データインバウンド
世界一安全な国ランキング 南半球のチリが1位浮上、各国のオミクロンへの対応が順位に影響 —2021年12月
2022.01.06
アメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグによる、世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」。2021年12月版で首位に立ったのは南半球のチリだった。このランキングは、コロナ禍における感染抑制やワクチン接種率、死亡率、渡航再開具合など12のデータ指標に基いて53の国・地域を比較。新型コロナウイルス感染症への対応度をランク付けしたもので、毎月発表されている。
オミクロン株出現で制限強化の国はランクダウン
経済正常化への流れが見えていたところで、11月に登場したオミクロン株が世界全体に影響を与えている。パンデミック当初の厳しいロックダウンなどの制限措置に戻るのか否か、12月のランキングではその点が明暗を分ける結果となった。
今回1位に浮上したチリは、夏を迎えた南半球にあり、観光が再開され、かつブースター接種率が高いこともあって、10月に23ランクアップで8位に急浮上し、11月には2位につけていた。南米は2020年に最初に感染が拡大した当初は大打撃を受けたものの、変異株による影響はさほど受けずにすんでいる。
また、オミクロン株の感染拡大に直面している欧州では、ワクチンの3回目接種をいち早く実施しているアイルランド、フィンランド、カナダがトップ10に入っている。
逆に感染拡大を抑えるために大規模な制限措置を実施したドイツ、ノルウェー、オランダは順位を下げた。その一方で、クリスマス前に3週間のロックダウンを終了させたオーストリアは17ランクアップの31位となった。
オミクロン株の登場でいち早く外国人の入国停止に踏み切った日本も、12ランクダウンの27位に後退した。
ウィズコロナ方針でランクアップ
一方で、厳格な規制で新型コロナウイルス感染症を抑え込むゼロコロナから、デルタ株の出現でウィズコロナへ転換したシンガポール、オーストラリア、ニュージーランドは、それぞれ19段階、16段階、11段階ランクアップした。南半球のオーストラリアとニュージーランドでは住民が夏を謳歌する光景が見られていたが、オミクロン株の登場でそれも短期間で終わるかもしれない。もっとも、オーストラリアのモリソン首相は12月21日の会見で「行動制限で国民を縛る体制から脱却する必要がある」と話し、再びロックダウンに戻ることはないと明言している。
感染者急増のイギリスも今のところ、厳格な行動制限の復活は否定しており、11月より2ランクアップの10位になった。
オーストラリアや英国のように、ワクチン接種率をできるだけ高め、感染者数よりも、重症者数や死者数を見ていくべきだとする方針が、オミクロン株にも通じるのか。それとも感染者の増加とともに死者数も増えるのか、新しい年のランキングは果たしてどうなるのかを引き続きウォッチしていきたい。
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