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日本医師会が中間答申、訪日客の保険加入の促進やキャッスレス化を提言

2019.06.06

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日本医師会の外国人医療対策委員会は5月22日、「地域医療における外国人医療提供体制のあり方」について中間答申を取りまとめた。外国人医療対策委員会は、今後増加が予想される訪日外国人旅行者および在留外国人に対して、適切な医療提供を総合的に検討することを目的とし、政府の方針も踏まえ2018年10月に発足。これまで国や保険会社等を招いて情報収集し、課題を検討してきた。

中間答申では(1)訪日外国人と在留外国人に共通、(2)訪日外国人、(3)在留外国人の3つを柱に構成されている。

(1)では訪日外国人への更なる保険の加入勧奨や、複数存在する医療機関のリストの一本化、医療機関が保険の内容を確認できる仕組みが必要だと指摘している。特に多言語対応については、医療行為時だけでなく、受付・会計時にも必要となり、医療費未払い防止のための本人確認など、予防オペレーションが重要であると指摘。通訳事業者との契約については、地方自治体などが、地域の医師会の十分な関与の下で契約することを求め、医療通訳に関わる費用は、自由診療・保険診療を問わず別途請求が可能であることを更に周知すべきであるとした。また、都道府県に設置する外国人医療対策協議会においては、経験豊富な民間団体等のノウハウを活用してワンストップ窓口を設けることを提言している。

(2)では、未収金発生の予防として、まず医師自らがどこまで医療を提供するかを熟考する必要があると言及するとともに、未収金に対する公的補助を提言した。更に、円滑な支払いの支援として、医療機関におけるキャッシュレス化の推進を挙げた。内閣官房が過去に医療費不払い等の経歴がある訪日外国人に対し、入国審査を厳格化する方針を打ち出していることにも言及している。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、委員会では年度内に本答申を取りまとめる予定だ。

(やまとごころ編集部)

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