インバウンド特集レポート
中国発の電子マネーの決済システムが日本で普及をし始めている。中国ではキャッシュレス化が加速度的に進んでおり、現金を持たずとも、スマートフォンさえあれば生活できそうな勢いだ。その流れが日本にもやってきており、外国人が多い小売店や商業施設では、電子マネー決済の導入が進む。
そこで、いったい、その電子マネーとは何なのか、そして、中国以外の動きとして、PayPal(ペイパル)についても紹介する。
中国で急速に進む電子マネー化
日本における決済市場が、急速な勢いで変化している。
コンビニ大手のローソンは、今年1月に日本国内のローソン全店舗(約13,000店)で「アリペイ」の取り扱いを開始した。レジの脇に決済用端末が置いてある。これは、中国発のモバイル決済システムが、日本に上陸してきたものだ。訪日中国人増加の影響によるところが大きい。
つい先日までは、中国人観光客に買ってもらうためには、銀聯カードの導入が重要と記事を書いたこともあったが、もはや、それは過去のこと。中国本土では、モバイル決済が銀聯カードによる決済を上回っている。中国本土における市場の変化についていかなければ、ビジネスチャンスを失いかねない。
現在、中国ではモバイル決済のサポート体制が充実しており、シェア自転車や日本にはまだ見られない無人コンビニなどでも、モバイル決済が普及している。とにかく変化のスピードが早いのだ。
中国でモバイル決済が発展した理由は?
人民日報日本版では、モバイル決済が中国で急速に発展した理由は2つあると伝えている。
1つは後発組の優位性だ。中国にはクレジットカードの文化が広がらず、現金決済からモバイル決済へ一気に転換できたということ、もう1つは、システムが急速に発展拡大し、決済機関の後押しもあり、オフラインのモバイル決済シーンのカバー範囲が広がっているということだ。さらに、中国では偽札を警戒し、少額紙幣しか普及しておらず、日本円で1万円に相当する金額を現金で持つと、札束が分厚くなってしまう。現金が使いにくい社会ということもあげられる。
ところで観光庁のデータによると、2016年に日本を訪れた訪日外国人延べ2400万人のうち、中国本土からの訪日数は、550万人を超えた。さらに外国人の消費金額全体は3兆7476億円にのぼり、うち中国本土からは1兆4754億円だった。
世間では、中国人による爆買いが無くなったと報道されているが、彼らのショッピングを楽しむという国民性もあり、訪日客数の増加により、その消費総額が高まっている。となれば、日本サイドも、彼らの消費しやすい環境を整えることも重要になるわけで、中国のモバイル決済システムが日本で普及しつつあるのだ。
では、中国のモバイル決済システムには、どのようなものがあるのか。中国には、2大モバイル決済システムがある。1つはアリペイ、もう1つはウィーチャットペイだ。
アリペイの日本アクワイアラー(代理店)の一つ、日本恒生ソフトウェア株式会社の担当者、谷(コク)氏と林(リン)氏に中国の状況についてうかがった。
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