中国を本拠とするマーケティング・ソリューション会社、ドラゴン・トレイル・インターナショナルが、今年後半の中国人のアウトバウンド旅行についての調査結果レポートを発表した。
2024年8月末までの中国からの出国者数は、目的地の多くで依然としてコロナ以前の水準には達していないものの、国際線フライト数、中国OTAでのアウトバウンド予約、ビザ申請、レンタカー、免税ショッピングなどあらゆる場面で、前年比で大幅な増加を示しており、回復は非常に順調であると言える。ドラゴン・トレイルが2024年8月12日から20日にかけて1025人の中国人旅行者を対象に実施した最新の調査も、この継続的な上昇基調を反映している。 それでは詳しく見ていこう。
(図版出典:Dragon Trail, Chinese Traveler Sentiment Report)
2024年すでに2回の海外旅行経験者も
2023年の同時期に行われた調査では、同年それまでにすでに海外旅行をした人は回答者のうちわずか4%だった。ところが2024年は、16%がここまですでに中国本土以外を旅行しており、このグループの60%が少なくとも2回の海外旅行を経験している。さらに、全体の17%が今後の海外旅行を予約しており、これは昨年の同時期の9%から大幅な増加となった。また、予約はしていないまでも、海外旅行の計画がある人は34%だった。
また、旅行者心理が安定したことも歓迎すべきことだレポートは指摘する。 海外旅行が禁止されていたコロナ禍の時期やその直後には、海外旅行先に対する安全性への認識の揺れが度々あったが、 今回の調査ではそのような揺れはほとんど見られなかった。
中国人が海外旅行をする目的については、「リラックスするため」(47%)と「異なる風景や文化を探索するため」(41%)が多かった。 また、中国人アウトバウンド観光客は非常にアクティブで、70%が海外旅行中にコンサート(テイラー・スウィフト、BLACKPINK、サマーソニック2024など)、大規模なスポーツイベント(パリ五輪、ユーロ2024、オーストラリアオープン、東京マラソンなど)、花火大会(日本)、美術館(パリ/ルーブル美術館、ソウル/リウム美術館など)などのイベントに参加したり、文化活動に参加したりしていることもわかった。
国慶節休暇でアウトバウンドは一気に増加?
さて、10月1日からの国慶節休暇、いわゆるゴールデンウィークは、海外旅行が解禁となって以来、2019年の水準に最も近づくと予想されている。 というのも2024年の残りの期間に旅行を計画している調査回答者の38%が、10月に旅行をすると回答しているからだ。ちなみにすでに旅行をした人の中では、5月(21%)と4月(20%)が多かった。
▶︎年内の海外旅行の予定は?(N=160)
旅行先で最も人気のある地域はアジアである。調査回答者の80%が2024年の直近のアウトバウンド旅行でアジアを訪れており、今年中に旅行を計画している回答者の65.9%がアジアを目的地としている。 また、長距離旅行ではヨーロッパが引き続き際立っており、回答者の12.5%がすでに訪問済み、24.3%が計画をしている地域だ。
▶︎2024年に人気のアウトバウンド旅行地域(赤=旅行済み、グレー=予約済み/予定あり)
左より、アジア、欧州、オセアニア、北米、中東、南米、アフリカ
また、今年、中国本土以外に旅行したことのある回答者に、最後に訪れたアウトバウンドの目的地を尋ねた(図版左)。マカオと香港が最も多く、韓国、日本、タイが続いた。これら5つの旅行先は、年末までの予約または旅行計画でも上位にランクされ、特に韓国が最も人気のある旅行先となった(図版右)。今年すでに訪れた長距離旅行先で最も人気があったのは、ドイツ、フランス、アメリカ、ニュージーランドだった。
▶︎2024年のアウトバウンド旅行目的地(左=旅行済み・リピート率、右=予約済み/予定あり・リピート率)
最も予算を割くのは飲食
次回の海外旅行の予算については、調査回答者の約半数(49%)が、次回のアウトバウンド旅行の予算を1万元~3万元(約20万7000円〜62万2000円)としている。では、その予算の中で、中国人観光客がより多く使いたがる分野はどこだろうか。調査の結果では、76%が飲食に予算を最も使うと答えている。というのも、現地の食べ物を試すことは、中国人旅行者にとっては常に最重要テーマとなっているからだ。次に続くのは、現地のエンターテインメントやアクティビティで、66%の中国人旅行者がここにより多くの予算を割く意向がある。
▶︎どこに予算を割きたいですか?(N=1025)
左より、飲食、娯楽、宿泊、買い物、飛行機代、旅行先の交通費
旅行情報の収集方法、SNS・動画サイトを活用
最後に、海外旅行の情報をどこから得ているかという質問には、57%が「小紅書/RED」を選んでおり、春の調査から5ポイント上昇した。また、ショート動画アプリ「抖音(Douyin)」も48%に選ばれ、人気を博している。一方、オフラインのチャネルも依然として影響力があり、「友人・家族・知人」が37%、「旅行代理店やツアーガイド」も31%を獲得した。
また、 中国人旅行者は、ホテルクーポンなどのプロモーションやビザ免除情報などを最も多く求めており(60%)、次に、他の旅行者による旅行体験に関するコンテンツを57%の消費者が選んでいる。さらに、回答者の52%がおすすめの旅程など、実用的な目的地情報を求め、旅行インフルエンサー(KOL)が共有するコンテンツも影響力がある(48%)ことがわかった。
こうして見ていくと、今後も、中国人旅行者の海外旅行に対する関心は高まり続けることが予想される。特に国慶節休暇のような大型連休が旅行需要を後押し、まもなくコロナ禍前の水準に回復することが期待できるだろう。
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