インバウンドコラム

観光再開のオーストラリアとニュージーランド、入国規制緩和で訪日旅行の問い合わせ増

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新型コロナウイルス感染拡大以降、厳格な入国規制を講じてきたオーストラリアとニュージーランドだが、現在は水際対策の緩和に踏み切り、外国人観光客の誘客を積極的に行っている。その一方で、南半球に位置する両国は冬シーズンに突入しているため、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザに対する警戒も呼びかけている。今回は入国規制緩和の話題を中心に、両国の動きをまとめた。

 

オーストラリア、規制緩和でワクチン未接種者の入国も可能に

オーストラリア政府は7月6日の到着より、入国要件の1つしていたデジタル渡航申告および海上渡航申告を廃止した。これにより、ワクチン接種証明書を提示する必要がなくなり、ワクチン未接種でも入国できるようになった。今年4月17日には、入国前のPCR検査による陰性証明書の提示義務も撤廃されているため、ETA(電子渡航許可)またはビザのみで入国できる。

また、オーストラリア到着後の措置は州や地域ごとに異なり、ACT(オーストラリア首都特別地域)と南オーストラリア州では、ワクチン接種の有無にかかわらず、入国後24時間以内のPCR検査または抗原検査を実施し、結果が陰性であった場合は隔離を免除している。その他の州では、ワクチン接種の有無にかかわらず、入国後の検査と隔離が不要となっている。

オーストラリア東部の観光地、ゴールドコーストでは7月2日、地元の日本人会などの主催で「ジャパン・フレンズ・デー」と称したイベントが開催され、3000人以上の市民が来場した。会場には和食の屋台が並び、空手の演舞が披露されたり、コスプレコンテストが行われたりしたという。2019年には、年間60万人以上のオーストラリア人観光客が訪日していたが、新型コロナウイルス感染拡大前を機に激減。しかし、日本が団体ツアーによる外国人観光客の受け入れを再開してからは、地元の旅行会社に日本旅行に関する多くの問い合わせがきているという。

オーストラリアでは感染力の強いオミクロン株派生型「BA.4」と「BA.5」への感染が拡大しており、政府はワクチンの4回目の接種対象を拡大する方針を発表した。これから本格的な冬に突入するため、インフルエンザの流行も拡大しており、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行する“ツインデミック”が懸念されている。

 

ニュージーランド、8月に全世界からの渡航者に対し国境を全面開放へ

ニュージーランドは今年5月、ビザ免除国を対象に外国人観光客の受け入れを再開し、6月には入国前のPCR検査による陰性証明書の提示義務を撤廃した。ワクチン接種証明書(2回接種)の提示は引き続き必要で、入国後には抗原検査キットを用いて到着日と到着後5〜6日目に検査し、陽性の場合は7日間の自主隔離が必要となる。ニュージーランド政府は7月31日の午後11時59分(日本時間同8時59分)に全ての国からの渡航者を対象に国境を全面再開すると発表しており、クルーズ船向けの海の玄関口も7月31日に開放する予定だ。

ニュージーランド航空は、日本人観光客を誘致するための「ニュー自由ランド」キャンペーンを7月5日より開始した。コロナ禍で我慢の日々を過ごしてきた人々に対し、ニュージーランドの大自然や文化に触れることでコロナ疲れを癒すという点を訴求している。オフィシャルウェブサイトでは8種類の旅のスタイルを提案し、航空券が当たるSNSキャンペーンも実施している。

国内では新型コロナウイルスのオミクロン株への感染が再拡大しており、ニュージーランド保健省の発表によると、7月11日には8395人の新規感染者と17人の死者が確認された。入院患者も増えていることから、同省は国民に新型コロナウイルスの追加接種を促すとともに、インフルエンザワクチンも接種するよう呼びかけている。

 

 

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