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美容サロンのインバウンド市場規模、2030年に445億円と試算。訪日客集客に重要なこととは?

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訪日外国人による美容サロンの利用が増加する中、株式会社リクルートが運営するホットペッパービューティーアカデミーは、2030年に市場規模が拡大するとの予測を公表した。同調査では、インバウンド対応に取り組む現場の声や、効果的な集客施策についても探られている。

なお、本調査は、2024年12月25日~2025年1月8日の期間に実施されたもので、美容室やネイル、エステ、リラクゼーションなどを含む全国の美容サロン1373店舗を対象としたアンケートと、政府統計等を基にした試算によって構成されている。

 

インバウンド美容サロンの市場規模、2030年には445億円に成長

同社の試算によると、現在のインバウンド美容サロンの市場規模は197億円とされ、2030年には2.3倍の445億円まで成長すると予測している。これにより、美容分野でもインバウンド対応の重要性が高まっている。

美容サロンのインバウンド市場規模グラフ

 

訪日客は30〜50代女性が中心、中国・アメリカ・韓国からの来店が多数

美容サロンにインバウンド客の利用状況を聞いたところ、直近1年以内に来店した訪日客の国籍では、中国、アメリカ、韓国、台湾が多くを占めた。年代・性別では、30~50代の女性の利用が目立つ。

直近1年以内に来店したインバウンド客の属性グラフ

 

立地がインバウンド集客を左右、都市部は地方の7倍の集客力

都市部や観光地では来店機会も多く、例えば「都市圏中心地」にあるサロンでは、1店舗あたり年間平均3.97人のインバウンド客が来店しており、「地方」の0.56人と比べて約7倍の差があった。

1サロンあたりの来店頻度グラフ(都市圏)

1サロンあたりの来店頻度グラフ(地方)

 

サロン来店のきっかけ調査、オンライン検索の重要性が明らかに

訪日客がサロンを訪れるきっかけとして最も多かったのは「たまたま通りかかった」(32.3%)だったが、リラクゼーションやエステ系サロンでは、予約サイト経由での来店が41.0%と最多だった。
地図アプリやGoogle検索も多く活用されており、オンラインでの露出強化、検索性や予約のしやすさが来店につながる重要な要素であることが示されている。

サロンを見つけた情報源についての表

 

インバウンド集客の成功事例、英語メニュー導入で集客力アップ

神奈川県横浜市のヘアサロンBLIMEY(ブライミー)では、インバウンド客の来店が目立つという。同サロンのオーナーによると、「パーマ」を希望する訪日客が多く、特にアジア・欧米からの顧客が中心とのこと。特に日本の美容サロンの技術や価格に魅力を感じているのではと分析している。
訪日客とは写真や動画を使ったコミュニケーションで仕上がりのイメージを共有しているが、細かいニュアンスの調整のために最低限の英会話が不可欠と述べる。また、完全予約制のため、訪日前から訪問を決めているケースが多く、英語対応のメニュー表を掲載したことで予約につながりやすくなった実感があると語っている。

 

インバウンド集客の成功の鍵は、小さな一歩から始める対策

調査を行ったホットペッパービューティーアカデミー研究員の田中公子氏によると、インバウンド客の集客は「立地」「施術内容」「客単価」といったサロンの特性に大きく左右されるという。都市部や観光地では集客がしやすく、また言語の壁を越えやすいシンプルな施術を提供するサロンの方が対応しやすい傾向にある。

インバウンド集客に影響を与える特性の図版

今後、都市部や観光地のサロンを中心に、美容サロンでの訪日体験を希望する人は増えていくことが見込まれる。田中氏によると、まず英語クーポンの掲載などの初期コストが低い施策から始めて、段階的に投資判断を行う戦略が現実的だと述べる。

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