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サステナブルな旅、関心度は9割超。地域への配慮が新常識にー2025年ブッキング・ドットコム調査

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ブッキング・ドットコムが発表した「サステナブル・トラベル」に関する最新の調査によると、旅行者の半数以上が、旅行が地域社会や環境に与える影響を意識しており、持続可能な旅行への関心が高まっていることがわかった。今回の調査では、旅行者だけでなく、地域住民の視点も取り入れ、観光の課題と可能性を探っている。

調査は2025年1月にオンライン形式で、過去1年に1回以上旅行し、2025年も旅行予定の意思決定者34カ国・地域の3万2000人を対象に実施した。

 

旅行者の過半数が観光の影響を認識、良い変化を残したい意識も顕著に

ブッキング・ドットコムが2016年から実施している本調査では、2025年に初めて、半数以上の旅行者(53%)が「観光が地域社会と環境に影響を与えている」と認識していることが示された。さらに、旅行者の69%(約3分の2)が、「訪問先を到着時よりも良い状態で去りたい」と考えており、旅行を通じてポジティブな影響を残したい意識が強まっている。

観光が地域社会と環境に与える影響を認識していますか?」(はいと回答した人=53%)

サステナブルトラベル2025_1

 

地域住民の6割近くが観光のプラス面を評価も、生活圧迫の課題も

今回の調査では、地域住民にも着目し、観光が地域に与える影響に関する意見を収集している。それによると、半数以上(57%)の住民が、観光は地域にプラスの影響を与えていると感じている一方で 、交通渋滞(38%)、ゴミのポイ捨て(35%)、過密状態(30%)、生活費の高騰(29%)などが課題として挙げられている。

地域住民が感じる課題(緑:交通渋滞、黄色:ゴミのポイ捨て、青:過密、オレンジ:生活費の高騰)

サステナブルトラベル2025_3

しかし、解決策として観光客数の上限設定を支持する住民は16%と少数にとどまった。むしろ地域インフラやサービスへの投資を求める声が多く、交通機関の改善(38%)、ゴミの処理(37%)、環境保全(32%)への期待が高いことがわかった。

 

観光客の行動に対する住民の評価はおおむね良好

訪問者の行動について地域住民に尋ねたところ、53%が「自国で見かける観光客は、地元の慣習や伝統を尊重している」と回答。また、54%が「地元企業を支援している」と感じており、旅行者と地域住民の間に良好な関係が築けていることがうかがえる。

また、旅行者側も地域への貢献意欲を示しており、73%が「支出したお金を地元コミュニティに還元したい」、77%が「その土地の文化を代表する本物の体験を求めている」と答えている。

 

93%がサステナブルな旅行を希望、行動にも変化の兆し

調査開始当初の2016年には、サステナブルな旅行をしていると感じていた旅行者は、半数以下の42%にとどまっていた。しかし、2025年には、世界の旅行者の93%がよりサステナブルな旅行を選択したいと回答し、実際に行動に移していることが明らかになった。

環境への配慮に関する行動の変化も顕著となっている。2020年時点には、宿泊施設を離れる際にエアコンやヒーターをオフにしていた旅行者は43%だったが、2023年には67%に増加。さらに、2025年の調査では、混雑を避けるために「オフシーズンに旅行する」(39%)、「別の目的地を選ぶ」(36%)など、旅行の時期や場所を工夫する人も増えていることもわかった。

混雑を回避するためにすること(黄色:39%=オフシーズンに旅行する、青:36%=別の目的地を選ぶ)サステナブルトラベル2025_2
(図版出典:Booking.com Travel & Sustainability Report 2025

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