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2024年IMD世界競争力ランキング、シンガポールがトップに。アジア勢好調も日本は38位にランクダウン

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スイスの国際経営開発研究所 (IMD) が毎年発表する「世界競争力ランキング」の2024年版が公開された。「企業がビジネスで競争力を発揮しやすい環境が整っている国・地域」を順位付けしたもので、対象は、2023年の64カ国に新たにナイジェリア、ガーナ、プエルトリコを加えた世界67カ国。1989年の発表以来、36回目となる今年は、シンガポールが4年ぶりのトップに返り咲く一方、日本は過去最低の38位となった。

 

競争力ランキングとは

IMDはこの世界競争力ランキングについて、「企業の競争力を維持する環境を創造し維持する各国の能力を分析し、ランク付けしたもの」としている。

調査は、2024年3月から5月にかけて実施され、67の市場の6612人の経営幹部および中間管理職からの調査回答と、164の統計データを分析。以下の4つの因子について、合計336の項目に基づき評価されている。

「経済状況」(国内経済のマクロ経済評価)
「政府の効率性」(政府の政策がどの程度競争力を助長しているか)
「ビジネスの効率性」(企業がどの程度革新的で収益性が高く、責任ある方法で業績を上げているか)
「インフラ」(基礎的、技術的、科学的、人的資源がビジネスのニーズにどの程度応えているか)

なお、レポートが今回の重要な発見として挙げたのは、経済競争力において経済規模は関係がないということで、それを示すように上位10位は経済規模の小さい国が独占している。

 

シンガポールが4位から首位にジャンプアップ

今年のランキングでまず目につくのは、ランキング上位の変動だ。シンガポールが首位に、スイスが2位に返り咲き、昨年まで2年連続で首位だったデンマークが3位に後退した。

シンガポールは2020年に1位を獲得したのを最後に、2021年5位、2022年3位、そして2023年4位と順位を落としていたが、今年首位に返り咲いたのは、4つの競争力すべてが良かったが、特に「政府の効率性」と「ビジネスの効率性」で評価が高かったためだ。

2位のスイスは、「経済状況」と「ビジネスの効率性」の改善、「政府の効率性」と「インフラ」におけるリードを守ってランクを1つ上げた。

デンマークは、「経済状況」の低下により3位に後退した。より具体的には、雇用と国際貿易における低迷が挙げられる。

2023年2位だったアイルランドは4位に、香港は2つ順位を上げて5位、スウェーデンは同じく2つ順位を上げて6位となった。UAE(アラブ首長国連邦)は3つ順位を上げて7位となり、台湾は2つ順位を下げて8位となった。オランダは9位に後退し、ノルウェーが10位に浮上した。

地域別では、東アジアが順位を上げたが(中国:前年21位→今年14位、韓国:同28位→20位)、西ヨーロッパは「やや停滞」したままであり、2020年以降で最低の平均順位となった。

 

ランクダウンを続ける日本の課題は?

次に日本の結果を詳しく見ていこう。日本は2023年より3つ順位を下げ、38位と、過去最低の順位となった。下の図版は、2020年から2024年までの総合順位と、アジア太平洋地域での順位の推移だ。日本は1989年の第1回目のランキングでは1位で、96年までは5位以内の順位を保っていたが、それ以降は順位を下げ、近年は中位にいる。

ちなみにアジア太平洋勢でトップ20以下の顔ぶれは、タイ(前年30位→今年25位)、インドネシア(同34位→27位)、ニュージーランド(同31位→32位)マレーシア(同27位→34位)、インド(同40位→39位)、フィリピン(同52位→52位)、モンゴル(同63位→61位)となっている。

図版出典:IMD 2024 World Competitiveness Ranking

4つの因子で日本は、「経済状況」(同26位→21位)、「政府の効率性」(前年42位→今年42位)、「ビジネスの効率性」(同47位→51位)、「インフラ」(同23位→23位)となっている。各因子にはそれぞれ5つ、合計20のサブ因子があるが、その中で「物価」が55位、「財政」が64位、「生産性・効率性」が58位、「労働市場」が51位、「経営プラクティス」が65位、「姿勢・価値観」が57位と、前年より順位を下げているものが多い。なお、「経済状況」のサブ因子のうち、「国内経済」は5位、「雇用」は6位だった。

このレポートは各国の課題も挙げているが、日本の2024年の課題として挙げられているのは、次の5点だった。


・人材、新興企業、イノベーションへの投資により生産性を高める
・リスキル、キャリアの柔軟性、モビリティを通じた労働市場改革を推進する
・人口減少と高齢化の問題に対処する
・財政バッファーを再構築し、財政枠組みを強化する
・グリーン経済への移行

 

ランキングは各国のベンチマークとして機能

レポートはこのランキングについて、「各国がその進捗状況を測定し、改善すべき分野を特定するためのベンチマークとして機能し、経済発展への明確な道筋を示すだけでなく、SDGsのような世界的な目標を支援するものでもある」とし、今回アフリカの3カ国を追加したことについては、「アフリカ諸国の経済発展に積極的に貢献することになる。ランキングは投資の誘致、政策決定への情報提供、国家間の競争心の醸成に役立つ。その結果、生活水準の向上、雇用の創出、持続可能な開発につながり、今後数年間の経済情勢を形作ることになる」としている。

また、「現状うまくいっているのは、我々のランキングが示し続けているように、小規模経済圏の領域が大きい。彼らは『ネット・ゼロをより良く行う』だけでなく、平等、持続可能性、生活の質、安全対策においても優れている。この意味で、世界最大の経済大国は彼らから学ぶべき点が多い」とした。

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