データインバウンド
世界一安全な国ランキング 冬の到来とオミクロン株で欧州勢後退、首位はUAE —2021年11月
2021.12.23
アメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグは、世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」の11月版を発表した。このランキングは、コロナ禍における感染抑制やワクチン接種率、死亡率、渡航再開具合など12のデータ指標に基いて53の国・地域を比較。新型コロナウイルス感染症への対応度をランク付けしたもので、毎月発表されている。
冬の欧州は順位後退。一方で順位を上げる北半球の国も
北半球に冬が到来、さらにオミクロン株が出現したことで、ランキングに大きな変動が生じた。10月まで上位を占めていた欧州のうち、8カ国が大幅なランクダウン。気温の低下で室内で過ごす時間が増えて感染者が増加し、新たな制限が導入された地域もある。9・10月と連続1位に輝いたアイルランドは4位に後退。欧州初の全国的ロックダウンを導入したオーストリアは先月の17位から31も順位を落とし、48位となった。
ただし、現時点で全ての北半球の国・地域で感染が再拡大しているわけではない。デルタ株のピークを過ぎた米国はワクチン接種済みの人への国境開放を進め、英国は低い死亡率を維持。両国とも13ランクアップし、米国13位、英国12位となった。しかし一部地域で感染者は増加傾向にあり、ワクチン接種率の停滞や移動制限再導入の恐れもある。
デルタ株流行に苦しんでいたインドは、順位を19上げて26位となった。ワクチン接種済みの旅行客の受け入れも再開し、スローペースなワクチン接種に懸念はあるものの、第3波の発生は防げている。
トップ3に共通する、高いワクチン接種率
そんななか11月の首位に輝いたのは、アラブ首長国連邦(UAE)。9月は6位、10月は3位で初のトップ3入りを果たし、遂に1位となった。2020年11月のランキング開始以降、UAEは比較的安定した順位を維持してきた。1日当たりの新規感染者は10月中旬以降100人未満を保ち、死者はほぼゼロ。世界最高レベルのワクチン接種率を誇り、国民100人あたり200回以上に及ぶ(12月11日現在、必要回数のワクチン接種完了91.1%、ブースター接種完了32.6%)。
2位は、先月23ランクアップで8位に急浮上した、チリ。南半球は夏に向かっていることから、強力な景気回復が期待される。3位はフィンランドで、他の欧州諸国に比べるとまだ感染拡大が小規模にとどまっている。両国ともワクチン接種率が高く(チリは人口の約85%、フィンランドは約73%)、渡航者の規制緩和へ向かっていた。
一方で、今月も下位を占めているのは東南アジア諸国。最下位常連国のフィリピンと52位のインドネシアは、国民100人あたりのワクチン接種回数が100回以下で、順位が上がらない要因になっている。
正常化への動きをストップさせた、オミクロン株
オミクロン株の出現は、経済再開や国境開放への動きをストップさせた。イスラエルと日本は外国人渡航者の入国受入れを全面停止し、多くの国がアフリカ南部からの渡航を制限。その結果、ランキングの順位低下に結びついた。日本はランクは1つあげて15位になったものの、スコアは68.4から66.4に減らしている。オミクロン株を最初に確認した南アフリカ共和国は、諸外国がアクセスを制限したことで、7ランク後退。ワクチン接種は100人あたりわずか43回だ。
新型コロナウィルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策をかつて推進した国も、順位低迷となった。33位のオーストラリア、36位のニュージーランド、37位のシンガポールは国境開放を徐々に進めているが、国内移動も一部制限が続いていて、世界の中では出遅れている。これらもオミクロン株の感染拡大次第で制限強化へと逆行する可能性が十分にある。
2021年の最後を、オミクロン株が再び世界をパンデミックの恐怖に陥れるのか、それとも薬の開発とブースター接種の普及でコロナ禍を脱出できるのか。次回ランキングにも注目したい。
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