インバウンドニュース
欧州富裕層向けチャーターヨットによる滞在型周遊ツアー実証実験、伊勢志摩・鳥羽地域の魅力と課題が明らかに
2020.03.17
国土交通省はインバウンド対応の一環として、富裕層誘致に向けた豪華チャーターヨットなどのプレジャーボート利用による滞在型周遊ツアー活性化の環境整備を推進している。海洋レクリエーションに使用されるプレジャーボートは、各地の港に寄港しながら観光地を訪れる手段として、特に欧州の富裕層に人気がある。
同省は、昨年9月から海事観光戦略実行推進本部を設置して環境整備に取り組んでいるが、今回は観光庁と連携し、令和元年12月15日から21日の1週間、マリンチック街道「伊勢湾」が整備された伊勢・志摩・鳥羽地域において体験モニターツアーを実施した。チャーターヨットの本場の欧州のツアー事業者と関係者7名を調査員として招聘、国内初の滞在型周遊ツアー事業の実証実験となった。
ツアーは、津市から鳥羽、鳥羽湾から的矢湾、英虞湾などのクルーズと、鳥羽市観光、真珠工場見学、伊勢神宮参拝などを組み合わせたもので、宿泊も桟橋そばの宿泊施設や船内泊などバラエティに富んだ内容だ。
調査員からは、「海女小屋などボートで乗り付けられる場所が多いのは、伊勢志摩の魅力」や「志摩の英虞湾は波風少なく快適なクルーズ・ジャパニーズフィヨルドが堪能でき、鳥羽の的矢湾はブランド牡蠣が一年中食べることができる」など、海女小屋、海産物、真珠などの伊勢・志摩・鳥羽地域の自然・水産物・文化が魅力的な観光コンテンツであることが評価された。
一方で「欧州人は基本的に午前中は散歩程度しか活動しないため、日中から夜のイベントを充実した方がよい」や「欧州のチャーター利用の富裕層を対象とするのであれば、もっと船内宿泊を増やしてもよい」など、欧州人の慣習に合わせたツアー日程や食事の提供方法を工夫するなどのサービス改善に向けた提案があった。
滞在型周遊ツアー事業は、本場である欧州の海事観光市場ではクルーズ旅客事業と並ぶ規模を有している。事業展開によってインバウンド旅行者の増加が期待できる一方で、地域の観光産業や公共交通との連携も含めた地方誘客・消費拡大を促すなど、地域創生に資する日本独自の事業展開が不可欠となる。 この実証実験を踏まえて地元の自治体や関係者と連携し、次年度からの伊勢・志摩・鳥羽地域の滞在型周遊ツアー事業の実現に向けて取り組んでいくとしている。
(やまとごころ編集部)
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