インタビュー

観光客の誘致・流通・決済の一元化、NTT西日本が目指す地域の観光DXとは?

2023.02.27

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外国人観光客の個人旅行が再開した2022年10月以降、急速に訪日客が戻っていますが、行きたい場所を自由に旅する個人旅行へのニーズが圧倒的に高いことがわかります。

個人旅行の進展に伴い、これまで以上に地方部へ注目が集まっていますが、地域がインバウンドの個人旅行客を受け入れるには、彼らが必要な情報にアクセスできるための情報発信、体験できるコンテンツの造成、受け入れ環境整備など、解決すべき課題もあります。

ここでは、観光事業者のDX推進を通じて地域経済活性化に繋げるソリューション「スマートツーリズム&モビリティ」を提供するNTT西日本の取り組みについて、同サービスの事業統括を担う西日本電信株式会社の阪井勝彦氏と、株式会社やまとごころ 代表取締役村山慶輔の対談をお届けします。

地域が個人のインバウンド旅行客を受け入れるにあたって欠かせない「デジタル化」をテーマに、ICTを活用することで地域が抱える観光振興の課題解決に繋げた事例も紹介します。


▲西日本電信電話株式会社バリューデザイン部 スマート10x事業統括部 阪井勝彦氏(左)と、株式会社やまとごころ 代表取締役村山慶輔(右)

 

個人旅行客の集客、地域のビジョンやターゲット層の明確化が重要に

村山:観光庁の「訪日外国人の消費動向(2019年年次報告書)」によると、インバウンドの団体旅行の割合が減り、個人旅行が約7割超にまで増えています。そのためホテルや飲食店、施設などの観光事業者は、集客方法や商品づくりにおいて個人客への対応を模索しています。日本の文化や地域の個性を理解してくれる訪日外国人に来てもらい、お金を使ってほしいという自治体や事業者が多いものの、個別での取り組みでは集客力も発信力も弱いのが実情です。その地域ならではの魅力ある旅行商品を設定するには、どんなまちになりたいか、どんな層をターゲットにするのかを明確にする必要があります。そのうえで、観光における目標設定やインバウンド戦略へと移ることが重要です。

阪井:私たちは国内の観光客はもちろんのこと、インバウンドに向けても日本の各地域の魅力を発信し、地域社会の経済に貢献したいと考えています。観光事業者やDMO(観光地域づくり法人)の皆さまからは、販路拡大や情報発信のために、何から取り組めばいいのか分からない、従事するスタッフも足りない、といった相談をいただくことがあります。

 

薄利多売ビジネスから脱却、地域のファンづくりで満足度高め、消費増に

村山:「良いものを少しでも安くお届けしたい」という考えから、観光業は全般的に生産性が低く薄利多売になりがちな業界です。サービス業は人に依存するので、労働者の数が同じまま観光客の満足度だけを上げても、業務を増やすことになり、労働者は疲弊していきます。労働者が不足している現状のままで観光消費額を増やすためには、一人当たりの「単価アップ」を目標に、ビジョンを立てなければなりません。

阪井:日本には、地域の方々が気づいていない観光資源がたくさんあると思います。地域の皆さまが魅力を把握していないままでは商品づくりも情報発信もできませんし、観光客の興味をひくこともできません。観光客の消費を高めていくためには、まず満足度を高めることが必要です。そのために私たちはデータを分析し、付加価値の高い観光プランを地域の方々と一緒に検討しています。その過程でわかったことは、観光客の満足度を高めるポイントは、思い出に残る体験だということです。地域の人と出会ってコミュニケーションをとることで、旅はより思い出深くなるでしょう。そして、またその人に会いに行こうと再訪問するのではないかと考えています。

村山:観光客を呼ぶ、地域の人と話す、地域のファンになってもらう、リピーターになってもらうというステップで満足度を高めながら、観光消費額を増やしていくことが理想です。伝統工芸の職人さんと話すことで、文化的な交流ができたりするプランがあると良いですね。

阪井:当社は長年、通信という手段を用いて「人と人をつなぐ」ことを実現してきました。今後は、観光というテーマにおいても、地域の人と会える仕組みづくりに貢献していければと思います。

 

