インバウンドコラム
スキー場は夏に儲けろ!
誰も気づいていない「逆転ヒット」の法則
著者:和田 寛
出版社:東洋経済新報社
本書は、白馬岩岳マウンテンリゾート代表を務める和田寛氏の著作であり、『日本経済新聞』朝刊や『日経トップリーダー』などの書評欄でも紹介されている。
「スキー場」と「夏」という、一見共存が難しく思われる言葉がタイトルに含まれ目を引くが、本文中には「隠れた資産」という言葉が数多く登場する。
著者はこれを「磨けばその会社や地域にとって宝物になるのに、何らかの理由で埋もれたままになっているもの」と説明する。
本書はその「隠れた資産」の定義から始まり、以降ではその「見つけ方」、心構え、見つめる目線と場所について、好事例の他企業や白馬岩岳リゾートでの実例を紹介しながら詳細に分析し、解説している。
また、隠れた資産の「磨き方」について、「外部の力」と「内部の力」の目線で体験談やその狙い、効果について述べている。最後の章では、「見つけること」「磨くこと」を継続するためのチーム力強化について解説している。
読み終えると、「隠れた資産」を磨き、単価を上げる努力をする必要があることを再認識させられる。そして、自らが安売り競争に参入してしまい、高単価で買ってくれる可能性のあった顧客にまで値下げをしてしまっていることにハッとするかもしれない。
「うちには資産がない」と諦めている地域や観光事業者の方は、まずは地域に隠れた資産があることに気付くためにも、ぜひ一読いただきたい。
文:株式会社やまとごころ 竹花 駿平
最新記事
集客アップの実践的なヒント満載『山奥の小さな旅館に外国人客が何度も来たくなる理由』 (2025.02.05)
ユネスコ職員が語る観光政策の柱「世界遺産」の制度や本質 『日本人が知らない世界遺産』 (2025.01.29)
駐日ジョージア大使から見た日本の魅力と課題を深い洞察で紹介『日本再発見』 (2025.01.22)
現在の観光ビジネスを俯瞰するきっかけに『江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ』 (2024.12.11)
ガイドの仕事のリアルを物語で描く『通訳ガイド美桜の日本へようこそ! プロポーズは松本城で』 (2024.12.04)
日本の観光変革に必要な人材とは?『観光地経営でめざす地方創生 ─ インバウンド獲得の司令塔となる世界水準DMOとは』 (2024.11.27)
「今」求められる持続可能な観光の実践に向けて『オーバーツーリズム 増補改訂版 観光に消費されないまちのつくり方』 (2024.11.13)
事例から学ぶ 持続可能な観光地への道『観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来』 (2024.11.06)