インバウンドコラム

香港、観光客の戻り鈍く更なる規制緩和の動き。訪日旅行への問い合わせは急増

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香港は段階的にウィズコロナへと転換してきたが、入境後3日間の強制隔離が未だ義務付けられているため、海外との自由な往来とは程遠い状況にある。いっぽうで、アジアの金融ハブであり観光地としても名高い香港に対し、内外から水際対策の緩和を求める声が上がっている。今回は香港の現在の状況と今後の動向などについて紹介する。

 

香港、11月の国際イベントを前に、入境後の強制隔離の廃止を検討

香港政府は9月13日、中国本土からの入境者は、新型コロナウイルスワクチン未接種でもワクチンパスを取得できることを明らかにした。同政府は海外からの入境者には少なくとも2回のワクチン接種を義務付けているが、中国本土、マカオ、台湾からの入境者にはこの措置が適用されないと説明している。一方、それ以外の国・地域から香港へ入境する際はワクチン接種証明書と、出発48時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書、政府指定の検疫ホテルにおける宿泊予約確認書の提示が義務付けられている。入境後は指定検疫ホテルで3日間の強制隔離が行われ、その後4日間の自主隔離と、3日間の自主健康観察期間を設けている。

香港政府は8月12日から入境者の強制隔離期間を3日に短縮したにもかかわらず、香港に観光客が戻ってきていないことや、11月に米ウォール街の主要銀行の幹部らが集まる会合や、7人制ラグビーの国際大会が開催されることを理由に、11月より前にホテルでの3日間の強制隔離を廃止する方向で協議を進めている。隔離短縮後も、香港を訪れる旅客数は1日約2100人にとどまっている。また、11月1日からは、入境時に新型コロナウイルスの陽性反応が出た場合、入境者は強制隔離施設に送られることなく、滞在中の指定検疫ホテルにとどまることを認める方針だという。

香港が水際対策の緩和に揺らぐ中、国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務総長は、香港が新型コロナウイルスの水際対策の先行きが不透明なままでは、航空会社が香港路線を復活させることはないと警告している。

 

中秋節連休にはランタンフェスティバルが各地で開催

香港では 9月10日〜12日に中秋節の3連休だったが、多くの人が外出し、各地でランタンフェスティバルが開催されるなど、賑わいを見せた。香港の不動産開発大手、新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)が運営するショッピングモール15カ所では、売上高と来客数がいずれも前年同期比で15%以上増えたという。香港餐飲聯業協会(香港レストラン業協会)によると、香港域内のレストランも前年同期比で売上が10〜20%増加したそうだ。

香港では新型コロナウイルスの第5波が続いているが、香港衛生当局が9月17日の会見で発表した内容によると、8日連続で新規感染者数が1万人を下回り、中秋節連休後に懸念されていた感染拡大の兆候は見られていないという。

 

添乗員なしの訪日ツアー解禁後、香港の旅行会社に問い合わせが殺到

香港の『ザ・スタンダード』紙(ウェブ版)によると、日本で9月7日より添乗員を伴わないパッケージツアーが解禁されたことにより、香港の旅行代理店には日本旅行の問い合わせが殺到しているという。円安も香港人の訪日意欲を後押しし、香港の大手旅行会社EGLは、6888香港ドル(約12万5000円)の大阪への6日間パッケージツアーや、7388香港ドル(13万4000円)の東京と福岡への6日間パッケージツアーなどを売り出している。同じく香港の旅行会社WWPKGでは、9月7日の日本政府の発表を受けて、東京への7599香港ドル(約13万8000円)のパッケージツアーの販売を開始した。WWPKGは福岡にすでにスタッフを派遣しており、今後、訪日ツアー客が増えれば東京や大阪にもスタッフを派遣する予定だという。

香港のLCCである香港エクスプレス航空は、10月16日から「香港=那覇」線、10月24日から「香港=中部」線をそれぞれ週4往復で再開する。成田、関西、福岡の各線はすでに運行再開済みで、10月29日までは週3往復運航する。

 

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