インタビュー

2019.02.19

JNTO、地域プロモーション連携室の新しい取り組み 地域における訪日インバウンド事例を紹介

印刷用ページを表示する


日本版DMOがスタートして丸3年が経ち、各地のDMOの取り組みも活発になっている。メジャーな観光地だけでなく、これまであまり知られていなかった地方にもインバウンド客が訪れるようになってきた。地方へのインバウンド誘客に成功している地域もあれば、慣れないインバウンド施策を前に試行錯誤を繰り返している自治体も多い。そんな中、日本政府観光局(JNTO)では効果的なプロモーションやマーケティングを行っている地域の取り組み事例を専用のホームページサイト「地域インバウンド促進サイト」で公開している。実際にどのような事例があるのか、地域プロモーション連携室の堀晋久氏、松沼宏明氏に話を伺った。

 

地域におけるプロモーションの高度化を目指し

— 地域プロモーション連携室の目的、活動を具体的にお聞かせください。

インバウンド促進に取り組む地方自治体や観光協会、DMO法人、観光関連団体の窓口として、2017年9月に開設された新しい部署です。北海道から沖縄まで地域ごとに専任の担当者を置き、地元の方々と顔が見えるコミュニケーションを図りながら、インバウンド施策における課題やニーズ把握に努めています。また、JNTOの持つプロモーションノウハウを研修会などの場で提供したり、調査データの分析結果を「地域インバウンド促進サイト」で公開したりするなど、地域におけるプロモーションの高度化を目指して活動しています。

今年度は全国11カ所でマーケティング研修会を開催しました。デジタルマーケティングなどJNTOが実践するマーケティングやプロモーション手法を具体的に紹介しています。毎回、インバウンド促進に関わる実務者50~80名程度の参加があり、事前事後アンケートでは実に様々な声が集まります。

 

日本各地のインバウンドの取り組み事例を紹介

— 実際にはどのような声が寄せられたのでしょうか。

デジタルマーケティングに本格的に取り組みたくなったという声もあれば、そもそも何から始めればいいのかわからないという声もありました。自治体の実務者の中には初めてインバウンドに関わる人もいます。また、長年観光業に携わってきた方でもデジタルマーケティングは取り入れてこなかった人もいて、地域や担当者によって千差万別です。ただ、共通していたのは、自分たちと同じ立場でインバウンドに取り組む自治体やDMOの事例を知りたいというニーズがあったことです。つまり、市町村においてインバウンドを担当している方は、同じ市町村単位で他のエリアの取り組みを参考にしたいと考えますし、都道府県でも同様に、他の都道府県の事例を参考にしたいということです。

そこで、プロモーションやマーケティング手法をJNTOの事例ではなく、実際に日本の各地域で実践されている事例を通じて紹介すれば、より現実味のあるものとして参考にしていただけると思い、地域における訪日インバウンドの取り組み事例を紹介することにしました。

_ANA4496b

 

7つの地域の事例を通じて伝える手法

— JNTOのサイト内に掲載されている、地域の取り組み事例は具体的にはどんなものなのでしょうか。

今年度事業として、福島県や田辺市、秩父地域など7つの地域で取り組まれる特徴のある訪日プロモーションやマーケティングの手法を取り上げています。これらの地域は、「行政と民間事業者との連携」や「デジタルマーケティングの活用」など、私たちJNTOが地域の方々に役立ててもらえると考える手法を実践されている地域です。もちろん他にも効果的な手法はあると思いますし、今回取り上げた地域以外にも同様の手法を実施しているところはあります。今回紹介する取り組み事例で伝えたいことは、その手法自体もそうですが、その手法にいたった考え方や、いざ実践する際のコツやポイントであり、読まれた方々がそれぞれの地域の実情にあったものを取り入れていただければと考えています。

 

自分たちと同じ規模感の地域事例から学ぶ

— これら地域の取り組み事例を見れば、他の地域の人が参考にしやすいということですね。

インバウンド施策を行なう際、広域、地域、都道府県、市区町村などいろいろな単位があります。今回取り上げた7つの事例も県単位や広域連携など規模感がそれぞれ異なる事例が載っていますので、自分たちの地域に近いものを参考にしていただけると思います。

これまでは研修会やセミナーでもターゲット層の絞り込み、富裕層対策、欧米豪の対策などをJNTOの事例をもとに紹介することが多かったのですが、日本国内で自分たちと同じ規模感の地域事例を見ることで、より具体性が増すのではないかと考えています。

 

課題を明確化し、共通するポイントやコツを取り入れる

— 複数の取り組み事例が紹介されていますが、共通する課題や特徴などがあれば教えてください。

今回の7つの取り組み事例を通じて感じたのは、どのような手法・取り組みであっても共通するコツやポイントことがあるということです。例えば、福島県が作成した動画は外国人クリエイターが関わっていますし、田辺市熊野ツーリズムビューローであれば、カナダ出身で地元在住のブラッドさんが一から外国人向けにコンテンツを作成するなど、「外国人目線」の活用が共通項となっています。

また、ターゲットの絞り込みも共通ポイントです。例えば、佐賀県のロケツーリズムの取り組みでは「佐賀への導線」「日本の他地域でのロケ実績」「親日家かどうか」など様々な角度から分析した結果、タイをターゲットとして取り組んでいますし、秩父地域おもてなし観光公社では、連携する自治体や観光事業者がみんなで自由に意見を言い合うインバウンド政策コア会議を実施し、それぞれが得意とするターゲット国をプレゼンし合いました。その結果、台湾、アメリカ、フランス、タイの4カ国にターゲットを絞りこんでいます。

国だけでなく、地域の特性によってテーマでターゲッティングしている事例もあります。木曽おんたけ観光局は「街道歩き」や「歴史」など、田辺市熊野ツーリズムビューローは「巡礼」というテーマが響く層に向けて取り組みを実践。高千穂町観光協会が実践するマーケティングの取り組みや、「知られていない山陰」に外国人を呼び込む山陰インバウンド機構の取り組みも紹介しています。

やみくもにインバウンドに取り組むのではなく、その地域の強みや魅力を分析・理解し、自分たちの課題を明確化して、取るべき手法を絞り込んでいるのが特徴です。複数の事例から共通するポイントやコツを見つけ、それぞれの地域で取り入れてもらえればと考えています。

_ANA4501★

 

6000万人達成のためには、地方への誘客が鍵

— 最後に、今後の日本のインバウンドは、どうあるべきか。その中でこの地域の取り組み事例紹介「地域インバウンド促進サイト」は、どのような方向性での展開をお考えかお聞かせください。

昨年の訪日外国人旅行者数は、史上初めて年間累計3,000万人を突破し過去最高を記録しました。2020年に4,000万人、2030年には6,000万人という目標を達成するためには、主要観光地だけでなく、地方への誘客が一つのポイントとなります。そのためには地域の方々が主体となってインバウンド促進に携わり、地域の隠れた魅力を発掘し磨き上げ、効果的なプロモーションを展開することが重要であると考えます。

ただし、各地域がばらばらに動いてもなかなかうまくいきませんので広域で連携することが重要です。また、「外国人目線の活用」、「ターゲットの絞り込み」などを意識し取り組むなど、戦略をしっかり練って動くべきです。その際には、ぜひ「地域インバウンド促進サイト」をご活用ください。今回紹介した地域の取り組み事例に加え、訪日外国人調査レポートや統計データなども公開していますので、ぜひご活用いただければと思います。

 

JNTO地域インバウンド促進サイト

bana_inbound

Sponsored by 日本政府観光局

 

最新のインタビュー