データインバウンド
2024年の旅行トレンド 検索は早め、アジア太平洋への関心高く。パリ五輪観戦も注目 ーエクスペディア
2024.03.04
やまとごころ編集部旅行者の行動の変化を理解するためにエクスペディア・グループが四半期ごとに発行している「旅行者インサイト」の最新版が発表された。2023年10~12月期(第4四半期)のデータをもとに、2024年前半の旅行トレンドを分析している。それによると、旅行者は今年の旅行を前もって計画しており、アジア太平洋地域(APAC)の様々な都市を含むいくつかの海外デスティネーションに強い関心を示していることがわかった。また、世界のスポーツファンは、選手を応援したり、セーヌ河畔を散策するために、この夏のパリ旅行を計画しているようだ。
(図出典:Expedia Group data, Traveler Insights Q1 2024)
2023年年末に検索数急増
2023年の年末は、旅行者が強い旅行意欲を示した時期だった。これは2022年の年末にも見られた傾向だが、世界の検索ボリュームは年末の最終週に急増し、前週比25%増加。なかでも、中南米(LATAM)とヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)の両方で35%増となった。これは旅行者がクリスマス翌日の休日に次なる旅行を検索したためと考えられる。
それ以前にも、感謝祭(11月の第4木曜日)の週明け月曜日のサイバーマンデーと翌日のトラベルチューズデーの週には、世界の検索ボリュームが10%増加し、北米(NORAM)では約15%増加した。
アジア太平洋の各都市、検索件数が大幅に増加
アジア太平洋の旅行需要は、コロナ後の緩やかな回復基調を経て、この四半期に大きく伸びた。国際航空運送協会(IATA)の2023年11月のフライトデータによると、アジア太平洋地域の航空会社の11月の国際線航空需要は、2022年11月と比較して63.8%増加、これは4つの地域の中で最も高い前年同月比だった。
エクスペディアの2023年第4四半期の検索データでは、広州(85%)、香港(35%)、上海(35%)を含むいくつかのAPAC都市が検索数の前年同期比で大幅な伸びを示し、この傾向を裏付けた。
また、すべての地域からAPACへの強い関心が見られ、APACの各都市への検索が前年比で大きく増加している。エクスペディアの全旅行者の30%以上が2024年に海外旅行を計画しており、そうした関心の高まりの中、APAC以外の旅行者の間でもこの地域の人気が高まっていることが浮き彫りになった。
北米の旅行者は、広州(65%)、京都(55%)、大阪(50%)で前年比検索数の増加が目立った。欧州・中東・アフリカの旅行者は、大阪と京都の検索数がそれぞれ前年比70%と50%増加した。中南米の旅行者も日本への関心を示し、東京の検索数が前年比85%増となった。アジア太平洋の旅行者は深圳やマカオなど中国のいくつかの都市の検索数が前年比2桁増となった。
▶︎APACへの検索件数が前年比で増加
NORAM(北米) | 広州(65%)、京都(55%)、大阪(50%) |
EMEA(欧州・中東・アフリカ) | 香港(100%)、大阪(70%)、京都(50%) |
LATAM(中南米) | 東京(85%) |
APAC(アジア太平洋) | 深圳、マカオ、広州、北京、上海が2桁増 |
早まる旅行計画
2023年第3四半期には、旅行者は短期と長期の両方で計画を立てていたが、第4四半期には長期の計画が増加する傾向にあった。特筆すべきは、180日以上の検索が世界全体で15%以上増加したことで、この成長は欧州・中東・アフリカでの70%以上の増加と、北米での10%の増加が牽引したものだ。
検索期間が伸びているのは、人々の旅行への意向が依然として強く、多くの旅行者が早め早めに旅行を計画していることを示している。
パリ、2024年夏の旅行者数が増加
北半球の夏を前に、旅行者はパリに照準を合わせている。2023年第4四半期に、2024年の7月と8月にパリを訪れる旅行者の検索数は20%以上増加した。また、パリ五輪開催期間の7月26日から8月11日にかけて、全地域からの旅行者の滞在期間が伸びている。これは北米と南米からの旅行者が前年同期比で25%近く増加したことに牽引されたもので、旅行者がパリ周辺に長期滞在する意向を示している。
検索上位の目的地、アジア太平洋の旅行者には日本の都市が人気
最後に、検索上位の目的地から旅行先のトレンドを確認しよう。2023年第4四半期は、北半球の寒さが厳しくなるにつれ、温暖な気候で過ごす休暇を選ぶ旅行者がいる一方、スキーバケーションを計画している旅行者も多かった。
検索上位目的地全体では、オーランド、マイアミ、プンタ・カナが大きく順位を上げた。地域別では、北米ではカンクンとフォートローダーデールが、中南米ではブエノスアイレスが順位を上げた。国別トレンドデータでも、温暖な気候のデスティネーションに人気が集まる傾向が見られた。トロピカルな旅行先を探す米国人旅行者は第4四半期に増加し、セントルシア、アルバ、キュラソーへの検索数は前四半期比3桁増となっている。アジア太平洋の旅行者には、日本の東京、大阪、福岡や、韓国のソウル、オーストラリア3都市などが人気を集めた。
▶地域別検索上位目的地トップ10
*印は、2023年10~12月期に新たにトップ10入りした目的地
APAC (アジア太平洋) | EMEA (欧州/中東/アフリカ) | LATAM (中南米) | NORAM (北米) |
東京(日本) | ロンドン(イギリス) | メキシコシティ (メキシコ) | カンクン(メキシコ) |
シドニー (オーストラリア) | パリ(フランス) | サンパウロ (ブラジル) | オーランド (米フロリダ州) |
ソウル(韓国) | イスタンブール (トルコ) | カンクン(メキシコ) | ラスベガス (米ネバダ州) |
メルボルン (オーストラリア) | ドバイ (アラブ首長国連邦) | リオデジャネイロ (ブラジル) | ロサンゼルス(米カリフォルニア州) |
大阪(日本) | ニューヨーク (アメリカ) | ブエノスアイレス (アルゼンチン) | ニューヨーク (米ニューヨーク州) |
ゴールドコースト(オーストラリア) | アムステルダム (オランダ) | プエルト・バジャルタ (メキシコ) | マイアミ (米フロリダ州) |
福岡(日本) | マドリード (スペイン)* | マサトラン (メキシコ) | プンタ・カナ (ドミニカ共和国) |
台北(台湾) | ローマ(イタリア) | ニューヨーク (アメリカ) | シカゴ (米イリノイ州) |
仁川(韓国) | バルセロナ (スペイン) | オーランド (アメリカ)* | フォートローダーデール(米フロリダ州)* |
バンコク(タイ) | マンチェスター (イギリス)* | プラヤ・デル・カルメン(メキシコ) | ボストン(米マサチューセッツ州) |
▼前回の旅行者インサイトはこちら
2023年後半、世界の旅行意欲高く。スポーツ観戦、音楽ツアー目的の旅行計画トレンドに
▼フライト検索からもパリ五輪観戦意欲はわかります
2024年パリ五輪開催まで半年、大会期間のフライト検索数急増。観戦に一番意欲的な国は?
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