データインバウンド
台風で旅程変更は7割、インバウンド客が感じた台風情報のわかりにくさは?
2019.10.31
刈部 けい子台風19号は東日本の広範囲に多くの被害をもたらした。公共交通機関では大規模な計画運休が実施され、ラグビーワールドカップの2試合を含め、数多くのイベントが中止となった。そんな中、訪日外国人客はどのようにして台風関連情報を得たのか、株式会社サーベイリサーチセンターが、台風19号が日本に上陸した翌日の10月13日と14日に東京タワーで182名に対し「台風19号の災害情報等における事前対応に関する訪日外国人調査」を行った。
台風が来ることは9割が事前に知っていた
台風が来ることを知ったのは、「10月12日以前」が9割で、「台風で旅程を変更した人」は7割いた。そのうち「計画運休前(10月11日以前)」が31.3%で、「計画運休日(10月12日)」が39.6%だった。一方で、「旅程の変更をしなかった人」は28.6%だった。旅程を変えたきっかけは、「公共交通機関の運休」が48.1%と最も多く、「風や雨といった台風そのものの事象」が35.7%と続いた。
台風が来ることを何で知ったかの質問には、「日本のテレビやラジオ」が6割近く、「友人・知人のメールやSNS」「母国の観光情報などのウェブサイト」もともに3割を超えた。情報を得た日本のテレビやラジオを詳しく見ると、NHKが7割近く、NHKワールドが2割近くだった。
台風が身近でない人には状況が理解しにくい
そうした情報媒体からの情報でわかりにくかった点については、「台風そのものが自国にあまり来ないので状況がわからなかった」と「台風が来てどのような状況になるか想像できなかった」がともに2割を超え、台風に慣れていない地域から訪れている人が多いことが推察される。また、日本の地名や地域についての知識がないと情報が理解しにくいこともわかった。
実際に台風が接近した際の行動では、「インターネットやSNS」「テレビやラジオ」で情報を収集した人がそれぞれ5割を超えたが、その場で様子をみた人も3割いた。
今回はかなり早い時間から公共交通機関の計画運休が発表されたが、それついては8割が「必要だと思う」と回答し、肯定的に捉えていたことがわかる。災害発生時に希望する対応としては、「インフォメーションセンターでの災害関連の情報提供を充実」「交通・飛行機の情報など説明できるインフォメーションセンターを設置」がともに4割前後あり、直接情報を得られる場所が求められているのがわかる。また、「テレビ等で自分にわかる言語の災害・交通・避難情報を提供」「自分にわかる言語で書かれた避難の手引きを配付」「自分にわかる言語の避難誘導」がそれぞれ2割を超え、多言語での情報提供の必要性が浮かび上がった。
わかりやすい情報といえば、香港の台風警報があげられるだろう。年に6回ほど台風に襲われる香港では、香港天文台が発令する台風警報が5段階で設定されており、「シグナル1・3・8・9・10」と段階的に強くなる。シグナル8だと学校や会社は自宅待機となり、交通機関もほぼ運休するが、何時にシグナル8が発令されると事前に知らせてくれるので、備えることができる。また、たとえば「始業時刻前にシグナル8以上を想定される警報が発令されたら出社義務は発生しない」「就業時間中にシグナル8以上が発令されたら帰宅する」などのガイドラインがあるので、出社は個人の判断だからと無理して出社するようなことはなくなる。日本では防災情報を用語と5段階の警戒レベルで表すが、香港のような明確な台風警報は周知さえできれば言葉のわからない旅行者にとっても理解しやすいシステムではないだろうか。
最後に、帰国した際に今回の災害についてどのように話すかとの質問では、「大災害なのに大きな混乱が無かったこと」や「日本人の対応の素晴らしさ」が上位にあげられるとともに、「災害の大きさや恐怖感」について話すと答えた人も3割近くいた。
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