インタビュー
3:SNSとの連携に注力されているようですが?
SNSとの連携については立ち上げ当初から重視しているところです。アジアでのソーシャルの影響力は日本よりも大きいと認識しています。
言語別に6つのアカウントを設けたのもそのためです。それぞれ1年間、毎日365日、情報をアップしています。
さらに新しい取り組みとして、ブロガーさんとのコラボ企画をこの夏、始めました。
海外には、パワーブロガーというフォロワー数が多く、影響力の高いブロガーさんがいますが、そういったブロガーさんとコラボした地域誘客プロモーションという手法があります。しかし、ブロガーさんの書きたいことと、誘客したい日本サイドのニーズに合わないというケースも少なくありません。それは、ブロガーさんとのコミュニケーション不足が原因ではないかと考えています。
そこで、私たちは、ブロガーさんと企画を一緒に練り、各国のネイティブスタッフが編集をするようにしたのです。
先日、台湾と日本で30万人以上のファンがいる「茂木家」というパワーブロガーさんとコラボをした記事を発表しました。日本人の旦那さんと台湾出身の奥さんとそのお子さんで、一日鎌倉を楽しむという旅行プランを紹介しています。「茂木家」のおしゃれで可愛らしい空気感はそのままに、台湾の方に人気の鎌倉を効率よく旅行するプランを紹介できたので、「茂木家」のファンにも、DiGJAPAN!WEBサイトのファンにも喜ばれる記事になりました。
また記事の拡散にあたっては、DiGJAPAN!からだけでなく、パワーブロガー「茂木家」のサイトやフェイスブックからも発信することができ、リーチ(記事や動画を見た人の数)は公開から5日で120万を超えました。
4:外国人目線からのコンテンツについて
私たちの考え方として、外国人スタッフなら誰でも良いという訳ではありません。
メディアに携わる素養が必要です。面白いものを探し出す能力、どう表現すれば伝わるのかを考える力を持っていることが要求されます。
また縁の下の力持ちとして、日本人スタッフの存在もあり、やはり情報力や取材の交渉という点で言えば、日本人が慣れています。つまり、外国人と日本人がチームとして機能したとき、良いコンテンツができあがるのです。
外国人スタッフの採用の基準は、インバウンドまたはマーケティングの経験がある人を採用します。
その国では、何が好まれ、何が人気になりつつあるのかを踏まえ、客観的な目を持っていることが重要なのです。
自国の状況もどんどん変化してしまいますから、そのあたりも常にアップデートしてもらっています。そうではないと情報のミスマッチが起こるでしょう。
最近人気のあった記事は、ホテルのミニオンルームに関するものです。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®のオフィシャルホテル、ホテル ユニバーサル ポートでは、10周年を記念して、パークで大人気のミニオンがホテルをジャックしていました。その体験レポートが、120万コンテンツビューとなったのです。
5:今後の展望など、抱負も含めて教えてください
DiGJAPAN!は外国人旅行者をターゲットとするBtoCで、広告によるビジネスモデルとなっています。
先日、業界向けのBtoBのインバウンド専門のサイトも立ち上げました。
広告営業で、地域や施設にうかがうと、相談ごとも多く、コンサルティングとしてのニーズが高いのです。さらに外国人スタッフも同席しますと、その場でいろいろなアイディアが出ることもあり、クライアントさんにたいへん喜ばれます。そこにもビジネスチャンスがあると考えています。リサーチ、グループインタビューなども商品化し、さらに、データの販売、ソリューションの提供、商品テストなど、DiGJAPAN!を中心に広がりを見せています。
BtoCのサイト運営によるノウハウが蓄積されおり、インバウンドに関する総合的なご提案ができるようになっているのです。
今後は、地方にも力を入れ、個人が、地域の体験に興味がいくような流れが構築していきたいですね。DiGJAPAN!のWEBサイトにて、この夏、自治体・法人の方に活用していただける「エリア特集ページ」を新たに開設しました。メディアを情報発信の場とするだけでなく、DiGJAPAN!と地元の方とで現地のフィールドワークや、グループワークなども取り入れ、一緒にコンテンツを作る仕組みも強化していきます。
一方、DiGJAPAN!のアプリを活用して、台湾の現地パートナーと提携して台湾のインバウンドを盛り上げるDiGTAIWAN!という取り組みも始まっています。日本のインバウンドだけでなく、アジアや世界中の国のインバウンドにDiGJAPAN!の仕組を広げていきたいと考えています。
昭文社では、今後もDiGJAPAN!をベースに、グローバルな旅行ビジネスを幅広く拡大していきたいと思います。
取材後記:
ガイドブックの出版というノウハウを活かしつつ、新しいネタを外国人スタッフが取材・編集に携わっている。単純に翻訳しているわけではないのだ。やはり国ごとにニーズが違い、それにあったコンテンツを提供している。この記事を読んで日本ファンになる外国人が増えることだろう。個人的にも楽しみだ。
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