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2023年の国際会議開催件数1万件を超え順調に回復、調査から見えた2つの新トレンドとは?

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ICCA(国際会議協会)が2023年の世界の国際会議開催件数を発表した。

2023年に世界で開催された国際会議の総数は1万187件となり、2022年より1000件以上増加した。過去最高を更新した2019年の1万3254件には及ばないものの、順調に回復していることがわかる。地域別の会議数では欧州がトップで、アジアと北米がこれに続いた。アフリカと中東はパンデミック後、2019年の水準と比較して成長を示したが、その他の地域はまだ完全回復には至っていない。

なお、会議やコンベンションの準備は、開催日の何年も前から行われる。会場の選定や業者の選定など、開催に向けた土台作りには多くの計画が必要となるからだ。2023年に開催された会議の多くは、パンデミック中に行われた入札の結果である。

それではここから、国・地域別と都市別のランキングを見てみよう。欧米の国や都市が上位を占めてはいるものの、コロナ禍で回復の遅れていたアジアの国や都市がトップ10に戻ってきていることに注目だ。

 
国別1位は不動のアメリカ

開催国・地域ランキングのトップに立ったのは、2022年に続きアメリカだった。なお、2020、2021年は発表がなく、2019年までは20回連続1位だったため、通算22回のトップとなる。なお、開催件数は2022年と同じで、2019年からは3割弱減だった。

前回トップ10のうち9カ国は順位の入れ替えはあったものの圏内を維持、2位のイタリアは連続でランクアップしている。唯一トップ10圏外に後退したベルギー(15位)に代わり、日本が7位に浮上した。開催件数363件は前年比6割増だが、2019年の527件にはまだ及ばない。

また、韓国(2022年17位→11位)、中国(同26位→18位)、シンガポール(同28位→21位)、タイ(同32位→26位)、インド(同37位→30位)とアジア地域は軒並み順位をあげた。

 

都市別でシンガポールが2位にジャンプアップ

都市別ランキングでは、2019年1位だったパリが2022年の3位からトップに返り咲いた。また、シンガポールが13位から一気に2位まで浮上。パリとの開催数差はわずか4件だった。以降3位から9位まで欧州の都市が続き、10位は前年の18位からランクアップしたソウルで、アジアで二番目に多い都市となった。

東京は昨年41位(39件)から開催件数が大幅に増えて13位に浮上し、アジア3位。そのほか、日本の都市も数多くランク入りしている。

 

二次都市の出現と上位都市の安定

今回調査チームが行った都市レベルのデータ分析から、世界の会議産業における2つの興味深い傾向が明らかになった。

1つは魅力的な会議開催地としての二次都市の台頭だ。スペインのビルバオ、バレンシア、スウェーデンのイェーテボリなどの都市は、近年イベント参加者が増加している。

一方で、定評のある上位都市は好調を維持。パリ、ウィーン、バルセロナなどの主要都市は、ここ数年一貫して高い会議数を記録している。

これら2つのトレンドの共存は、世界の会議市場の多様化を浮き彫りにしていると言えるだろう。新興都市と既存都市の両方が、イベント主催者と参加者の進化するニーズと嗜好を満たす上で重要な役割を果たしているのだ。



そのほかの調査結果の内容は以下の通り。

・ヨーロッパは一貫して参加者総数の重要な部分を占め、アジアと北米は回復力のある参加率を示した。
・国際会議の規模について、参加者が50人から149人の会議が最も一般的だったが、それ以上の規模の会議は少なかった。パンデミックのせいで、より小規模で、より焦点を絞ったイベントへのシフトにつながった。
・ヨーロッパと北米に本部を置く国際協会や組織が、会議のかなりの割合を主催した。
・年次総会は全会議の約70%を占め、3月から5月にかけての開催が最も多かった。
・会議の平均開催期間は比較的安定しており、最も人気のある会場タイプはホテルの会議施設だった。
・テーマ別では、医学、技術、科学が上位を占め、全ミーティングの22%以上を占めた。
・参加者一人当たりの平均登録料と参加者一人当たりの総支出は、2014年から2023年まで緩やかに増加したが、2020年はパンデミックにより急増した。

なお、ICCA統計の国際会議の基準は少なくとも3カ国以上での会議持ち回り、50名以上の参加者、定期的開催等、厳しいものとなっているが、世界全体の国際会議開催状況を把握する統計として注目されている。

*ICCA(International Congress and Convention Association)本部がアムステルダムにある非営利の業界団体で、国際会議の開催状況を収集・発信している。世界約100カ国、 約1100の業界団体が所属している。

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