インバウンドコラム
スキー場は夏に儲けろ!
誰も気づいていない「逆転ヒット」の法則
著者:和田 寛
出版社:東洋経済新報社
本書は、白馬岩岳マウンテンリゾート代表を務める和田寛氏の著作であり、『日本経済新聞』朝刊や『日経トップリーダー』などの書評欄でも紹介されている。
「スキー場」と「夏」という、一見共存が難しく思われる言葉がタイトルに含まれ目を引くが、本文中には「隠れた資産」という言葉が数多く登場する。
著者はこれを「磨けばその会社や地域にとって宝物になるのに、何らかの理由で埋もれたままになっているもの」と説明する。
本書はその「隠れた資産」の定義から始まり、以降ではその「見つけ方」、心構え、見つめる目線と場所について、好事例の他企業や白馬岩岳リゾートでの実例を紹介しながら詳細に分析し、解説している。
また、隠れた資産の「磨き方」について、「外部の力」と「内部の力」の目線で体験談やその狙い、効果について述べている。最後の章では、「見つけること」「磨くこと」を継続するためのチーム力強化について解説している。
読み終えると、「隠れた資産」を磨き、単価を上げる努力をする必要があることを再認識させられる。そして、自らが安売り競争に参入してしまい、高単価で買ってくれる可能性のあった顧客にまで値下げをしてしまっていることにハッとするかもしれない。
「うちには資産がない」と諦めている地域や観光事業者の方は、まずは地域に隠れた資産があることに気付くためにも、ぜひ一読いただきたい。
文:株式会社やまとごころ 竹花 駿平
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