インバウンドコラム
著, 編集:佐久間 康富, 柴田 祐, 内平 隆之, 他11名
出版社:学芸出版社
少子高齢化、人口減少社会が進む中で、2014年に総務省は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定。人口減少に対して新たに人を増やし、活力を維持するための具体的な施策が提示され、全国の自治体でも、人口減少が下げ止まる地方人口ビジョン、地方版総合戦略の策定、実行が進んでいる。
これらの計画策定、実施が重要であることは言うまでもないが、日本全体が人口減少の局面にある中で、全ての地域がこの目標を達成することは現実的ではなく、「人口減少」を前提とした地域の在り方を模索することの重要性もとなえられている。
本書では、そうした現状を踏まえ、「少人数社会」を前提とした地域存続のための活動に取り組む11の地域の事例を紹介している。
11の事例は「生業の立て直し」「空き家・空地の継承」「地域の伝統・教育・福祉の維持」「自治とネットワークの仕組みづくり」の4つの切り口で分類され、地域に根付いた産業(漁業・農業)や伝統芸能(神楽)、空き家となった建物など、様々な「地域資産」の継承に向けて取り組む背景やそのプロセスなどが掲載されている。
本書で紹介されている事例は、必ずしも「観光」に限った話ではないが、地域の宝ともいえる資産継承に向けて、どのようにして地域外の関係者を巻き込みながらも、地域住民と調和させてプロジェクトを進めているか、またプロジェクト推進にあたってどのような「仕組み」を構築しているのか、について詳しく解説されている。
いずれの地域においても、必ずしも全てが順風満帆というわけではなく、現在直面している課題に触れられているケースもあり、等身大の事例として紹介されているので共感する点もあるかもしれない。
特に、地域で多様な関係者を巻き込みながらプロジェクトを進める立場にある人にとっては、何かしらのヒントや参考になる事例が見つけられるのではないか。
文:株式会社やまとごころ 堀内 祐香
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