インタビュー

株式会社MATCHA 代表取締役社長/CEO 青木優氏(後編)

2017.01.10

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外国人旅行者に人気のコンテンツは、日常にこそ落ちている!

前編に引き続き、訪日外国人旅行者向けのwebサイトとして上位にランクする「MATCHA」代表の青木優氏のインタビューをお届けする。新しい感性で切り盛りするMATCHAが、外国人から支持される秘訣にはどんなことがあるのだろうか。サイト作りで心がけているポイントなどをお聞きした。

 

 

外国人向けには、記事を作る際に大切なことは?

 

サイトのコンテンツで人気があるのが、「ハウツー」もの。記事で最近評判だったのが、新宿駅の特集です。

台湾の検索サイトで、新宿を打ち込むと、MATCHAの記事が4番目にきます。それぐらい人気の記事となっています。台湾人はリピーターが多く、東京へは何度も来ています。けれども新宿駅は巨大過ぎて何度も迷うという話を聞きました。そこで「新宿駅の脱出方法」という切り口で企画をしたのです。

また、コンビニのネタは、いろいろありますが、どれも人気ですね。例えば、カウンター横にある「ドリップコーヒーの飲み方」というのもあります。日本人ですと、当り前過ぎますが、外国人にとっては、どうやって注文するのかわからない。でもスマートに使いこなしたいニーズがあります。

動画で、コンビニおにぎりの食べ方も人気です。おにぎりのビニールの開け方が、外国人にはわからないのです。しかし、映像で見ると、なるほどと、感動したという声も聞きます。すでに6万回を超える再生がありました。またコンビニの内装や品揃えなど、四季によって季節感を演出していることも驚かれます。
今度は、新幹線の駅弁の企画を予定しています。外国人スタッフからの企画提案があったものです。彼女が新幹線に乗ったときに、コンビニで弁当を買って持ち込んで食べたのですが、多くの他の日本人は、「駅弁」という立派な弁当を食べていることに驚いたといいます。駅弁の存在を知っていたら、私もそっちにしたのにと(笑)。移動中の楽しみとして、これも観光コンテンツになると思い企画にしたそうです。

日本人では当たり前と思っていることが、彼らにとっては体験になります。それを掘り下げることで、日本の魅力を増幅できると思います。

 

どのような思いから会社を創業したのでしょうか

 

私は、明治大学の国際日本学部という新しい学部の一期生でした。この学部は、日本文化を海外へ伝えることがテーマで、その第一線で活躍している方々が講師としていらっしゃいました。

在学時から起業したいと考えていて、大学を休学して世界一周旅行に出かけ、日本文化発信のヒントになるものを探したのです。掲載の写真はその時のものですが、7ヶ月半をかけて約20カ国を周るなかで、予想以上に日本の文化は世界の多くの国々で受け入れられていることがわかりました。大いにビジネスチャンスがあると確信を持てたのです。

帰国後、自分自身があまり日本を知らないと思い、そこから見直すことにしたのです。特に地方には、知らないことだらけで、失われているものも少なくありません。例えば、酒蔵も最盛期には3200あったと聞きますが、今では半分の約1600ほどだそうです。

大学を卒業し、地域の映像発信に関わる会社に就職した後、メディアをやることに方向が定まり、独立しました。2014年に会社を立ち上げ、訪日外国人に日本を紹介するメディアを始めました。

「MATCHA」というネーミングの由来は、日本に関連していること、外国人に連想してもらえることで決めました。抹茶は、中間的なイメージがあり、女性や男性というターゲットの偏りが無く、辛くも甘くもなく、メディアとしては最適だと判断したのです。

 

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今後の展望を教えてください

 

メディアとしての新しい仕掛けを考えています。例えば、マーケティング的要素を強化して、旅行者の行動を可視化する試み等をやってみたいですね。そこから行動分析につなげられればと思います。

クライアントからの広告出稿だけではなく、コンサルティングのニーズが高まってきました。会社としては、そのあたりを強化したいと思います。

多言語サイトを運営していることで、知見が高まり、そのノウハウをサービスとして提供することが可能になりました。

失敗の繰り返しでもありますが、やってみたからわかったことも多々あります。例えば、多言語サイトは、どんなアドレスにするかで、URLが海外からは認識されない場合もあるのです。

既に心掛けていることですが、日本に行ってみて良かったと思えるような体験を提供することが大事だと思います。

我々はメディアとして、日常の体験も1つの日本の魅力として拾い続けていきたいですね。

 

取材後記:

青木氏は学生時代の世界一周旅行で、インドのジョドプールという砂漠の町に滞在して、瞑想の体験をしたそうだ。10日間毎日10時間座禅を組み、その間、誰とも話をしない。体験こそが旅の醍醐味だと実感した出来事の一つだろう。

 

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