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ランキングで見る世界で人気の旅先、コロナ前から3年間の変化は? —エクスペディア

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エクスペディアが2023 Traveler Value Indexと題したレポートを発表した。それによると、パンデミックで海外旅行、ビジネス旅行が共に激減したが、これは一時的なもので、すでに潮流は海外旅行へと向かいつつあるという。レポートによると、消費者の約半数が今後1年間に海外旅行を予約する、またはすでに予約しており、特にZ世代やミレニアル世代にその傾向が強いという。

こうした需要は2022年に入って増えており、第2四半期(2022年4月~6月)では、宿泊予約がエクスペディアグループの歴史上、最も高い数値となり、予約件数は2019年第2四半期から8%増加したそうだ。

さて、このレポートの中から、今回は世界各地域の目的地の変化をご紹介したい。2019年第1四半期と、2021年第1四半期、2022年第3四半期の目的地トップ10を見比べると、この間の旅行スタイルの変化がわかって興味深い。

 

コロナ前は全世界で「ロンドン」が圧倒的人気、中南米では長距離旅行が多い

1枚目の図版は、2019年第1四半期(1月〜3月)にエクスペディアを通じて予約が入ったトップ10デスティネーションを世界の地域ごとにまとめたものだ。域名は左よりアメリカ・カナダ(US and Canada)、中南米(LATAM)、欧州・中東・アフリカ(EMEA)、アジア太平洋(APAC)となっている。また、目的地の横の飛行機のアイコンは、その目的地が域外にあることを示している。

▶2019年第1四半期(1-3月)に予約が入ったデスティネーショントップ10

中南米では飛行機のアイコンが7つもある。3カ所は北米だが、欧米が4カ所入っている。他の地域と比べても、域外へのフライト、すなわちロングホールの旅行がコロナ前から多かったことがわかる。一方、アメリカ・カナダではトップ10に2カ所域外が入っているが、カンクンは隣国のメキシコにあり、距離的に遠いのはロンドンのみだ。また、欧州・中東・アフリカでは域外はニューヨークと東京の2カ所。そしてアジア太平洋ではホノルル、ロンドン、パリと日本のアウトバウンドでも人気のあるデスティネーションが入った。こうして見ると、4つの地域すべてに入っているのはロンドンだけだった。

 

コロナ禍の2021年、注目集めたのは近距離旅行とビーチ滞在

続いて、2021年第1四半期(1月〜3月)に目を移すと、2年前とはずいぶん変わっているのがわかる。青い帯になっているデスティネーションは、2019年のトップ10に入っていなかったところだ。全体的にビーチが目的地として増えているが、特徴的なのはほとんどが域内であること。中南米は他の地域と比べると域外が2カ所と他より多いが、それでもいずれも距離が近いアメリカの都市だった。

アジア太平洋は厳格な入国規制が続いていた影響もあり、域外は一つも入っていない。東京とソウル以外で新規に登場した都市は上から、西帰浦(韓国)、釜山(韓国)、シドニー(オーストラリア)、済州市(韓国)、サーファーズ・パラダイス(オーストラリア)、メルボルン(オーストラリア)、上海(中国)、那覇(日本)となっている。

▶2021年第1四半期(1-3月)に予約が入ったデスティネーショントップ10

 

2022年夏の旅行、長距離旅行が回復。パンデミック前から旅行先に変化も

3枚目は2022年第3四半期(7月〜9月)で、2019年と異なるのは青い帯になっているデスティネーションだけだ。つまり、コロナ前と同様の行き先が並び、特に中南米地域では、欧州が3カ所入るなどロングホールが戻ってきている。アジア太平洋も飛行機アイコンが2021年のゼロから4カ所に増え、長距離旅行が復活しているのがわかる。

▶2022年第3四半期(7-9月)に予約が入ったデスティネーショントップ10

なお、エクスペディアの調査では、レジャー旅行がパンデミック前の水準に戻ったと回答した業界関係者はわずか8%しかいなかったが、中ではホテル(39%)、航空会社(33%)、ブラジル(21%)の業界関係者の回答が( )内の数字に表れているように少し楽観的だった。そして、3分の2近く(63%)は2年以内に戻ると予想しており、特に規制の影響を最も受けている地域では、海外旅行がこれまでの溝を埋めるのに大きな役割を果たすとしている。

また、エクスペディアのファーストパーティデータによると、2022年のこれまでのパッケージ予約の半分が海外からの予約であり、これもまた流行前の水準に戻りつつあるとのことだった。

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