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【訪日外国人の傾向を知る】韓国編:日本への旅は国内旅行感覚

2018.01.11

刈部 けい子

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2017年の訪日客は11月までで2616万9000人となり、最終的には2800人を超える見込みだ。中でも目立つのが韓国人旅行者の急増で、1〜11月の合計は前年比40.6%増の646万人。1位の中国の伸び率が14.2%だったため、その差はわずか33万人ほどまで縮まった。

もともと、韓国は2013年までは訪日客数1位だったが、2014年に台湾に、2015年には中国に1位を譲り、以来ずっと2位。昨年は熊本地震の影響で韓国から近い九州を訪問する韓国人が減ったが、そうした状況でも常に前年を上回る伸びを見せており、2017年は特に伸びが顕著だった。

韓国と中国からの訪日客数の推移_グラフ (1)

訪日客が増えた理由はいくつか挙げられるが、中韓関係の悪化で旅行先として中国を避け日本を選ぶ人が増えたこと、LCCやクルーズの増加で国内旅行と比べても日本旅行は「コスパ」が良くなっていること、距離が近いため2泊3日の週末旅行など手軽に渡航できるということ、などが大きい。2017年は9月30日から秋夕(旧盆休暇)と振替休日などで10連休と過去最長の連休があり、旅行需要もさらに高まった。

ところで、訪日中の韓国人を見かけて、ジョギングやハイキングなどのウェアで観光をしているのを不思議に思われた方もいるかもしれない。韓国人の知人に聞くと、中年以上になるとどこへ行くにもアウトドアウェアが普通だそうだ。もともと、国内でも山登りやハイキングが非常に盛んなので着慣れたものだが、普段は着ない人でも旅行となるとわざわざ山登りやジョギング用のウエアを購入するという。オシャレよりも着心地が楽というのが最優先のようだ。

韓国ではオルレと呼ばれる整備されたトレッキングコースを歩く人が多いが、日本にもオルレを開設しているところもある。2012年に誕生した九州オルレはこれまでに韓国からの訪日客を含め33万人が歩いた。また、宮城県が東日本大震災を受けて減少した外国人客を呼び戻そうと設置を推進してきた宮城オルレが、2017年11月末に韓国の認定機関「済州オルレ」から認定されたばかり

2018年も引き続き、アウトドアウェアで各地を巡る韓国人訪日客の姿を目にすることが多くなりそうだ。

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