データインバウンド
外国人参加者数が8割まで回復、対面開催は1.6倍 ー2024年 国際会議統計
2025.12.22
やまとごころ編集部JNTOはこのほど、2024年の国際会議統計を発表した。本統計は、日本国内で開催された国際会議の開催件数や、会議参加のために訪日した外国人参加者数などを取りまとめたもので、毎年公表されている。
対象は、開催期間が1日以上であり、主催者が国際機関・国際団体、または国家機関・国内団体(公共性のあるもの)であることが条件。加えて、参加者総数が50人以上、日本を含む3カ国・地域以上からの参加がある会議と定義されている。
本記事ではあわせて、国際会議協会(ICCA)が発表した世界全体の国際会議統計も紹介する。ただし、ICCAは「定期開催」や「ローテーション開催」などを基準としており、JNTOとは定義が異なる点に注意が必要だ。
開催件数・参加者数ともに前年比1.2倍、中・大型国際会議に外国人参加者の7割が集中
JNTOによると2024年に日本で開催された国際会議の件数は、1702件で前年比1.2倍となった。
開催された国際会議1702件のうち、外国人参加者数50人以上、総参加者数300人以上の「中・大型国際会議」は276件で全体の16.2%にとどまった。一方、外国人参加者全体の約7割にあたる10.9万人が中・大型国際会議に参加しており、大規模イベントが訪日需要の回復をけん引していることがわかる。

また、2024年に日本で開催された国際会議の参加者総数は前年比1.2倍の124.1万人で、うち外国人は15.9万人。コロナ禍前の2019年(19.2万人)と比較すると、外国人参加者数は約82.8%まで回復した。ただし、開催件数ベースでは2019年比で約58.6%にとどまっており、件数の回復には引き続き時間を要する。

開催形式は、対面で開催された会議の件数が前年の1.6倍の1184件と大きく増加した一方で、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式の国際会議は518件と、前年の8割程度に減少。
この結果、対面開催の占める割合は前年以上に拡大しており、国際会議の現場回帰が進んでいることが分かる。
「科学・技術・自然」「医学」分野が全体の7割超を占める
日本で開催された国際会議を分野別でみると、「科学・技術・自然」分野が51.0%、「医学」分野が21.9%と、合わせて開催件数の約7割を占めた。これらの国際会議の参加者数は101.4万人と、全体の8割以上に達している。
この傾向は2019年以前と比較しても構成が高く、学術・医療系の会議が先行して回復していることを示している。

日本の国際会議開催数が17.9%増、世界7位を維持し6位に迫る
なお、国際会議協会(ICCA)の統計では、世界で開催された国際会議の統計も発表されている。2024年に世界で開催された国際会議は1万1099件で、2019年比で76.0%(2019年は1万4473件)の水準にまで回復。地域別ではヨーロッパが全体の55.6%と半数以上を占め、次いでアジアが18.4%と続く。

国・地域別の開催件数では、日本は前年の363件から428件へと17.9%増加し、世界7位を維持。世界の上位10カ国・地域の中で最も高い増加率を記録し、2023年には6位のイギリスと60件の差があったが、2024年は6位のフランスとの差が4件に迫った。

また、アジア・オセアニア地域内では2年連続で1位となり、主要5カ国・地域(日本・中国・韓国・オーストラリア・台湾)の1280件のうち、日本は33.4%を占めた。
【編集部コメント】
学術・医療系が7割超、対面回帰進む国際会議 今こそ誘致戦略の再点検を
今回の結果からは、日本で開催された国際会議の外国人参加者数が2019年比で8割まで回復し、対面開催も大きく増加するなど、国際会議市場が着実に回復基調にあることが分かる。特に、日本開催の国際会議では、総参加者数300人以上の中・大型会議に外国人参加者全体の約7割が集中している。地域としては、この規模の会議を受け入れられる体制整備が、訪日需要の取り込みに直結する可能性が高い。
また、日本国内で開催された国際会議の分野別では、7割以上を「科学・技術・自然」と「医学」が占めており、学術・医療系分野への関心や支援体制の充実が、今後の会議誘致における競争力を左右する可能性がある。自地域の強みや既存施設との親和性を再点検し、どのような分野の会議を誘致すべきかを見極める好機といえるだろう。
(出典:JNTO、2024年JNTO国際会議統計)
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