インタビュー
「日々の生活の中で、外出に際して多くの方々がインターネットで乗り換え案内や地図を利用なさっていると思います。現在、こうした乗り換え案内や地図を多言語化したサービスを導入し、インバウンド市場を活性化させていこうという動きが始まっています。
乗り換え案内・時刻表・地図を中心としたナビゲーションサービスを提供している株式会社駅探は、デジタル地図データ製作やカーナビ、PC、モバイル向けのトータル情報サービスを手がけるインクリメントP株式会社との事業提携の一環として、外国語対応ナビゲーションサービスの提供を2009年4月13日から開始しました。
このサービスの大きな特徴は、株式会社駅探が提供する「英語版乗換え案内」とインクリメントP株式会社による法人向け地図配信サービス「多言語 Map Fan on Page」が連携された結果、「多言語版日本地図+乗り換え案内」というナビゲーションの利用が可能になったことです。
そこで、今回のレポートでは、早速、このサービスについて株式会社駅探取締役内田陽介氏と同社ASPライセンスビジネス部営業グループの佐々木康友氏のお話を伺いました。
Q1.このたびのサービスを立ち上げるまでの経緯について教えてください。
外国人観光客の現状
弊社ではこれまで日本語での乗り換え案内および目的地まで徒歩案内サービスを提供させていただいてきましたが、観光で日本にいらした外国の方々にも使っていただける同様のサービスも開発したいと考えていました。
そうした中で、外国の方々が言葉の通じない環境で交通機関を使用される際に、複雑な乗換えや快速と各駅停車の列車の区別などを容易に行なっていただくためには何らかの支援が必要であることがわかってきました。
受け入れ側日本人の現状
さらに、受け入れる側の日本人にとっては外国語で行き方の説明をするのは大変であるうえ、ホテルなどでは交通案内以外の本来の業務もあるので、交通の説明を効率化することが必要であり、さらに、お客様に繰り返し来ていただくためには、接遇の面からもきちんと交通のご案内ができることが不可欠だということがいろいろな企業の方々のお話を伺ううちに明らかになりました。
外国人観光客、受け入れ側日本人双方を支援するサービスを
そこで、日本に来る外国の方々に日本での滞在を快適に楽しんで頂くために、公共の交通網を使った移動の面でのサポートをしたいと考えました。これは同時に、日本国内でさまざまな施設を運営されている企業の方々が外国のお客様を受け入れる側面を支援することにもつながります。
Q2. このサービス概要について教えてください。
ASPとテンプレートの同時リリース
4月13日にまずは英語版の乗り換え案内のASPをリリースしました。韓国語版、中国語版(繁体字、簡体字)も今秋にリリースする予定で現在開発中です。
また、お客様により簡便にお使いいただけるように、同じく4月13日に英語版乗り換え案内のテンプレートもリリースしました。この英語版乗換え案内テンプレートには英語版の地図もセットになっています。
地図につきましては弊社と事業提携を行なうインクリメントP株式会社様が、4月13日に日本語、英語、中国語(繁体字)、韓国語に対応ができる業界初の4言語地図をリリースしました。
この秋には、乗り換え案内、地図ともに4ヶ国語でのサービスが開始できる予定です。
外国語対応ナビゲーションサービスの使い方
このサービスの内容を具体的にご紹介いたしますと、例えばある施設のWEBサイトの「アクセス」の部分でご使用いただく場合、画面上にMapとNaviのボタンが表示されます。そこでMapのボタンを押すとアクセスする場所周辺の地図が表示されます。地図は拡大、縮小も可能なので、その場所が日本全土の中でどのあたりにあるのかを確認することもできます。
また、Naviのボタンを押せば、目的地としてその場所の最寄り駅が予め設定されている乗り換え案内が表示されます。つまり、日本の交通網に慣れていないお客様が自分の向かう場所の最寄り駅を知っていなくとも簡単にご利用いただけます。
さらに、乗り換え案内の最寄り駅からの徒歩の部分をクリックすると、最寄り駅と目的地が表示された地図を見ることができます。
出発地につきましては、現在のところはお使いになる利用者が自身で入力することになっておりますが、将来は空港やホテルなど予め設定することが可能になるよう考えています。
Q3. ASPとテンプレートの違いは何ですか?
自由に画面作成可能なASP
ASPでは自由にデザインして画面を作っていただくことができます。そのためには、アプリケーションのAPIを開示させて頂
きますので、それを元にご自身で画面を作っていただく必要があります。少々技術力が必要となるのですが、この点につきまして
は、ASPを使うための技術的なサービスも弊社で受託させていただく用意があります。
簡便なテンプレート
一方、テンプレートは、使用する際に技術的には容易ですが、カスタマイズできる部分に関してはヘッダーとフッター、あるいは色についてのみ可能というように若干の制約があります。出来上がっているものの一部分だけカスタマイズして、それにリンクをして頂く形になります。
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