データインバウンド

訪日客のクレジットカード決済額 2025年は前年比20%増 欧米勢が拡大、地方・コト消費にも広がり

印刷用ページを表示する



訪日外国人のクレジットカード決済額が2025年、前年から約20%増加したことが、三井住友カード株式会社の調査で明らかになった。大阪・関西万博の開催や円安の影響に加え、地方部や体験型消費への関心の高まりがインバウンド消費の拡大を後押ししている。

本調査は、三井住友カードが保有する国内加盟店での決済データをもとに、日本国外で発行されたVisa、Mastercard、銀聯ブランドのカード利用状況を、地域・業種・国籍別などで統計処理・可視化したもので、2025年1〜11月のデータに基づき分析されている。データは個人・店舗が特定されない形で加工されており、同社の分析サービス「Custella」を活用している。

 

訪日客クレジット決済、春と秋にピーク 2025年は春節・万博効果も

2025年のクレジットカード決済額は、2023年から約1.9倍、2024年比でも約20%増と大幅な伸びを記録した。特に、桜の見頃である4月や紅葉シーズンの10月に消費が集中。また、2025年は春節が1月末にあたったことで、1月の決済額も前年を大きく上回った。

2025年クレジットカード決済額データ

 

国内地域別動向 四国・中国・東北が高成長、愛媛・山形などで飲食消費が好調

地域別の決済額ボリュームを見ると、関東・近畿が依然として高いシェアを占めるものの、成長率では四国(前年比66.4%増)、中国地方(同52.3%増)、東北(同47.0%増)が上位にきている。国際線の増便やキャッシュレス決済の普及、SNSによる情報発信が地方誘客を後押ししているとみられる。なかでも愛媛県、山形県、岡山県では、地域特有の飲食消費が好調だったという。

国内地域別の決済額

決済額の大きい上位10都道府県のうち、特に上位5位では大阪府が前年比30.8%増と最も高い成長率を記録。万博開催に伴う宿泊やレジャー利用の増加が、消費を押し上げたとみられる。

 

国・地域別動向 ドイツ・カナダなど欧米勢の伸び顕著、国籍地域は分散傾向

国・地域別の決済額を見ると、アメリカやオーストラリアなど遠方からの訪日客による決済額が増加した。

2025年は、決済額の大きい上位10カ国・地域(アメリカ、中国、台湾、韓国、香港、オーストラリア、シンガポール、タイ、イギリス、フィリピン)の合算シェアが前年より5.6ポイント減少し、その他の国・地域の割合が拡大。訪日客の多様化が進んでいることがうかがえる。なかでもドイツやカナダをはじめとする欧米諸国からの旅行者による決済額が増加し、シェアも拡大している。

国・地域別の決済額割合

さらに月別の決済額を見ると、こうした傾向は、2025年4月の大阪・関西万博の開幕以降、さらに顕著となったことが分かる。

国・地域別の決済額割合(月別)

 

業種別動向 コト消費が2ケタ成長、免税店・高額品は減少傾向

業種別のクレジットカード決済額の推移を見ると、「コト消費」に関連する飲食店(前年比60.7%増)やテーマパーク(同33.7%増)の決済額が大きく伸びた。香港、タイ、フィリピンなどからの訪日客による日本食への関心の高さも、背景の一つとされる。

業種別の決済額割合(2025年全体)

一方の「モノ消費」では、衣服小売が前年比29.7%増と堅調だったものの、免税店(同11.5%減)や貴金属・時計(同20.8%減)は全体として減少傾向にある。特に決済額上位10カ国・地域においては、免税店が前年比14.9%減、貴金属・時計が同25.1%減と、より顕著な落ち込みが見られた。

業種別の決済額割合(モノ消費)

訪日リピーターの増加に伴い、消費行動は高額商品の購入から体験を重視するスタイルへとシフトしていると分析されている。

 

【編集部コメント】

コト消費と地方誘客の伸長が示す、観光戦略の転換点

今回のデータで注目すべきは、単なる訪日客数の増加ではなく、地方や体験型消費へのお金の流れが着実に拡大している点だ。四国や東北の決済急増や、飲食・テーマパークといったコト消費の成長、欧米圏旅行者の増加は、都市・モノ中心だった戦略からの転換を求める兆しとも言える。

消費の分散と多様化は、観光施策の立案にも活かせる視点であり、自社が担える「体験価値の創出」とは何かを、今あらためて見つめ直す好機ではないだろうか。

(出典:三井住友カード 訪日外国人のクレジットカード消費動向レポート )

 

▼関連記事はこちら
観光庁発表の2025年インバウンド消費動向調査結果

最新のデータインバウンド