インバウンドコラム

過疎地の人材育成モデルの参考に「700人の村がひとつのホテルに『地方創生』ビジネス革命」

印刷用ページを表示する



700人の村がひとつのホテルに
「地方創生」ビジネス革命

著者:嶋田 俊平

出版社:文藝春秋

 

本書は、山梨県北都留郡小菅村での地方創生の取組を中心に紹介した、株式会社さとゆめの代表、嶋田俊平氏著の書籍である。さとゆめは「ふるさとの夢をかたちに」をミッションに掲げ、日本全国で地方創生の伴走型コンサルティングを行う会社だ。

本書では、嶋田氏のこれまでの歩みが自伝的にまとまっているが、章の中盤からは、小菅村の住民を巻き込み「700人の村をひとつのホテル」にプロデュースした様子を中心に展開されている。

彼らの取組の軸となる考え方を先に知りたい方には、第6章「『さとゆめ』というプラットホーム ─「地方創生」新時代の組織のかたち」から目を通していただくとよい。ここでは、さとゆめの特徴「伴走型コンサルティング」の「伴走」について、3つのフェーズに分解し、各フェーズにどのような人材(素養)が必要なのかを分析している。

また、嶋田氏が創業時より意識してきた某ブランド論の話が展開されており、さとゆめブランドが短絡的な戦術ではなく、長期的な戦略として意識的に作られてきたこともわかる。その結果として、彼らの事業化プロセスが、取組の過程で「計画起点」から「人起点」へ転換していったという話も面白い。

人口減少により消滅可能性待ったなしの自治体が、今後さらに増えていく。どの地域も「人」がボトルネックになっていくことは間違いない。本書は、過疎地域における地方創生にむけた人材育成スキームを作る一助となるのではないだろうか。

文:株式会社やまとごころ 竹花 駿平

最新記事