インバウンドコラム
著者:島川 崇・神田 達哉・青木 昌城・矢嶋 敏朗 共著
出版社:成山堂書店
旅先の印象は何で決まるか振り返ってみてもらいたい。景色でもなく、食事でもなく、最終的には「人」で決まるという方も多いのではないか。本書は、デジタル化や効率化が叫ばれる中で、観光の現場における「人」に焦点を当てたものになっている。
著者は大学教授をはじめ、ホテル、旅行会社、観光関連団体で長年にわたって活躍する4名の方々。異なるバックグラウンドや研究テーマから、ツーリズム産業における「人」の可能性を、様々な調査・インタビュー等を含め、検証・提起する内容となっている。
特に、現場で活躍するガイドや添乗員へのインタビューは、リアルかつ示唆に富んだものになっている。各自個性があるものの、共通するメッセージも多く、そこから得られるヒントには重みがある。
また、敢えて他業種の経営者へのインタビューを収録しており、新しく、かつ、共感できる視点を観光業界にもたらす内容となっている。
他にも、団体旅行から個人旅行へシフトする旅行スタイルの変化の中、旅行会社の存在価値について言及。現状や課題の整理だけでなく、旅行会社が残るためには、どうすれば良いか、何に拘って進めていくべきかについても具体的な方向性を示している。
本書を読むことで、今後の観光産業のあり方を考えると同時に、「人」でしか提供できない価値とは何なのかを改めて考え・振り返る機会になると考える。観光業を目指す学生はもちろん、観光業に従事する経営者やリーダーにも読んでもらいたい。
文:株式会社やまとごころ 代表取締役 村山 慶輔
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