インタビュー
日本人の魅力を伝える体験型のプラットフォーム
地域の暮らしを旅するをコンセプトに、地域ならではのユニークな日帰り観光体験を検索・予約・掲載することができるプラットフォームTABICA(たびか)。外国人旅行者の興味が、ショッピングから体験へと移る中、TABICAのサービスは日本人の生活や想いに触れられる機会を提供しながら、人と人との出会いに重きおいているという。TABICAチームリーダーの日比朝子さんにお話を伺った。
TABICAの始まりと具体的な事業内容は?
TABICAは、ソーシャルメディア事業とシェアリングエコノミー分野の事業成長のための活動を行っている株式会社ガイアックスのサービスです。2014年11月に社内のビジネスコンテストで、原型となる企画が提案されたのが始まりです。そのとき優勝し、新規事業として立ち上げるチャンスが与えられました。
発想のきっかけは、プロジェクトリーダーが、当時、長野県の酒蔵見学、山梨の農業体験をして、じっくりと施設の方と話をする機会を持てたことです。知らないことをいっぱい教えてもらえ、人とのつながりに感動したそうです。しっかりと時間をとることで、人柄が浮き彫りになり、魅力がみえてきます。このような原体験が出発点です。
TABICAは、2015年6月に日本人向けのサービスとしてスタートしました。ホストとゲストをつなぐマッチングのプラットフォームであり、手数料として成功報酬をいただくビジネスモデルになっています。
スタートアップでたいへんだったことは、プログラムを提供するホスト側の参加を増やすことでした。商品となるプログラム数が少ないと、ユーザー数が増えません。ユーザー数が増えれば、自ずと参加ホストが増え、自然に盛り上がっていくサイクルがつくれます。ですから事業のスタートは、ホストになってもらえるように声掛けすることからでした。
まずは農家体験に絞り、インターネットで検索して、多くの農家さんに電話を掛け、参加を呼びかけました。そのなかで、前向きな反応の農家さん一人一人(全員)に実際に会いに行き、商品化へ向けて案内。何が魅力となるのか、ご本人たちが気づいていないことを引き出していきました。
さらには、畜産業、漁業などにも声掛けを広げていきました。
インバウンド向けに展開したきっかけは?
2016年5月に社長直下のプロジェクトに移行して体制を整備し、インバウンドへの取り組みも加わりました。
ホスト側に外国人対応の取り組み意欲をヒアリングした際に、協力すると手をあげていただいたところからスタートしました。もちろん言葉が壁となるので、こちらから通訳できる人をアテンドするという前提です。そのタイミングで英語のページをつくり、担当したのは社内で結成した外国人チームです。
日本人向けのページは文字による情報量が多過ぎるという彼らの指摘があり、必要なものだけに絞り、シンプルな構成にしました。ですから、日本語ページと英語ページではデザインが異なります。
体験プログラムについても、実際に外国人スタッフに参加してもらい、アドバイスしてもらっています。例えば、座禅を20分しましょうとなれば、日本人なら、疑問なく受け入れますが、外国人にとっては長過ぎますと、遠慮なく意見がかえってきます。
外国人へのPRはどのように?
良い商品にブラッシュアップしても、プロモーションをしないと知ってもらえません。そこで、TiripAdvisor(トリップアドバイザー)、Viator(ビアター)、GetYourGuide(ゲットユアガイド)などのリスティングに掲載をしました。
やはり掲載してから、コンスタントに申し込みが増えた印象ですね。
その他行ったことは……(後編へつづく)
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