インタビュー
快速するインバウンドへの注力がタクシー業界の変化へと繋がる
誕生から100年を迎えた日本のタクシー。歴史ある産業でありながら、ドライバーの高齢化や企業淘汰など、あらゆる問題を抱えている。業界を牽引する国際自動車株式会社の代表取締役社長である藤森健悦氏は、サービスのクオリティが世界レベルである日本のタクシーが、現状に甘んずることなく、常に進化を続けることが必要だと説く。業界の発展とインバウンドにおけるタクシーの役割について語っていただいた。
プロフィール
長野県諏訪出身
昭和36年 3月:株式会社三和銀行入行
平成 7年 4月:株式会社三和銀行よりケイエムリーシング株式会社へ出向
平成 9年 11月:ケイエムリーシング株式会社営業第一部長に就任
平成13年 6月:ケイエムリーシング株式会社取締役に就任
平成16年 9月:国際自動車株式会社取締役に就任
平成19年 3月:国際自動車株式会社 専務取締役に就任
平成19年 12月:ケイエムリーシング株式会社代表取締役社長に就任
平成20年 6月:kmホールディングス株式会社取締役就任(現在に至る)
平成21年 11月:ケイエムリーシング株式会社 代表取締役社長を退任
平成22年 6月:国際自動車株式会社 代表取締役社長就任(現在に至る)
:ケイエムリーシング株式会社取締役に就任(現在に至る)
平成25年 5月:一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会理事に就任(現在に至る)
タクシー業界の地位向上を目指す『ホスピタリティ・ドライビングkm』
村山
御社では、インバウンドに対する取り組みを実施されているとお聞きしますが、どのような見地から施策を打ち出されてきたのでしょうか。
藤森
羽田空港に来られた外国人観光客の方は、初めて触れる空港の案内係の方々の対応により、日本そのものの印象が決定づけられると聞きます。
同様に、私どもが運行するタクシーやハイヤーのドライバーの印象も重要であると考え、「私たちの背中はkmの顔です。私たちの背中は東京の顔です。私たちの背中は日本の顔です」というキャッチコピーを配布して、ドライバーの意識向上に努めてきました。
さらに、今年の1月に新たな企業理念を発表。kmグループにある4600台の車両(タクシー3200台、ハイヤー1200台、バス200台)、9000人強のドライバー全員に対し、お客さまへの感謝の重要性、そしてkmブランドの向上を通じてのタクシー業界の発展、ひいては社会貢献への取り組み、この根幹となるのが『kmのホスピタリティ』であることを改めて訴えたのです。これはすなわち、全社員の意識を変えることで、業界の地位を向上させようという狙いがあり、それが目下の私にとって重要なミッションであると捉えているのです。
村山
業界の地位向上がインバウンド促進に繋がるというお考えなのですね。
藤森
その通りです。目指すのは、お客さまの笑顔を私たちの喜びとする「ホスピタリティ・ドライビング」。
マニュアル通りではなく、「その時」、「その場」、「そのお客さま」に最善と思われるサービスを提供することが必要ですが、人間の意識というものは、急に変えることはできません。特に、東京のタクシードライバーの平均年齢が57.9歳となり高齢化が進んでいるわけですから、状況は深刻です。新しい考え方に対して柔軟性にとらえ、労働集約型の産業であるがゆえに人材の質は大変重要です。
このままでは、インバウンドへの対応はおろか、業界そのものが、時代から大きく取り残されてしまう可能性もあるのです。危機感を強くもって取り組まなければなりません。
そこで私たちは、4年前から新卒大学生、および外国語を話せる人材の登用も進めつつ、現場で活躍してきた優柔な人材、特に40代の社員たちを、子会社の幹部とするなど、世代交代を進めてきたのです。この取り組みにより当社の平均年齢は52.9歳と効果が出始めていると実感しています。
村山
若返りを図ることで、時代の変化に対して柔軟な対応ができる組織づくりを進めているのですね
藤森
真っ白なキャンパスに新しいタクシーの可能性を描いていく。すなわち可能性のある人材を確保し、育成することでインバウンドへの取り組みを強化し、同時に業界全体の発展に寄与していきたいと考えているのです。
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