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宿泊業界の「特定技能制度」活用状況を調査。外国人材採用は7割以上、最大の課題は言語の壁

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全国の宿泊施設を対象とした「訪日外国人客」と「外国人材採用」に関するアンケート調査結果が発表された。同調査は、全国4600施設以上の観光施設に人材サービスを提供する株式会社ダイブと、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会・同青年部によって行われたもの。調査期間は2024年9月10日〜16日、ウェブ入力フォーム形式によるもので、有効回答数は152件だった。

インバウンド需要の好調を背景に、特に「宿泊業」の人手不足が深刻化している。こうした状況を受け、2019年に始まった外国人労働者受け入れ制度「特定技能制度」の活用状況やその課題把握を目的として行われた。

「現在人手不足を感じているか」という質問に対し「感じている」と回答したのは81.6%。この8割に「人手が足りない職種は」(複数回答)と聞くと、「レストランサービス・接客係」が最も多く、79.0%と8割近くにのぼった。次に「調理」が73.4%、「フロント」「ベッドメイク・清掃」がそれぞれ半数ほどだった。

「過去1年間で外国人を採用したか」の質問に「採用した」と答えたのは75.7%、「採用した」と回答した施設に「採用した外国人人材の在留資格は」(複数回答)と聞くと、「技術・人文知識・国際業務」が58.3%で最多だった。次に「特定技能」48.7%、「技能実習」30.4%、「留学」20.0%と続く。

言葉の壁に課題を感じる施設が7割超え

「外国人人材を採用した理由は」(複数回答)の質問に83.5%が「人手不足への対応」と回答し、多くの施設が外国人人材採用を人手不足の解消に役立てていることがわかった。次いで「多言語対応の強化」(36.5%)、「将来的なグローバル展開の準備」(18.3%)、「専門的・技術的知識を持つ人材の確保」(12.2%)と続いた。

また、「特定技能制度に対し、どのような印象があるか」(複数回答)と聞くと、「既に採用している」が最多で42.8%。一方で「外国人労働者の受け入れに懸念」(17.1%)、「手続きや要件が複雑で、理解や実施が難しい」(15.8%)、「制度自体は必要だが、改善の余地がある」(13.8%)など、外国人の人材採用に懸念を抱く施設も一定数存在することがわかった。

「外国人人材の採用における課題は何か」(複数回答)と聞くと、一番多かった回答が「日本語能力、言葉の壁」(71.1%)で、次に「価値観や習慣の違いから生じる業務や対人関係」(53.3%)、「法的手続きの複雑さ」(42.8%)、「住居の確保や生活習慣のサポートなど、受け入れ後の支援の難しさ」(39.5%)、「教育やトレーニングの負担など、社内の受け入れ体制が未整備」(34.9%)と続く。人材の日本語能力や言葉の壁などが、受け入れ体制の整備よりも課題と感じる宿泊施設が多いことがわかった。

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