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全国「旅行業」2021年の売上、2020年より7割減。Go Toトラベル停止などで大打撃

2022.04.08

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国内旅行業1110社の最新期決算(2021年1月-12月期)の売上高合計は、7241億5400万円とコロナ禍1年目の前期2020年から71.2%減少したことがわかった。東京商工リサーチが国内の旅行業者を対象に、単体決算で最新期を2021年1月期から2021年12月期とし、3期連続で比較可能な1110社(最終損益は最新期587社)を対象に抽出、分析した。前期は、GoToトラベルの実施などもあり、売上は2兆5197億4600万円で前期比9.0%の減少にとどまっていたが、最新期は売上高が大幅に落ち込んだ。

 

最終損益が判明した587社のうち、384社(構成比65.4%)が最終赤字に転落した。長引く移動制限や外出自粛の広がりに加え、インバウンド観光客も消え、売上減少から赤字経営に直面する旅行業者が増えた。

 

従業員別では、最多は5人未満が584社(構成比52.6%)と突出し、半数以上を占めた。次いで、5~10人未満が256社(同23.0%)で、従業員10人未満が840社(同75.6%)と小・零細規模の事業者が8割近くを占めた。小・零細企業は、特定の観光地や観光形態に特化した事業者が多く、特に海外旅行に特化した小規模事業者は海外渡航の制限で影響が直撃している。コロナ禍以降、海外旅行専門業者では経営破たんも散見され、まだ厳しい経営環境が続きそうだ。

観光庁の旅行・観光消費動向調査によると、2021年の旅行・観光消費額は9兆1215億円で、2020年(9兆9738億円)から8.5%減、2019年(21兆9312億円)からは58.4%減と半減している。

4月末から始まる2022年の大型連休は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を回避できる見通しだ。大手航空各社は国内線の運航率を9割台に引き上げ、観光業界の期待は高まっている。しかしながら、海外渡航は依然として困難な状況であり、インバウンド需要も回復していない。旅行業界の我慢は続くとみている。

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