旅行客の「訪日旅行は不便」解消に欠かせない観光分野のDX

村山:インバウンドの個人客の主な悩みは「交通」「言語」「通信(Wi-Fi環境など)」「決済」の4つです。その中でも顕著なのが「交通」と「決済」です。住宅街にある民泊を利用する場合、スマートフォンを使って住所検索をしても、なかなかたどり着けない、という話はよく聞きます。また、電車やバスを利用する場合にどの経路がベストなのか、クレジットカードや電子マネーは使えるのか、周遊パスや1日利用券を使うとどれだけお得なのかをそれぞれで調べるのが大変だという悩みもあります。「日本での旅行は不便でわかりにくい」という意見を、なくすところからはじめるべきです。

阪井:そのような悩みを解決するため、観光の活性化、海外への情報発信、観光施設のDXのサポートを行っています。

観光事業者のDXサポートは、事業者が登録した観光商品を、国内外のOTAや旅行会社を介して、オンラインで流通させるプラットフォームを構築して、提供しています。観光事業者の方の販路拡大のほか、観光商品の販売実績・決済データや在庫の一元管理により業務負荷を軽減できます。

DXを進めることで、個人旅行者が事前に電車の切符、施設入場券をオンライン予約・決済し、旅行前に経路を検討し決めておくことができます。旅行中はスマートフォンなどに載せたeチケットを提示するだけなので現地での支払いは不要となり、ストレスはかなり軽減されるのではないでしょうか。今後は日本での観光周遊の計画や移動のお悩みをサポートし、旅行中に観光商材情報をお届けすることで新たな発見をしていただく仕組みも検討していきたいと考えています。

 

混雑緩和や繁閑差解消など、ICT活用で観光業の課題解決にも

村山:観光地の悩みの1つが、シーズンによる観光客数と売上の偏りです。ハイシーズン以外の観光の魅力発信や、ハイシーズンでの混雑緩和という課題もあります。

阪井:ICTを使うことで、観光客数の波を平準化させることもできるでしょう。私たちが関わった例で、公益社団法人京都市観光協会と締結した「”サステナブルツーリズム事業推進”に関する連携協定」があります。

観光需要の早期回復と持続可能な京都観光の実現にむけて、一部の時期と地域に観光客が集中することと、それによって起きる課題への対応がありました。ICTを活用し、この解決に取り組んでいます。旅行者の回遊性と分散化を高め、新たな魅力発見や混雑緩和を促す「モデルルートの造成・販売」、事前の予約情報をもとにした「受け入れ態勢の改善」、全般的な予約・着券・人流等のデータを分析し効果検証することによる「今後の課題の明確化」などを進めています。

村山:混雑回避など、さまざまな課題の解決に、ICTが活用されているのですね。たとえば、ICTを活用することで、宿泊施設が繁閑差をなくして需要を平準化し、年間をとおして売上を立てることも可能かもしれません。

阪井:観光施設の認知度・集客力アップに向け、国内外OTAを介した観光商品の流通支援など、観光施設へのDXサポートを行っています。また、地域経済が潤い、かつ住民が安心して暮らすことができるまちづくりに向けて、観光で得たデータを使い、防災、教育、福祉などさまざまな分野での活用を考えています。災害時にカメラやセンサーで被災地にいる人数や年齢層のデータを取得し、支援物資の種類や数を判断することも可能でしょう。また、観光分野で取得したデータを修学旅行の学習コンテンツづくりに活用することもできるでしょう。

村山:観光業単体の分野からはうまれない、素晴らしい発想ですね。観光を通じ、地域社会全体をより良くしようという気概を感じます。

阪井:日本を元気にするには、地域を元気にすることが大切です。観光を通じて地域経済を活性化させて地域創生に貢献したいという思いを胸に、観光客に対して地域の魅力を効果的に届けるという新しい挑戦に取り組んでいます。

 

※NTT西日本およびNTT西日本グループにより、インバウンドを含めた観光振興に関する課題解決に貢献した事例です。

「Smart10x」とは
NTT西日本が考える地域のスマート化に向けた10の分野の多様なICTソリューション。
10の重点分野を通じて、労働力不足・技術伝承・自然災害など、地域社会・地域産業が抱える課題を地元の企業や大学・医療福祉・自治体の皆さまと連携し、社会の発展や持続的成長を目指します。

「スマートツーリズム&モビリティ」
10の重点分野の1つ「観光振興」の課題解決に特化した「スマートツーリズム&モビリティ」は、人口減少・少子高齢化により、縮小が予見されている地域経済の活力を取り戻すために、ICTで新しい観光体験とストレスフリーな移動体験を提供し、持続可能で魅力ある地域社会の実現に貢献します。

サービス詳細及び問い合わせ
NTT西日本公式サイト「Smart Tourism & Mobility」内
https://www.ntt-west.co.jp/business/smart10x/tourism_mobility/

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